機動戦士ガンダムSEED
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製作エピソード
2002年に放送開始した『機動戦士ガンダムSEED』(以下、『SEED』)であるが、企画は2000年の10月には既に存在したという[12]。監督である福田己津央はインタビューにおいて、従来のガンダムシリーズからよりターゲット年齢層を下げた作品を意識したと語っている[12]。また、ウルトラマンシリーズや仮面ライダーシリーズが時代ごとにその都度に合わせた作品作りをしていたことや、ガンダムシリーズそのものが既に『機動武闘伝Gガンダム』のように新機軸の作品が存在したことから、『機動戦士ガンダム』との共通項を持ちつつも時代に合わせた作品を作る方針になったという[12]。また、福田は後年のインタビューにおいては9.11テロの影響を受け、米軍の中で戦うイスラム兵士というコンセプトから『SEED』の主人公像を形成したと語っている[13]。登場するメカニックが電力駆動するという設定は福田がかつて監督を務めた『GEAR戦士電童』の影響があり、ガンダムという機体の扱いに関しては、搭乗するキャラクターの象徴としての側面を重視したという[13]。また、福田は製作にあたっては自身が以前に監督を務めていた作品である『GEAR戦士電童』から継続したスタッフで固めていたことと、当時サンライズの社長であった吉井孝幸とMBSのプロデューサーである竹田青滋が環境作りに尽力し、『SEED』のヒットを支えたと語っている[14]。
また、本作放送当時にバンダイにてプラモデル担当として携わった狩野義弘はインタビューに際し、メカニック展開において5体編成のガンダムが登場した点に関しては『新機動戦記ガンダムW』の影響によるものだと語っている[15]。
一方で、設定を担当した森田繁はインタビューに際し、直前に放送していた『∀ガンダム』が商業的に不振に終わったことから、より商業的な成功を重視するよう各方面からの圧力がかけられていたと語っている[16]。また、製作当時ガンダムのホビー人口におけるファン年齢層が上がっていたことを受け、本作では小中学生への訴求を重視するようオーダーがあったという[16]。なお、『SEED』ではコーディネイターとナチュラルという遺伝子による対立構図が描かれたが、この発案はプロデューサーの竹田青滋だという[16]。また、森田は『∀』の製作途中に『SEED』の企画に参加し、『∀』がSFとしての色合いから裏設定が増えたのに対し、『SEED』では監督である福田からは映像での描写に説明付ける設定制作を依頼されていたと語っている。また、アフレコの現場で設定面の監修も行っていたことから、自らの所有する脚本に加筆しながらガヤに専門用語を入れていたとしている[17]。
設定製作を担当した下村敬治はコラムにおいて、当初は『ガンダムSAGA』というタイトル案も存在したとしている[4]。また、打ち合わせの際には『海底軍艦』や平成「仮面ライダーシリーズ」といった特撮作品や、『機甲戦記ドラグナー』の話題がたびたび見られたという[18]。
世界観設定を担当した吉野弘幸はインタビューに際し、『SEED』は複数あったガンダム次回作の企画書から福田たちが提出したものが採用された。シナリオの製作においては大河ドラマや少女漫画の影響が存在したと語っている[19]。
プロデューサーを務めた古澤文邦はインタビューに際し、作品名の本決定以前には10体のガンダムが登場することから「ガンダムズ」といった名称も候補に挙がっていたとしている(同名のバーが既に存在しなかったことから、この案は見送られた)[4]。また、古澤は他のインタビューにおいてはキャラクター、メカニックのデザインにおいて5、6人のオーディションを通して決定したと語っている[20]。
本作の脚本は他のシナリオライターが提出したものをシリーズ構成の両澤千晶が練り直す方式をとっており、該当話数では連名となったという[21]。また、森田と吉野によれば、本読みをやって方向性が固まった話が翌週の本読みで監督たちが来ると全てひっくり返ることが何度もあったとしている。その理由として、家庭内で本読みが先に進んでいるために福田が両澤に対して時間に関係なく要望を述べていたためと語っている[22]。
メカニックデザインを務めた大河原邦男は自著において、「SEED」当時においてプラモデルがガンダムシリーズ一作目『機動戦士ガンダム』以来のヒットであったことから、続編の『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』が製作されたと語っている[23]。
注釈
- ^ 公開メディア別に最優秀賞を決定した年(2003・2014年)を除けばテレビアニメでは唯一の受賞。
- ^ HDリマスターでは「MBS」表記。
- ^ HDリマスターでは非表示。
- ^ a b 公式ウェブサイトのINFORMATION 「機動戦士ガンダムSEED HDリマスター 各話リスト」 では 「頭に0を置かないアラビア数字と半ないし全角スペース」(1 PHASE-01、10 PHASE-10、48 PHASE-50など)、同サイトのBlu-ray BOX情報やバンダイチャンネルの 「各話あらすじ」 などでは 「頭に0を置くアラビア数字と半角の終止符+一部英語」(01.PHASE-01、48.FINAL-PHASE)という文体で表記されている。なお、本編内では話数表記は廃止されており単なるサブタイトル表記のみとなっている。
- ^ TOKYO MXのもの。
- ^ a b HDリマスターでは未放送。
- ^ HDリマスターでは「平和の国へ」。
- ^ a b バンダイチャンネルなどのインターネット無料ライブ配信の最終話(2012年11月23日分)と、Blu-ray BOX最終巻に収録された編集版。イザーク・ジュールの衣装がプラント文官議員のものからザフトの指揮官級(『DESTINY』における白服)に変わっている、などの変更点がある。
- ^ DVD第13巻映像特典OVA[24]。
- ^ 本枠で放送されていた『ワガママ大百科』が遅れネットに降格してから9年半ぶりに同時ネット復帰となった。
- ^ 自社制作の『天才クイズ』を放送していた関係から、他の遅れネット局よりさらに30分早い17:00 - 17:30での放送。このパターンは『料理天国』を放送していた頃から踏襲されていた。
- ^ 有料の「月額1,000円見放題」サービス加入者に限り正午12:00 - 12:30間に先行配信を視聴できた。
- ^ a b c 劇中におけるタイトルロゴでの表記。完結編も劇中では「機動戦士ガンダムSEED -鳴動の宇宙-」と表記されている。
- ^ 2021年時点ではテレビ愛知・チバテレビでの放送実績がある。
- ^ スーパーロボット大戦シリーズデビュー作品。
- ^ 没データにより、登場作品には含まれていない(機体はストライクガンダムとイージスガンダムのみ)。
- ^ ストライクガンダムとイージスガンダムのみ登場。
- ^ 同ハードの『機動戦士ガンダムSEED』も発売予定をされていたが後に発売中止となった。E3 2004で映像出展をされた。
- ^ a b 機体のみ登場。
出典
- ^ “機動戦士ガンダムSEED”. 作品紹介. サンライズ. 2021年8月18日閲覧。
- ^ スペシャルインタビュー 福田己津央が語るガンダムSEED - ウェイバックマシン(2007年7月3日アーカイブ分)
- ^ a b c d “機動戦士ガンダムSEED FREEDOM:第3弾PVにMS続々 ライジングフリーダム、イモータルジャスティス 新勢力? 謎の編隊も”. まんたんウェブ (2023年10月5日). 2023年10月11日閲覧。
- ^ a b c d “歴代ガンダムで最も「アンチ」多かった? 新世紀のスタンダード目指した『SEED』誕生から20年”. マグミクス (2022年10月5日). 2024年1月30日閲覧。
- ^ 『ロマンアルバム 機動戦士ガンダムSEED ストライク編』 、スタッフインタビュー。
- ^ 『月刊ニュータイプ』2002年9月号、角川書店、18-19頁。
- ^ 『週刊ダイヤモンド』2012年5月12日号、ダイヤモンド社、[要ページ番号]。
- ^ 後藤リウ『機動戦士ガンダムSEED』 2巻、矢立肇、富野由悠季(原作)、角川書店〈角川スニーカー文庫〉、2003年、[要ページ番号]頁。ISBN 4-04-429102-0。
- ^ “発表!全ガンダム大投票 40th 投票結果発表!”. NHK (2018年5月5日). 2023年9月25日閲覧。
- ^ “福田監督インタビュー”. 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 公式. 2021年8月18日閲覧。
- ^ 『機動戦士ガンダムSEED 20周年記念オフィシャルブック』株式会社バンダイナムコフィルムワークス、2023年4月、117頁。
- ^ a b c 『機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル メカ編vol.1』講談社、2003年2月、24頁。ISBN 4-06-334678-1。
- ^ a b メカニック&ワールド 2012, pp. 263–269.
- ^ 『機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル キャラ編vol.4』講談社、2003年11月、28-29頁。ISBN 4-06-334807-5。
- ^ 『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY Re:Master Edition 5』KADOKAWA、2013年7月、163頁。ISBN 978-4-04-120791-8。
- ^ a b c メカニック&ワールド 2012, pp. 276–277.
- ^ 『グレートメカニックG 2019 SPRING』双葉社、2019年3月、84-85頁。ISBN 978-4-575-46514-3。
- ^ 『機動戦士ガンダムSEED RGB ILUSTRATIONS』角川書店、2004年8月、59,61頁。ISBN 4-04-853763-6。
- ^ メカニック&ワールド 2012, pp. 282–289.
- ^ 『ロマンアルバム 機動戦士ガンダムSEED ストライク編』徳間書店、2003年7月、105頁。ISBN 4-19-720226-1。
- ^ 『機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル ドラマ編Vol.01』講談社、2003年7月、39頁。ISBN 978-4-06-334747-0。
- ^ 『機動戦士ガンダムSEED 20周年記念オフィシャルブック』株式会社バンダイナムコフィルムワークス、2023年4月、121頁。
- ^ 『メカニックデザイナーの仕事論 ヤッターマン、ガンダムを描いた職人』光文社〈光文社新書〉、2015年8月、174頁。ISBN 978-4-334-03874-8。
- ^ “バンダイビジュアル公式サイト”. バンダイビジュアル. 2016年10月8日閲覧。
- ^ 「TBS 春の番組改編 「土6」枠移動「日5」へ」『アニメ!アニメ!』、2008年2月6日。2021年8月18日閲覧。
- ^ 「土6アニメ、「地球(テラ)へ…」がTV放送後に無料BB配信」『AV Watch』、2007年4月5日。2021年8月18日閲覧。
- ^ 「ガンダム 40周年プロジェクト」本格的に始動!シネマ・コンサート他、各種イベントを展開! 2019年4月7日 機動戦士ガンダム40周年プロジェクト
- ^ “「ガンダム映像新体験TOUR」TCXで実施決定!DOLBY CINEMAでの上映日も公開!”. 機動戦士ガンダム40周年プロジェクト (2019年11月14日). 2021年8月18日閲覧。
- ^ 「『機動戦士ガンダムSEED』新プロジェクト始動。テレビシリーズの続編となる映画を福田己津央監督のもとで制作中、新作ゲームも開発決定!」『ファミ通.com』、2021年5月28日。2021年5月29日閲覧。
- ^ “映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』2024年1月26日に公開決定。シリーズ最新作、完全新作ストーリー”. ファミ通.com (KADOKAWA Game Linkage). (2023年7月2日) 2023年7月2日閲覧。
- ^ “劇場版「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」2024年1月26日に公開!第1弾PV&ティザービジュアルが公開に”. ORICON NEWS. (2023年7月2日) 2023年7月3日閲覧。
- ^ “「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」来年1月に公開、第1弾PVが解禁”. 映画ナタリー. (2023年7月2日) 2023年7月3日閲覧。
- ^ “Pフィーバー機動戦士ガンダムSEED機種情報”. 777パチガブ (2023年8月7日). 2023年8月7日閲覧。
- ^ 『機動戦士ガンダムSEED 公式ガイドブック 運命の再会』角川書店、2003年2月、87頁。ISBN 978-4-04-853596-0。
- ^ 『電撃ホビーマガジン』2003年11月号、メディアワークス、60頁。
- ^ (放送局への回答要請/青少年委員会/BPO(2015年5月13日閲覧、オリジナル のアーカイブ)
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