渋滞
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定義
交通工学における渋滞の定義は、「ボトルネックにその区間の交通容量を上回る交通流率の交通需要が到着した時に、当該区間の上流に生じる低速の待ち車両列によって形成される交通状態」を指す[1][2]。特に、交通信号機や合流部はボトルネックとなりやすい典型的な道路上の区間である[3]。なお、「交通容量」とは特定の道路空間に単位時間当たりで通すことのできる車両数をいう[4]。また、「交通流率」とは特定の道路空間に単位時間あたりに到着する車両数をいう[5]。
一般的には、自動車が停止あるいは、一定速度以下のノロノロ運転で走行する自動車の列が数珠つなぎになった状態を渋滞と呼んでいる[6][7]。渋滞長がいくら長くても、1回の青信号で信号待ち車列が全て捌ける場合は、一般には渋滞とは呼ばない。また、人の長蛇の列に対しても渋滞とは言わない[8][注釈 1]。渋滞の内容は様々で、例えば20 km/h(キロメートル毎時)以下で走行している状態でも、停止して車列が動かない状態であっても渋滞である[6][注釈 2]。車列の長さについても、正確な距離が定められているわけではないが、連なる自動車の列の長さが1キロメートルを越えた状態を渋滞と言っている[6]。
日本の高度経済成長期に起こったモータリゼーションで一般大衆に自動車が普及する以前の自動車があまり走行していなかった時代では、「渋滞」という用語自体が一般に使われていなかった[8]。日本における初めての大規模かつ本格的な渋滞は、1960年(昭和35年)10月6日に大阪市内で発生した10時間にわたる交通マヒによる大渋滞である[注釈 3]。また、日本で初めて渋滞という用語が使われたのは、1961年(昭和36年)に警視庁がラジオの文化放送で、世界初となる交通情報を放送したときだといわれている[8]。
なお、「渋滞」は自動車交通に関していうことが多いが、運河で船舶の通航量が増加するなどの理由で通航が滞っている場合も「渋滞」と表現されている[9][10]。
渋滞の悪影響
渋滞は人流・物流の所要時間を増加させるため、到着時間を遅延させ、時間的損失からくる生活や産業活動・経済活動に負の影響をもたらしている[11][12]。
また、渋滞は交通事故増加の原因となっている[13]。例えば、生活道路に抜け道を目的とした車両が流入することでコミュニティ空間の安全性・快適性を損なう事例もみられる[13]。
さらに、渋滞による車両の速度低下による無駄な燃料消費により、二酸化炭素や窒素酸化物などの物質が排気ガスとなって多く排出され、騒音などの環境悪化につながる原因となる[14][12]。そして、渋滞によるストレスから些細なことでトラブルに発展し、犯罪を引き起こしている原因となることも珍しくなくなっている[12]。
都市問題ではモータリゼーションと渋滞の悪化は相互に関連しており、渋滞によりバスやパラトランジット等の所要時間が長くなり公共交通の利便性が悪化すると人々はますます自動車やオートバイを利用するようになり渋滞を悪化させる悪循環を生じる[15]。渋滞の発生は都市などの美観の問題として取り上げられることも多い[16]。郊外部ではスプロール現象(自動車利用を前提とした無秩序で散発的な開発)が発生すると公共交通の導入が難しい都市構造となる[15]。渋滞の深刻化が渋滞対策への費用の増加につながり財政負担の増大につながることもある[16]。
年齢が若く、良心的ではなく、運転にあまり熱心でない人々は、ドライバーの退屈に苦しむ可能性が高いという実験結果が出ている[17]。運転に熱心な人々は、運転することに集中しているため、ドライバーの退屈に苦しむ可能性が低いという実験結果が出ている[17]。ドライバーが運転に集中すれば、他事に気を取られず、退屈に苦しむということがなくなるからである[18]。
注釈
出典
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- ^ athomeこだわりアカデミー 2011年11月号掲載
- ^ a b c なぜ渋滞予報士は1人だけなのか その意外な存在意義 2015年8月9日 乗りものニュース
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