神戸市営地下鉄 神戸市営地下鉄の概要

神戸市営地下鉄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/22 13:52 UTC 版)

神戸市営地下鉄
シンボルマーク
基本情報
日本
所在地 兵庫県神戸市
種類 地下鉄
開業 1977年3月13日 (47年前) (1977-03-13)
所有者 神戸市交通局
運営者 神戸市交通局
公式サイト 神戸市営地下鉄公式ウェブサイト
詳細情報
総延長距離 38.1 km
路線数 5路線(実質3路線)
駅数 26駅
軌間 1,435 mm
電化方式 直流 1,500 V 架空電車線方式
最高速度 90 km/h(西神・山手線)
75 km/h(北神線)
70 km/h(海岸線)
路線図
神戸市営地下鉄の路線図
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路線は5路線を所有しているが、西神延伸線・西神線・山手線は「西神・山手線」として一体的に運行されているため、実質的には北神線海岸線と合わせ3路線である。神戸市西区須磨区長田区兵庫区中央区北区の6区に路線を持つ。

なお、各種条例での名称は「神戸市高速鉄道」となっている(神戸高速鉄道とは無関係)。

概要

1917年8月1日神戸市電が開業し、神戸市内を網羅する路線網を有していたが、モータリゼーションの影響により1971年3月13日に廃止された[1][2]。神戸市営地下鉄は市電に代わる新たな市内交通手段として、また開発の進む西神・北神地域の住民の交通手段として建設が計画され、1977年3月13日に西神線名谷駅 - 新長田駅間5.7kmで開業した[1][2]。この開業日は、1971年の神戸市電廃止日からちょうど6年後であった[3][4]

開業後も東西へ向けて路線の延伸が行われ、1987年3月18日には西神・山手線新神戸駅 - 西神中央駅間22.7kmが全通した[5][1]1988年4月2日からは北神急行電鉄北神線新神戸駅 - 谷上駅間との相互直通運転を開始し、神戸市の市街地を通じて西神・北神地域を直結する「みどりのUライン」(愛称)が完成した[1][6]

兵庫区長田区南部のインナーシティの活性化を図るため、2001年7月7日海岸線三宮・花時計前駅 - 新長田駅間の7.9kmが開業した[1]

北神線は2020年6月1日に北神急行電鉄から神戸市へ譲渡され、市営地下鉄の北神線として西神・山手線と一体的な運行が開始された[7][8][9]。なお、同区間は、神戸電鉄鉄道事業部北神営業所に委託され、運営されている。

2022年4月1日より、近畿日本鉄道が一部駅の業務を受託している[10]

路線

路線は西神・山手線の22.7km、北神線7.5km、海岸線7.9km、総延長合計38.1kmを有する。各線とも軌間は1,435mmの標準軌、架線電圧は直流1,500Vであるが、海岸線はリニア地下鉄で西神・山手線および北神線と規格が異なり、線路は繋がっていない[11]

記号 路線名 区間
営業線
  S 西神・山手線 *1 西神延伸線 名谷駅 (S12) - 西神中央駅 (S17)
西神線 名谷駅 (S12) - 新長田駅 (S09)
山手線 新長田駅 (S09) - 新神戸駅 (S02)
  S 北神線 *1 新神戸駅 (S02) - 谷上駅 (S01)
  K 海岸線 新長田駅 (K10) - 三宮・花時計前駅 (K01)
計画線
    西神再延伸線 *2 西神中央駅 - 東播磨方面
  • 1:西神・山手線と北神線は相互直通運転。なお、北神線は2020年(令和2年)6月1日に北神急行電鉄から神戸市交通局に移管され[7]、「北神急行電鉄北神線」から「神戸市営地下鉄北神線」となった[9]
  • 2:経由地などは具体化していない。

計画・未成路線

当初は三宮から東進して原田(阪急王子公園駅付近)までの延伸計画があった[12]が、新神戸から北方の北神急行電鉄との相互直通運転に変更された[13]

西方においては舞子 - 学園都市(西区)を人口約22万人の垂水区を縦断する形で結ぶ路線計画があった。正確には現在も検討中の路線になってはいるが、阪神・淡路大震災などによる神戸市の財政状況の悪化や沿線の人口減少、そして同区間の路線を運行している山陽バス(旧・山陽電鉄バス)の反対などにより、計画はほぼ白紙の状態である。なお現在この区間を走るバス路線は神戸市バスと山陽バスの共同運行である。

また、西神中央駅から西区神出町・岩岡町、加古郡稲美町方面、押部谷駅西明石駅への再々の延伸計画もあるが、これらも現在は見直しが必要な路線として凍結している。

さらに、海岸線は三宮・花時計前駅から新神戸、もしくはHAT神戸を経て灘区東灘区への延伸計画があった。また、阪急神戸本線と西神・山手線とを相互直通運転させる構想があったが、概算で2000億掛かるのに対し、神戸市は、投資に見合う効果が得られないと判断し、2022年3月に事業化の検討を終了した。

2023年1月、神戸市は新神戸駅から三宮を経由して神戸空港までを結ぶ新路線の構想を検討していると報道された[14]

安全設備

他都市の地下鉄に設置されている可動式ホーム柵(ホームゲート)の設置予定は長い間なかったが、2017年度に三宮駅に設置する方針が発表された。同時にホームドアなどに対応した車両を開発・投入している[15]。2018年3月3日より三宮駅のホームドアが使用開始され、2020年3月14日からはQRコードによる開閉連動を可能とした制御システムが導入されている[16]

2021年9月には新長田駅に導入。2023年11月現在、西神・山手線全駅と北神線谷上駅に導入されている。 三宮駅は、車両ドアが開いてから遅れてホームドアが開いていたが、2022年3月13日からQRコード式ではなくなり、電車が到着した段階でホームドアが開くようになった[17][18]

また、ホームドア設置と同時に車両の置き換えも実施され、2018年7月から2023年8月にかけて西神・山手線および北神線の全車両が6000形に置き換えられた。


注釈

  1. ^ 一部三菱製あり。なお、6000形はモーターも日立製となっている。
  2. ^ 2018年1月28日までは「スルッとKANSAIカード」も使用できた。

出典

  1. ^ a b c d e f 神戸市営地下鉄 - 日本地下鉄協会、2020年4月16日閲覧。
  2. ^ a b c 神戸市営交通100周年記念事業について 神戸市、2020年4月16日閲覧。
  3. ^ 神戸市交通局 2001, p. 449.
  4. ^ 奥田 2012, p. 12.
  5. ^ 神戸市交通局 2001, p. 174.
  6. ^ 神戸市交通局 2001, p. 175.
  7. ^ a b c 北神急行線の市営化について - 神戸市、2020年5月27日更新、2020年6月1日閲覧。
  8. ^ 神戸市北部の北神線が市営化…地下鉄と一体運行、三宮-谷上間の運賃はほぼ半減 6月1日 レスポンス、2020年3月4日。2020年4月16日閲覧。
  9. ^ a b c 地下鉄北神線始まる 北神急行が神戸市営化 /兵庫. 毎日新聞. 2020年6月2日配信, 2020年6月2日閲覧.
  10. ^ 神戸市営地下鉄駅業務委託に伴う受託予定事業者の決定 - 神戸市、2021年12月22日
  11. ^ 奥田 2012, p. 13.
  12. ^ 神戸市交通局 2001, p. 171.
  13. ^ a b 奥田 2012, p. 3.
  14. ^ 神戸空港と三宮直結、新地下鉄構想 国際便の就航を見据え、市が需要やルート調査へ” (日本語). 神戸新聞NEXT (2023年1月1日). 2023年1月9日閲覧。
  15. ^ 『平成27年度当初予算における主要施策』 の12ページ目
  16. ^ 神戸市営地下鉄がQRコードで開閉するホームドアに、デンソーウェーブ BCN+R、2020年3月17日。2020年4月16日閲覧。
  17. ^ 市営地下鉄西神・山手線、北神線ホームドア設置工事のお知らせ - 神戸市交通局、2023年11月27日閲覧
  18. ^ 総合エンジニアリング力を発揮した 可動式ホーム柵整備事業の取組み”. 『三菱重工技報』Vol.59 No.2. 三菱重工業 (2022年). 2023年4月1日閲覧。 “三宮駅は既に他社が2018年3月ホーム柵を設置済。当駅には2020年3月からQRコード式ホーム柵開閉制御システムが導入されていたが,車両ドアが開いてから遅れてホーム柵扉が開き,乗降時間が延びるという事象があり,本整備でホーム柵の開閉応答性能に優れた当社製“地上完結型連携システム”に更新された。”
  19. ^ 奥田 2012, p. 154.
  20. ^ 西神・山手線 新型車両6000形の営業運転開始について』(プレスリリース)神戸市交通局、2019年2月8日。 オリジナルの2020年7月6日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20200706215248/https://www.city.kobe.lg.jp/a57337/shise/press/press_back/2019/press_201902/20190208701101.html 
  21. ^ a b 神戸市営地下鉄 西神・山手線、北神線ダイヤ改正』(プレスリリース)神戸市交通局、2023年7月18日。 オリジナルの2023年8月8日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20230807043951/https://www.city.kobe.lg.jp/a80062/kurashi/access/kotsukyoku/subway/news/2023/2023daiyakisya.html2023年8月26日閲覧 
  22. ^ 地下鉄西神・山手線2000形車両引退記念事業の実施”. 神戸市. 2022年10月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年3月21日閲覧。 “地下鉄西神・山手線2000形車両は令和4年3月をもって引退します。”
  23. ^ 神戸市営地下鉄初のVVVF車3000形、引退に惜しむ声 - イベント開催”. マイナビニュース. マイナビ (2021年7月26日). 2021年7月27日閲覧。
  24. ^ 奥田 2012, pp. 160, 162.
  25. ^ 奥田 2012, pp. 124–125.
  26. ^ 奥田 2012, p. 175.
  27. ^ 奥田 2012, pp. 149–150.
  28. ^ a b 日本地下鉄協会『SUBWAY』2014年5月号地下鉄のロゴ歴史ヒストリア2「神戸市営地下鉄「Uライン」 (PDF) 」(p.54掲載)。
  29. ^ a b 神戸市交通局 2001, p. 453.
  30. ^ 『神戸市交通局100年史』 pp.184,186
  31. ^ a b 鉄道ジャーナル』第21巻第7号、鉄道ジャーナル社、1987年6月、108頁。 
  32. ^ 「神戸市交 ストアードフェアシステム 地下鉄全駅に導入」『交通新聞交通新聞社、1993年4月16日、1面。
  33. ^ a b ICカード乗車券を活用した連携サービスの拡大について』(プレスリリース)神戸市交通局、2016年3月30日。 オリジナルの2016年4月4日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20160404093744/http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2016/03/20160330701301.html 
  34. ^ “相互乗り入れ「投資見合わず」神戸地下鉄と阪急電鉄の協議仕切り直し”. 神戸新聞 (神戸新聞社). (2020年3月6日). https://www.kobe-np.co.jp/news/keizai/202003/0013170138.shtml 2021年7月27日閲覧。 
  35. ^ 神戸市営地下鉄、開業以来初の“丸洗い” 全駅を特別清掃 交通局「明るくなったと感じてもらえたら」”. ラジオ関西. 2024年3月22日閲覧。
  36. ^ 令和4年度決算参考資料
  37. ^ a b 地下鉄料金表 - 神戸市交通局(2020年6月1日閲覧)
  38. ^ 北神急行線と市営地下鉄との一体的運行(市営化)に伴う地下鉄料金改定のお知らせ” (PDF). 神戸市交通局. 2020年3月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年6月1日閲覧。
  39. ^ エコファミリー制度 - 神戸市交通局沿線NAVI、2016年3月31日閲覧
  40. ^ 神戸市:市バス運賃改定について”. www.city.kobe.lg.jp. 2024年4月22日閲覧。


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