地獄少女
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/06 20:30 UTC 版)
作品
主な内容
基本的なコンセプトは、時代劇「必殺シリーズ」の「法で裁けぬ晴らせぬ怨みを依頼者から引き受け、成敗する」というものである。これについては制作側が語っているほか、オープニング時の背景・ナレーションや、エンディング直前の場面で依頼人の名前が書かれた蝋燭に火が灯り、「貴方の怨み、晴らします」というナレーションなどからも、影響がうかがえる[要出典]。
ただし、「依頼人自身も死後にその代償を受け、地獄へ落ちる」という本作品独自の設定がある。そうした作風について、制作側は「『人を呪わば穴二つ』の言葉のように、依頼者の人の命を奪うという心願成就には、それ相応の罰が必要である」と語っている。
オープニングでは、河鍋暁斎の地獄絵が使われている。
成立経緯
本作品の企画自体は2003年ごろから存在し、世に出そうと策が練られていたが、内容が「憎い相手を地獄流しにする」といった過激な要素が基本にあることや、原作に漫画が無い「オリジナルアニメ」の企画が通りにくい、当時の日本のアニメ市場の構造的問題もあり、企画の進行は停滞していた。
最終的に、あるスタッフが講談社の『なかよし』の編集者と会う機会を得てこの企画の話をしたところ、編集者が興味を持ち、テレビアニメ化に先立って漫画化が決定する(後述)。その後、アニメ企画も息を吹き返し、『地獄少女』という稀有なキャラクターは、世に送り出されることとなった。
その後、大森貴弘を監督に迎えて制作され[2]、主役の声優には能登麻美子が起用された[注 1]。アニメとして、プレゼンテーションの末に毎日放送(#放送局を参照)などで放送することが決まった(そのため、シリーズを通してクレジットには同局のアニメプロデューサー・丸山博雄が「企画協力」として名を連ねている)後、2005年10月より放送が開始され、半年間(連続2クール)に渡る放送は各局ともおおむね好評のうちに終了した。
アニメ(原作)としての『地獄少女』4作の放送に関する詳細は#概要を参照。
メディア展開
アニメに先行し、永遠幸の作画で講談社『なかよし』2005年11月号から漫画化作品『地獄少女』が連載開始された。ファンシーな少女たちが描かれる明るい作風の目立つ『なかよし』において、連載作品陣では異彩を放ちつつも相応の人気を獲得し、当初は隔月連載の予定だったものが2006年1月号より毎月連載となり、全9巻が刊行された。第1シリーズの完結後はアニメ第3期『三鼎』を原作とする第2シリーズ『新・地獄少女』全3巻を経て2009年9月号より漫画オリジナルの第3シリーズ『地獄少女R(リターンズ)』が2013年4月号まで連載された。また、本編と併せて本作品とは離れた都市伝説を題材にしたアンソロジーコミック『地獄少女 閻魔あいセレクション 激こわストーリー』も全13集が刊行された[注 2]。
2006年11月4日から2007年1月27日まで、実写ドラマ版『地獄少女』が日本テレビと静岡第一テレビで放送された。放送開始に当たり、ドラマ版で輪入道を演じる小倉久寛がアニメ『二籠』のナレーションを担当。また、アニメで各キャラクターを演じた声優がドラマ版に出演するなど、アニメと連動した試みも行われた。
また2007年に入り、エンターブレインとホビージャパンの2社から立て続けにノベライズが発行されることが発表された。オリジナル作品だけでなくゲームやアニメの小説化作品を多数手がける天羽沙夜がファミ通文庫版を、本作品で脚本を手がける広真紀がHJ文庫版を、それぞれ手がけており、2008年には石崎洋司がなかよし文庫版を手がけている。
『二籠』放送後には、地獄少女のキャラクターを使用した携帯電話用パズルゲーム『地獄少女ぱずるだま』の配信が開始、2007年9月にはオリジナルシナリオのアドベンチャーゲーム『地獄少女 朱蘰(あけかづら)』が発売、2009年9月には『三鼎』のオリジナルストーリーを原典にしたアドベンチャーゲーム『地獄少女 澪縁(みおよすが)』が発売された。
2016年には舞台版作品が上演され、2019年秋には実写映画作品が劇場公開された。それぞれ、詳細は#舞台や#映画を参照。
注釈
- ^ 原案のわたなべひろし曰く、「ささやくようなあの声が雰囲気に合う」という希望から[3]。
- ^ 各巻には『なかよし』に掲載された『地獄少女』のエピソードが必ず1話掲載されている。この点は2012年から刊行されている後継アンソロジー『本当にヤバイホラーストーリー』においても同様である。
- ^ ただし、地獄少女や三藁の姿は依頼人や霊感の強い者にしか見えないらしく、第1期第二十話で地獄少女を番組に取り上げようとしたテレビスタッフたちは三藁による幻覚に惑わされ、スタジオから逃げ出した。
- ^ 「地獄流しを依頼してまで命を救った妻が記憶を失い、依頼者のことを忘れてしまった」(『二籠』第四話より)、「未練はないと思っていたが、昏睡状態だった娘の意識が回復したため、彼女が犯罪者の娘になってしまった」(『二籠』第十三話より)など。
- ^ 地獄流しまでにさまざまな障害が発生したことや、依頼が正式に成立しなかったことは何度かあるが、地獄流し自体が失敗に終わったことは一度も無く、その成功率は100%である。
- ^ 第3期以降、SNoWはソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズとの契約を解消したこともあり、新曲を本作品に提供することは無くなった(ただし、第4期番宣で過去のOP曲を紹介する際には、短い時間ではあるがSNoWの曲も流している)。
- ^ このアバンタイトルへの追加により、次回予告は尺の関係からカットされている。同様に、本編も一部シーンがカットされた。
- ^ 使われた音源の一部は、テレビ東京系で放映された『ドクターハート 薮田公介の事件カルテ』で使用された[要出典]。
- ^ 本姓は田村。
- ^ a b 回想内での依頼者とターゲット。大河内は回想内でのみ登場。
- ^ 生命を持たない人形であるため、契約不可。
- ^ 存在のみ示唆されている。
- ^ 本名:わたなべひろし。なお、次回以降のオープニングクレジットでは、わたなべの名前に契約の印が追加されており、『三鼎』までこの表記が続いた。
- ^ a b 最終的に契約断念。
- ^ 依頼遂行直後に服毒自殺。
- ^ 最終的に依頼拒絶。
- ^ 本名は黒部一郎。
- ^ 依頼遂行直後に交通事故に遭い、死亡。
- ^ 最後の渡し舟には一目連が同船。通常、担当した藁人形がターゲットと同船する。
- ^ 本姓は真中。自分が死後、地獄行きが嫌で契約しなかった元依頼者。
- ^ ただし、渡し舟には一目連が同船。
- ^ 糸を解く直前にターゲットが病死したため、未遂。
- ^ 病死と共に住んでいた家が倒壊。実は遺言状をしたためており、そこには「自分の家で死にたい」という自分のわがままのために事故死させた者および遺族への謝罪に加え、自分が死んだら土地を道路にして欲しいという旨が書かれていた。
- ^ 第二十三話に再登場するが、交通事故に遭って死亡。
- ^ ターゲットに刃物で刺され、依頼遂行直後に死亡。
- ^ 糸を解く直前にターゲットが自殺したため、未遂。
- ^ 交通事故に遭い、依頼遂行直後に死亡。
- ^ 依頼者が死亡する直前に自ら糸を解いた。
- ^ 一目連と輪入道のみで話が展開し、骨女は最後のシーンのみ。さらに、渡し舟には担当した藁人形として骨女が同船。
- ^ a b あいが地獄流しを中止したことから未遂に終わり、拓真は現世へ戻っている。
- ^ a b 作中でも「上坂六郎」と「上坂六朗」の表記が混在している。
- ^ a b あいが「名和の未来」としてゆずきに見せた幻の中での依頼者とターゲット。
- ^ 依頼遂行直後に住居の崩壊に巻き込まれて死亡。
- ^ この回の依頼者とターゲットはどちらも一卵性双生児であり、ロウソクの場面では下の名前が白く塗り潰され、どちらであるかは不明のまま話が終わっている。
- ^ 依頼時期は不明。
- ^ 最終的に契約破棄。
- ^ 本編ラストの蝋燭のシーンで、本名が『遠野奈々子』と記載されている。
- ^ アバンタイトルでは相方のナナコを地獄へ流そうとしたが、寸前で契約破棄。
- ^ a b 回想内での依頼者とターゲット。鈴村は回想内でのみ登場。
- ^ 本放送は全話超額縁放送。2007年7月28日から同年10月20日まで放送した『地獄少女セレクション』デジタルでは16:9フルサイズで放送。
- ^ 放送前週の同時刻には「放送直前スペシャル番組」を放送。
- ^ 公開記念舞台挨拶に登壇した大場によれば、CGではなく二の腕まで特殊メイクを施された7人くらいによる実際の手だそうである[16][18]。
出典
- ^ “特別企画『「地獄少女」Q&Aコーナー』”. 地獄少女 公式サイト「地獄通信」. 2015年11月30日閲覧。
- ^ “2008 秋の番組改編について” (PDF). 東京メトロポリタンテレビジョン. 2010年10月13日閲覧。
- ^ “いっぺん、全部見る?アニメ「地獄少女」コンプリート宣言!”. ファミリー劇場 オフィシャルブログ. 2016年2月7日閲覧。
- ^ “CD・DVD”. TVアニメ「地獄少女」公式サイト. アニプレックス. 2017年8月16日閲覧。
- ^ “Blu-ray/DVD”. TVアニメ 地獄少女 宵伽(よいのとぎ) 公式サイト. アニプレックス. 2017年8月16日閲覧。
- ^ jigokuanimeの2017年3月31日のツイート、2017年4月5日閲覧。
固有名詞の分類
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