旭日章 運用

旭日章

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/06 06:47 UTC 版)

運用

2002年(平成14年)2月、中谷元防衛庁長官)から勲一等旭日大綬章を伝達されるデニス・C・ブレアアメリカ太平洋軍司令官)。

旧制度下に於いては勲等の序列は旧来の宮中席次に則り、上位から旭日章宝冠章瑞宝章の順に、同じ勲等の中では最も上位に位置づけられていた[注釈 6]。そのため、旧制度下での旭日章の授与対象は「瑞宝章を授与するに値する以上の功労のある者」と定められていた。

2003年(平成15年)、栄典制度の抜本的改革にあたり、男性のみに与えられるなどの条件が社会情勢に合わなくなってきたこともあって、女性も授与の対象に含まれることとなった。同時に、それまで最上位とされた旭日桐花大綬章は桐花章(桐花大綬章)として独立し、八等と七等は廃止されて6階級での運用になった。またそれまで下位の勲章であった瑞宝章が旭日章と同等の勲章へと格付けが変更されるにあたり、叙勲の選考基準もそれまでの「功績の大小」から「功績の内容」で判断されることとなった。

上記の経緯により、現在では“国家または公共に対し功労がある者の内、功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた者”が旭日章の叙勲対象となっている。

外国人に対する儀礼的叙勲での運用

国賓の来日や皇族の外遊などの際に同席する認証官クラスの要人に贈られる。役職により授与される勲等が判断され、政府首相や軍部司令官などの役職には大綬章(勲一等)が授与される。外交官などにも贈られるが、国家の規模や日本国への貢献度により授与される勲等には幅がある。その他随行の関係者等にも、その役職に応じた等級の勲章が授与される。

珍しい例としては、上皇明仁皇太子時代に皇太子妃を伴ってマレーシアを公式訪問した際、接遇にあたった「前国王の令息」に対して儀礼叙勲として勲一等旭日大綬章を授与している。通常、王族男性であれば大勲位菊花大綬章が与えられるところであるが、マレーシアの国王は複数のスルタン家の中から任期を指定して輪番制で選ばれるシステムを採用しているため「正式な王家・王族」の定義が時期によって変わるので身位の定義が難しく、日本政府が苦慮した末の判断であった。

皇族に対する叙勲

皇族叙勲については、勲章制定にあたり明治天皇勲一等旭日大綬章自ら佩用し、その他では有栖川宮幟仁親王を始めとする皇族10名に勲一等旭日大綬章天皇から親授された。

その後、皇族身位令(明治43年皇室令第2号)の制定により、男性皇族への初叙が勲一等旭日桐花大綬章へと引き上げられたため、以降勲一等旭日大綬章の皇族への叙勲はない。また皇室令自体も、昭和22年5月2日皇室令第12号により全部廃止されている。

  • 第九条 皇太子皇太孫ハ満七年ニ達シタル後大勲位ニ叙シ菊花大綬章ヲ賜フ
  • 第十一条 親王ハ満十五年ニ達シタル後大勲位ニ叙シ菊花大綬章ヲ賜フ
  • 第十四条 王ハ満十五年ニ達シタル後勲一等ニ叙シ旭日桐花大綬章ヲ賜フ

注釈

  1. ^ 勲二等旭日重光章の正章及び大綬章の副章を除く。
  2. ^ また勲七等青色桐葉章も第二次世界大戦末期の物には一時的に裏面の七宝を省略した物が存在する
  3. ^ 栄典制度改正後に伴い、新規制作分から順次切り替えのため、裏面七宝のある章も新制度の物として授与されていた。
  4. ^ a b 写真の蝶型略綬は大正10年4月25日勅令第146号による改定前のもの。
  5. ^ 「第二(授与基準)第1項第3号に掲げる職」とは、内閣総理大臣参両院議長最高裁判所長官国務大臣内閣官房副長官副大臣、衆参両院副議長、最高裁判所判事大臣政務官、衆参両院常任委員長、衆参両院特別委員長国会議員都道府県知事政令指定都市市長、指定都市以外の市の市長、特別区区長、町村長、都道府県議会議員、市議会議員、特別区の議会議員、町村議会議員である。
  6. ^ 旭日章より上位に金鵄勲章があったが、「勲等」ではなく「功級」であるため本項では除外。

出典

  1. ^ a b 勲章の授与基準(2003年(平成15年)5月20日閣議決定)、内閣府。
  2. ^ 同日制定の「各種勲章及び大勲位菊花章頸飾の制式及び形状を定める内閣府令(平成15年内閣府令第54号)」
  3. ^ 勲一等旭日大綬章、2019年6月16日閲覧。
  4. ^ 勲章及び褒章の英訳名”. 内閣府. 2019年11月3日閲覧。






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