誤植 原因

誤植

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 06:43 UTC 版)

原因

これらの誤植・誤記のほとんどは校正者によって校正されることが期待されているが、中には校正をすり抜けてしまうものもある。

出版プロセスにおいて、記者・編集者・植字工などが文章を複写することによる伝達ミス

狭義の「誤植」である。

  • 原稿の読み間違い。その字形や単語がほかの字と似ている、文字の判読が難しかった(手書きの字が汚かった、フォントの種類やサイズ、プリント品質に問題があったなど)がために発生する。
『墓』地『基』地、「『陛』下」を「『階』下」「『陸』下」
例 「インド人(正しくは「ハンドル」)を右に」(詳しくは#雑誌の誤植)、「あんなアホ(正:「天才」)いない」(詳しくは#報道での誤植
  • 人間だけでなく、機械によるOCR(光学文字認識)でもこの種の認識ミスが発生しうる。
  • 編集者や校正者が誤字と思って訂正したが、誤字ではなく筆者の意図どおりだった場合。誤謬したわけではないため「誤」植とは言えないという意見もある[1]
例 「ライ症候群ハンセン病」「『ニコ』チン」、「家『裁』の人

原稿の筆者の思い込みや知識不足、独特な用字などによって誤った字を用いてしまうミス

広義の「誤植」である。いくつかの例として、

原稿書きの段階でも、その後の出版までのプロセスの間でも起こりうるミス

  • 誤変換。同音異義語によって起こる場合と区切りによって起こる場合の両方がある。手書き原稿の場合でも、現在では手書き原稿から直接文選はされず、最初に電子化されるため、誤変換による誤植は発生しうる[2]。熟語に同じ漢字や似た漢字が使われる場合、意味が似通っている場合などに特に見落とされがちになる。
例:「偏在」と「遍在」、「競演」と「共演」、「対称」と「対照」と「対象」、「開放」と「解放」、「異議」と「異義」と「意義」、「体制」と「体勢」と「態勢」、「保証」と「保障」と「補償」など。

活版印刷特有の原因

  • 活字の入れ間違い。使った活字をケースに戻すとき入れ間違ったため、次から使うときに誤植となる[4]

注釈

  1. ^ 権藤の著書より抜粋した一部[42]
  2. ^ 記事の内容は画像として確認できる[44]

出典

  1. ^ 高橋 2013, pp. 176–189, 森鷗外「鸚鵡石(序に代うる対話)」.
  2. ^ 高橋 2013, pp. 96–101, 大岡信「校正とは交差することと見つけたり」.
  3. ^ 高橋 2013, pp. 86–89, 高橋輝次「冷や汗をかく編集者」.
  4. ^ 高橋 2013, pp. 122–129, 山口誓子「校正の話」.
  5. ^ S. Freud, "Psychopathology of Everyday Life" 1901 (tr. A. A. Brill, 1914) pp.127f.
  6. ^ 小酒井不木. “誤謬の値段”. 2017年5月1日閲覧。初出:『紙魚』昭和2年1月号(紙魚社)
  7. ^ 最高裁判所昭和30年(あ)第871号昭和33年10月15日大法廷判決、刑集第12巻14号3313頁
  8. ^ 昭和22年12月30日官報号外農林省告示第196号。なお, 同告示の告示番号については, 官報掲載当時「第195号とされていたものが, 昭和23年2月12日官報第6320号28頁の正誤欄により, 「第196号」に訂正されている。
  9. ^ 1948年4月7日官報第6366号40頁。
  10. ^ 最高裁判所昭和30年(れ)第3号昭和32年12月28日大法廷判決、刑集第11巻14号3461頁
  11. ^ 最高裁判所昭和25年(あ)第739号昭和25年9月28日第一小法廷判決、刑集第4巻9号1848頁
  12. ^ 札幌高等裁判所昭和26年(う)第10号、高等裁判所判例集第4巻7号798頁
  13. ^ 茨城を「イバラギ」と誤植、中小機構が30年ずっと 「イバラキだとシステムエラーに」」『Jタウンネット』、2019年6月20日。2023年8月12日閲覧。
  14. ^ 織田正吉『ことば遊びコレクション』講談社〈講談社現代新書(808)〉、1986年3月、[要ページ番号]頁。ISBN 978-4-0614-8808-3 
  15. ^ a b 高橋 2013, pp. 212–219, 十川信介「誤植の憾み 露伴の信綱宛書簡をめぐって」.
  16. ^ 週刊SPA!』1989年2月9日号 p.86(扶桑社)
  17. ^ 「週刊誌、誤植で回収 扶桑社の『SPA!』」『朝日新聞』朝日新聞社、1989年2月3日、東京 夕刊。
  18. ^ 再来年の天皇退位の報道で心配される“誤植”や“誤用””. NEWSポストセブン. 小学館 (2017年12月11日). 2023年8月12日閲覧。
  19. ^ 米長邦雄九段「冒頭に『米長邦雄九段、キの人である』とある。おそらくこれは何かの間違いだろうと思っておったのだが……”. 将棋ペンクラブログ (2020年3月25日). 2023年8月12日閲覧。
  20. ^ 空閑叉京/HEW (2018年12月29日). “愛すべき誤植!「インド人を右に」を超える誤植は未だ生まれていない”. エキサイトニュース. 2023年8月12日閲覧。
  21. ^ 皇室関連記事で見出しに誤植 「女性セブン」発売延期”. asahi.com. 朝日新聞社 (2004年12月8日). 2004年12月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2004年12月8日閲覧。
  22. ^ 高橋 2013, pp. 12–15, 外山滋比古「校正畏るべし」.
  23. ^ 当時の紙面から
  24. ^ 「岡田首相退任の意向」と1面掲載 デーリー東北お詫びして訂正”. J-CAST ニュース. J-CAST (2010年7月2日). 2023年8月12日閲覧。
  25. ^ 人民日報、温家「室」首相と誤植 関係者に厳しい処分か”. asahi.com. 朝日新聞社 (2010年12月31日). 2011年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年1月2日閲覧。
  26. ^ 溫家寶變溫家「室」 人民日報誤植未遭懲處” (中国語). NOWnews.com. 今日新聞網 (2012年3月12日). 2012年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年3月13日閲覧。
  27. ^ 无锡日报头版惊现“习近年”” (中国語). huaglad.com. 澳洲新闻网 (2015年11月7日). 2023年8月12日閲覧。
  28. ^ 中新社誤報習近平「辭職」中國媒體全部跟著錯” (中国語). storm.mg. 風傳媒 (2015年12月6日). 2023年8月12日閲覧。
  29. ^ 遠藤誉 (2016年3月15日). “新華社が「中国最後の指導者習近平」と報道”. ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト. 2023年8月12日閲覧。
  30. ^ 香港英字紙、習近平主席「死去」と誤報”. 産経ニュース. 産経新聞社 (2016年4月22日). 2023年8月12日閲覧。
  31. ^ 中国官媒又出错!习近平变「新加坡总书记」” (中国語). news.seehua.com. 马来西亚诗华日报新闻网 (2016年4月24日). 2023年8月12日閲覧。
  32. ^ 林宸誼 (2016年7月10日). “誤植習近平「發飆」 騰訊被查” (中国語). 聯合新聞網. United Daily News. 2016年7月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月10日閲覧。
  33. ^ "天才を「アホ」と表示 京アニ報道でフジ、メモ見間違え". 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2019年8月5日. 2023年8月12日閲覧
  34. ^ 湖池屋 コイケヤ【公式】 [@koikeya_cp] (2019年5月29日). "今日忙しくってお昼食べられないや~って方、こちらの商品はいかがですか? その名も! > Supraスコーン <". X(旧Twitter)より2023年8月12日閲覧
  35. ^ TOYOTA GAZOO Racing [@TOYOTA_GR] (2019年5月29日). "@koikeya_cp Supra(スープラ)と書いてあったので、つい反応してしまいました(笑) すみません、同名のクルマを発売中なもので🚗". X(旧Twitter)より2023年8月12日閲覧
  36. ^ 湖池屋 コイケヤ【公式】 [@koikeya_cp] (2019年5月30日). "お、お待たせしました…(||´Д`)ハーハー >Supraスコーン イズ バック < 突貫工事で進めたTOYOTA GAZOO Racingさんとのコラボキャンペーンそろそろ開始します!". X(旧Twitter)より2023年8月12日閲覧
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  38. ^ 「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」発売中止について”. サッポロビール. サッポロビール (2021年1月8日). 2023年8月12日閲覧。
  39. ^ 井出留美 (2020年1月12日). “「#EじゃなくてもAじゃないか」国税庁と消費者庁は「EがAでも法律上問題なし」”. エキスパート - Yahoo!ニュース. Yahoo Japan. 2023年8月12日閲覧。
  40. ^ サッポロ 開拓使麦酒仕立て」発売についてのお知らせ”. サッポロビール. サッポロビール (2021年1月13日). 2023年8月12日閲覧。
  41. ^ 権藤晋『「ねじ式」夜話 つげ義春とその周辺』喇嘛舎、1992年6月、[要ページ番号]頁。ISBN 978-4-8928-9091-8 
  42. ^ つげ義春「ねじ式」夜話”. mugendo-web.com. 2012年2月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年2月6日閲覧。
  43. ^ 「そろそろ活動する 油虫とアリ◇もつとも良い退治薬」『東京朝日新聞』朝日新聞社、1927年5月26日、朝刊、7面。
  44. ^ a b 市原俊介 (2012年6月26日). “誤記から生まれた?嫌われもの「G」”. ことばマガジン:朝日新聞デジタル. 朝日新聞社. 2023年1月12日閲覧。
  45. ^ 丸島和洋「武田勝頼と一門」『武田勝頼のすべて』新人物往来社、2007年。
  46. ^ 高橋 2013, pp. 145–147, 坪内稔典「粟か栗か」.
  47. ^ Kikka (2016年2月25日). “これはすごい! ファンが作った「バック・トゥ・ザ・フューチャー」続編の予告動画が素晴らしい”. ねとらぼ. ITmedia. 2023年1月12日閲覧。





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