直通特急 (阪神・山陽) 設定の経緯

直通特急 (阪神・山陽)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 05:13 UTC 版)

設定の経緯

神戸高速鉄道計画時に予定されていた電鉄姫路(当時) - 梅田間の直通運転は、山陽・阪神・阪急電鉄の3社の車両規格や編成長の関係で実現しなかったとされる。1990年代の時点で車両規格としてはほぼ3社とも揃っていたが、本格的な運行に際しては神戸高速鉄道東西線に乗り入れている阪急側が神戸線での需要に応える形で編成長を延ばした一方で、山陽と阪神の車両規格・編成長を揃え、運行間隔を対応させる形で実現した。

僅少である大阪~姫路地域間の流動創造や、阪神大震災の影響による、明石海峡大橋の開通を見込んで開発された地域への転居への対応および大阪~明石地域間の更なる利用増大や[4]、阪神甲子園球場・有馬温泉への更なる集客と、新開地エリアの衰退対策を目的に運行が開始された。2009年3月の阪神なんば線開通以降は、尼崎駅で同線とも接続することとなり、利便性が更に向上している。

沿革

1998年2月15日、運行開始[1]
当日に山陽姫路駅と梅田駅にて、両駅を10時00分に発車する列車で発車式を開催した。(このため阪神側は回送列車の臨時設定や一部運用変更を行った)。阪神、山陽ともに子供が一日駅長を務め、子供たちによってくす玉が割られた。設定当初は阪神側は8000系・9000系が、山陽側は5000系・5030系[5]が充当されていた。
当時の昼間ダイヤでは、梅田発の特急列車は山陽姫路行き、高速神戸行き、須磨浦公園駅行きが30分ヘッドで運転されていた。また阪神の三宮駅(当時) - 山陽姫路駅間でも山陽特急が運転されていた。
この運行により、阪神本線から山陽姫路方面への利便性が大幅に向上した一方で、梅田 - 神戸三宮間を走る快速急行が廃止され、データイム時の阪神間を直通する優等列車が10本 → 6本になった。これにより、西宮駅 - 神戸三宮駅間では大幅な減便となったほか、特急が停車しない尼崎駅から芦屋・神戸方面へは西宮での乗換が必要となった(ただし2001年に尼崎駅が特急停車駅になったほか、2009年の阪神なんば線開業後は同線直通の快速急行の登場により改善されている)。
1999年播磨酒蔵ライナーの運行を開始
2000年淡路花博への交通アクセスとして「高速舞子バス停留所」最寄り駅である舞子公園駅臨時停車開始
なお、淡路花博閉幕後は2001年3月9日まで土・休日の日中のみ臨時停車を継続した。
2001年3月10日、増発及び運行体系の見直し
運転開始後は知名度も向上し、両社の看板列車として日中1時間に2本から4本へ増発が行われた。
このダイヤ改正に合わせて、阪神9300系を投入。[6]全列車の停車駅に尼崎駅魚崎駅、一部の列車では選択停車の形で神戸高速鉄道東西線(当時)西元町駅大開駅を加えた。なお、舞子公園駅は土・休日に限り正式に停車駅となる。
一部列車の西元町駅・大開駅への停車は、神戸高速鉄道東西線(当時)を介して相手側の路線に乗り入れる際、直通特急の運転間隔が10分または20分ヘッド(阪神)から15分ヘッド(山陽)へと移行するための時間調整を兼ねたものである。
2006年10月28日、ダイヤ改正
土・休日に加え、平日においても舞子公園駅への終日停車を開始。
平日の東二見行きは全列車が山陽姫路まで延長された。これにより梅田駅発山陽姫路行き最終が22時36分発から23時00分に繰り下がった。
早朝の下りに限って高速神戸始発の特急が新設。
同日のダイヤ改正から、乗務員室の車掌台側窓内の運行プレート(愛称表示)は掲示されなくなった。
2008年4月14日、ダイヤ修正
荒井駅への朝夕ラッシュ時間帯の停車を開始
2009年3月20日、ダイヤ改正
新たに平日昼間にも甲子園駅への停車を開始し、平日上り朝ラッシュ時を除き甲子園駅は終日停車となる。
月見山駅を新たに停車駅に加え、またB直特に相当する列車は西代駅東須磨駅須磨寺駅への停車を開始する。
荒井駅の停車時間帯を拡大し、また白浜の宮駅への朝夕ラッシュ時間帯の停車を開始。
これにより停車駅が最も多い直通特急は大幅に停車駅が増え、直通特急運行開始時の停車駅数16駅から最大29駅と倍近くの停車駅数となった。阪神電鉄線内ではほぼすべての時間帯において1990年代前半の急行と同水準の停車駅数となり、滝の茶屋駅・荒井駅・白浜の宮駅に停車するB直特においては全区間で見ても1980年代前半頃の急行並みの水準の停車駅数となってしまっている。
土休日の夜間に関してもほぼ全列車直通特急になった。これは三宮(当時)で折り返す山陽特急と梅田 - 高速神戸・新開地間で運転される阪神特急を統合したもので、基本的に三宮(当時) - 山陽須磨間は各駅停車となった。また平日夕方時間帯でも阪神電鉄線内が10分ヘッドでの運転に変更されたために、時間調整のために一部列車が三宮(当時) - 山陽須磨間各駅停車に変更されている。
阪神なんば線の開業に伴い、途中停車駅の尼崎駅でほぼ終日にわたり、同駅始発・終着の阪神なんば線列車とドア・ツー・ドア接続が行われるようになった。
2016年3月19日、ダイヤ改正
神戸三宮 - 山陽須磨間各駅停車のB直特相当の列車が東須磨駅・須磨寺駅の停車を取り止め、各駅停車区間は神戸三宮 - 板宿間に短縮された。また従来の御影行きが尼崎行きに変更されたほか朝ラッシュ時には数本増発された。

さんよう・はんしんタイガース号

阪神・山陽が臨時に運行しているイベント列車として、阪神甲子園球場にて阪神タイガース主催の公式戦が行われる際に運行されるさんよう・はんしんタイガース号がある。

運行概要

上述の通り、阪神甲子園球場にて阪神タイガース主催の公式戦が行われる日に、梅田もしくは山陽姫路から甲子園行きのみ年に数回運行される。1回だけの年もあれば、2003年には4回運行されたこともある。ちなみに2003年の4回目の運行は9月15日で、その日はタイガースが18年ぶりのリーグ優勝を果たした日でもある。

初運行は1998年6月13日(対広島戦)となる予定だったが、雨天中止となり結局この年は運行されなかった。よって、実質的な初運行は1999年4月24日(対ヤクルト戦)となった。これまでに21回企画されたがうち3回は雨天中止となった。特に1998年と2008年には一度も運行されなかった。

乗車にははがきによる事前申し込みが必要で、応募多数の場合抽選となる。参加費は年と出発地(山陽姫路発の列車は、乗車駅を山陽姫路と山陽明石から選ぶことができる)により変動するが、甲子園までの往復割引乗車券と観戦券・タイガースグッズがセットされる。また、これとはまた別に定期列車利用で、甲子園までの乗車券と観戦券のセットも発売される。

入線する際には「阪神タイガースの歌」を車外スピーカーから流すのが恒例となっている。


  1. ^ a b “阪神山陽電鉄 直通特急の運転開始”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1998年2月17日) 
  2. ^ 山陽6000系が6両編成で阪神梅田へ - 鉄道ファン「鉄道ニュース」2017年6月21日、2017年6月21日閲覧
  3. ^ 山陽6000系が直通特急運用に - 鉄道ファン「鉄道ニュース」2017年9月25日、2017年10月3日閲覧
  4. ^ これらはJR神戸線が私鉄各社に先んじて復旧した際、通勤時間帯に臨時増発された列車が後に定期列車とされた目的および通勤特急「らくラクはりま」が設定された目的と同様である。
  5. ^ このうち、山陽5030系は直通特急運行開始に合わせて、前年の1997年に新製。また、山陽5000系はこの当時は6両編成の5012F以降の編成が充当された。
  6. ^ このほか、前年の2000年に山陽5030系 2次車8両が新製され、新たに6両編成化された5004F・5006F・5008F・5010Fの4編成も直通特急運用に投入された。
  7. ^ 直通特急時刻表 (PDF, 山陽電気鉄道ホームページ)





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