石狩川 石狩川水系の河川施設

石狩川

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/04 20:33 UTC 版)

石狩川水系の河川施設

石狩川の河川施設は「北海道総合開発計画」に基づき北海道開発庁の現地執行機関である北海道開発局によって事業が計画・施工されているが、大別すると灌漑事業と治水事業に分かれる。

灌漑については北海道開拓使以来の事業である農地開拓に基づくものである。戦後農林省(現農林水産省)は1947年(昭和22年)より全国各地で「国営かんがい排水事業」や「国営土地改良事業」を施行。石狩川水系でも開発局農業水産部によって夕張や篠津等多くの地域で実施されている。このために農林水産省管轄(注)の灌漑用ダムが大小様々建設されている。

一方治水事業は建設省(現国土交通省)が「河川総合開発計画」を基に全国の一級水系において多目的ダムによる河川開発を進めていたが、開発局建設部により石狩川水系の治水と札幌市小樽市千歳市旭川市等の北海道主要都市に上水道を供給するため、石狩川本川をはじめ主要な支川に特定多目的ダムを建設し対処している。ただしこれらの多目的ダムは『特定多目的ダム法』に基づく国土交通大臣の直轄管理施設となっており、北海道開発庁は管理をしていない。この他北海道建設部補助多目的ダムを各所に建設している。

水力発電王子製紙株式会社による千歳川水系の開発、北海道電力株式会社による石狩川層雲峡付近と雨竜川の電源開発を除けば小規模に留まり、揚水発電のような大規模電源開発は行われていない。これは電力需要が首都圏や京阪神に比べて多くないことに起因する。

主な河川施設

一次
支川名
(本川)
二次
支川名
三次
支川名
ダム名 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3)
型式 事業者 備考
石狩川 大雪ダム 86.5 66,000 ロックフィル 北海道開発局 国土交通省管理
石狩川 層雲峡ダム 重力式 北海道電力 小堰堤
石狩川 愛別頭首工 可動堰 北海道開発局 農林水産省管理
石狩川 砂川遊水池 遊水池 北海道開発局 国土交通省管理
石狩川 石狩川頭首工 固定堰・可動堰 北海道開発局 農林水産省管理
石狩川 石狩放水路 放水路 北海道開発局 国土交通省管理
愛別川 狩布川 愛別ダム 39.0 9,500 重力式 北海道
牛朱別川 大沢ダム 28.9 900 アース 北海道
忠別川 忠別ダム 86.0 93,000 複合式 北海道開発局 国土交通省管理
雨竜川 雨竜第一ダム 45.5 224,653 重力式 北海道電力
雨竜川 鷹泊ダム 35.0 21,518 重力式 北海道開発局
北海道
農林水産省管理
雨竜川 宇津内川 雨竜第二ダム 35.7 21,589 重力式 北海道電力
雨竜川 幌新太刀別川 沼田ダム 44.9 32,900 ロックフィル 北海道開発局 農林水産省管理
尾白利加川 尾白利加ダム 31.8 10,979 ロックフィル 北海道開発局 農林水産省管理
徳富川 徳富ダム 79.4 36,000 重力式 北海道
空知川 金山ダム 57.3 150,450 中空重力式 北海道開発局 国土交通省管理
空知川 滝里ダム 50.0 108,000 重力式 北海道開発局 国土交通省管理
空知川 野花南ダム 30.0 4,800 重力式 北海道電力
空知川 芦別ダム 16.5 6,250 重力式 北海道電力
空知川 芦別川 芦別ダム 22.8 1,598 重力式 北海道開発局 国土交通省管理
空知川 赤間の沢川 エルムダム 53.7 3,017 ロックフィル 北海道開発局 農林水産省管理
美唄川 美唄ダム 35.5 1,500 重力式 北海道
幾春別川 桂沢ダム 63.6 92,700 重力式 北海道開発局 国土交通省管理
再開発中
幾春別川 新桂沢ダム 76.0 147,300 重力式 北海道開発局 国土交通省施工
建設中
幾春別川 奔別川 三笠ぽんべつダム 53.0 8,620 重力式 北海道開発局 国土交通省施工
建設中
夕張川 大夕張ダム 67.5 87,300 重力式 北海道開発局 農林水産省管理
夕張シューパロダム完成に伴いシューパロ湖に水没
夕張川 夕張シューパロダム 107.0 433,000 重力式 北海道開発局
北海道
国土交通省
農林水産省
夕張川 清水沢ダム 25.4 5,576 重力式 北海道 北炭施工
夕張川 川端ダム 21.4 6,155 重力式 北海道開発局 農林水産省管理
千歳川 千歳第一ダム 重力式
バットレス
王子製紙 小堰堤
土木遺産
千歳川 千歳第二ダム 重力式 王子製紙 小堰堤
土木遺産
千歳川 千歳第三ダム 23.6 3,648 重力式 王子製紙 土木遺産
千歳川 千歳第四ダム 21.9 2,298 重力式 王子製紙 土木遺産
千歳川 千歳川頭首工 可動堰 千歳市水道局
千歳川 漁川 漁川ダム 45.5 15,300 ロックフィル 北海道開発局 国土交通省管理
当別川 青山ダム 35.5 15,127 アース 北海道開発局 農林水産省管理
当別川 当別ダム 52.7 78,400 台形CSG 北海道
豊平川 豊平峡ダム 102.5 47,100 アーチ式 北海道開発局 国土交通省管理
豊平川 一の沢ダム 20.3 重力式 北海道電力
豊平川 砥山ダム 30.0 1,370 重力式 北海道電力
豊平川 藻岩ダム 重力式 北海道電力 小堰堤
豊平川 小樽内川 定山渓ダム 117.5 82,300 重力式 北海道開発局 国土交通省管理
  • 備考:黄欄は建設中もしくは計画中のダム、赤欄は再開発中のダム(2022年現在)。
  • 注:北海道開発局は本来国土交通省の現地執行機関であり「河川総合開発事業」に基づくダム・堰の管理は『特定多目的ダム法』に拠り国土交通省が事業主体であるため、開発局建設部管理のダムは国土交通省直轄ダムとして扱われるが、「国営かんがい排水事業」・「国営土地改良事業」に基づくダム・堰の管理は農林水産省が事業主体であるため、開発局農業水産部管理のダムに関しては農林水産省直轄ダムとして扱われる。同様の事例は内閣府の直属機関である沖縄総合事務局でも見られている。

主な観測所

河川名
(本川)
観測所名 水防団
待機
基準水位
(m)
はん濫
注意
基準水位
(m)
避難
判断
基準水位
(m)
はん濫
危険
基準水位
(m)
所在地
石狩川 中愛別 243.30 244.50 245.10 245.40 上川郡愛別町中愛別中央3
石狩川 旭橋 105.70 106.40 106.90 107.70 旭川市常盤通3丁目旭橋
石狩川 伊納 90.80 92.20 93.90 94.90 旭川市江丹別町字伊納
石狩川 納内 57.50 58.90 60.20 61.20 深川市納内町8区の1
石狩川 橋本町 23.20 24.60 26.50 27.00 樺戸郡新十津川町中央89番地
石狩川 奈井江大橋 14.00 15.80 19.70 20.00 樺戸郡浦臼町黄臼内
石狩川 月形 10.40 12.30 15.30 15.60 岩見沢市北村豊正42-12
石狩川 石狩大橋 4.30 5.10 7.80 8.10 江別市緑町558番地
石狩川 篠路 2.50 2.90 4.60 4.90 札幌市北区篠路町上福移

ここでは4基準水位を持つ観測所を記述している。[9] [10]


  1. ^ 日本の川 - 北海道 - 石狩川 - 国土交通省水管理・国土保全局”. www.mlit.go.jp. 2019年9月6日閲覧。
  2. ^ a b c 授業で使える当館所蔵地図 岐阜県立図書館、2021年4月9日閲覧。
  3. ^ 令和2年度から千歳川遊水地群が供用開始”. 国土交通省. 2023年10月27日閲覧。
  4. ^ 石狩川の主な災害 開拓当初から水害と戦ってきた北海道”. 国土交通省. 2018年7月3日閲覧。
  5. ^ 「二十日余降やまず、浸水一万戸」『東京朝日新聞』1932年(昭和7年)9月11日(昭和ニュース事典編纂委員会 『昭和ニュース事典第4巻 昭和6年-昭和7年』本編p.198 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
  6. ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、153頁。ISBN 9784816922749 
  7. ^ 日外アソシエーツ編集部『日本災害史事典 1868-2009』p.159
  8. ^ 日外アソシエーツ編集部『日本災害史事典 1868-2009』p.163
  9. ^ 川の防災情報:河川の水位観測所一覧表 道央”. 国土交通省. 2016年8月21日閲覧。
  10. ^ 川の防災情報:河川の水位観測所一覧表 道北”. 国土交通省. 2016年8月21日閲覧。
  11. ^ 石狩川にサケは戻らす 汚染進み漁師は転職 「豊漁年」の今年も不振『朝日新聞』1970年(昭和45年)11月4日朝刊 12版 23面
  12. ^ 石狩川上流のサケ遡上の状況について”. 北海道開発局 旭川開発建設部 (2018年). 2021年12月3日閲覧。






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