後期高齢者医療制度 財政

後期高齢者医療制度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/06 10:47 UTC 版)

財政

後期高齢者医療に要する費用は、50%が公費(一般税収)で、50%が社会保険料で賄われる。

公費の内訳は(国:都道府県:市町村=4:1:1)で、それぞれ広域連合に交付される。

社会保険料については、約1割(負担率は平成20,21年度は10%とし、平成22年度以降は10%を基準に2年ごとで政令で定める(第100条2項、3項)。令和2、3年度については11.41%)を後期高齢者医療制度の被保険者が直接納付する保険料で負担し、残りの約4割(令和2、3年度は38.59%)は現役世代(64歳以下)と前期高齢者(65~74歳)の各医療保険者(健康保険組合、全国健康保険協会、市町村等)が後期高齢者支援金・後期高齢者関係事務費拠出金を社会保険診療報酬支払基金に納付し、基金は後期高齢者交付金を広域連合に交付するように設定されている(第100条、算定政令第11条の2)[2][8]

財政負担ルール[2]
公費(5割)
現役世代支援金(4割) 自己負担(1割)

(6分の4)
都道府県
(6分の1)
市町村
(6分の1)
各医療保険者からの
後期高齢者制度支援金
受給者負担

なお、一部負担金が3割とされる者に係る療養の給付等に要する費用については、公費負担はなく、保険料(約1割)と後期高齢者交付金(約9割)のみにより賄われる。

現役世代への負担増

日本の福祉に占める、高齢者関連支出(棒グラフ部;100億円)

マスメディアでは、高齢者が直接負担する保険料についてクローズアップされる傾向にあるが、実際には64歳以下の現役世代が負担させられる後期高齢者支援金が非常に重いことが指摘されており、平成24年度には拠出金負担によって、74%の健保組合が赤字決算に転落、4割の組合が保険料率を引き上げた[9]

また、義務的経費(保険給付費+納付金・支援金)さえ保険料収入で賄えていない健康保険組合は、全組合の45.4%(649組合)を占めるようになり[9]、健保組合の破綻・解散により、全国健康保険協会(協会けんぽ)に移行する組合が続出している[10][11][12][13]。協会けんぽに移行する健保組合が多くなると、厚生労働省の協会けんぽ負担金が増えてしまう悪影響がある。

後期高齢者支援金は、原則として各医療保険者が加入者数に応じて負担することとされているが、被用者保険者間の財政力にばらつきがあることから、加入者数に応じた負担では、財政力が弱い保険者の負担が相対的に重くなる。このため、負担能力に応じた費用負担とする観点から、平成22年度から24年度までの支援金について、被用者保険者間の按分方法を3分の1を総報酬割、3分の2を加入者割とする負担方法を導入した(国保と被用者保険の間では、加入者割を維持)。

2015年5月27日の参議院本会議で成立した「医療保険制度改革関連法」による医療保険制度改革等の一環として、被用者保険者の後期高齢者支援金について、より負担能力に応じた負担とする観点から、総報酬割部分を2015年(平成27年)度に2分の1、2016年(平成28年)度に3分の2に引き上げ、2017年(平成29年)度から全面総報酬割を実施することとなった。あわせて、全面総報酬割の実施時に、前期財政調整における前期高齢者に係る後期高齢者支援金について、前期高齢者加入率を加味した調整方法に見直すこととされ、前期高齢者負担金の負担軽減を図ることとなった。

高齢者の医療の確保に関する法律では、特定健康診査の制度を設けて健康づくり・疾病の予防の取組みを高齢者となる前から進め、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)では「2020年までに国民の健康寿命を1割以上延伸」という数値目標を掲げているが、目標達成のためには健康づくりに取り組みインセンティブが弱いことが課題として挙げられている。

医療保険者に対するインセンティブの強化については、各保険者の特定健診・特定保健指導の実施状況に応じ、実施状況が著しく高い保険者においては、後期高齢者支援金が減算され(負担金が軽くなる)、実施率が0%の場合には加算される(負担金が重くなる)仕組みが2013年度より開始され、さらに2018年度からは保険者種別ごとに共通の目標を設定し、その実施状況なども指標として追加するなど、複数の指標により評価する仕組みとすることとされ、例えば協会けんぽでは、各支部の取組が各都道府県ごとの保険料率に反映されることになる。







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