全権委任法 合法性

全権委任法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/29 13:10 UTC 版)

合法性

この法律が合法的な手段で制定されたという意見は存在しているが、カール・ディートリヒ・ブラッハードイツ語版は、欺瞞や恐喝による同意の取り付け、左翼議員の逮捕や各州政府の改編は明らかな違法行為であったと指摘している[30]

現代ドイツ基本法への影響

第二次世界大戦後に成立したドイツ連邦共和国(東西統一以前の旧西ドイツ)では、憲法(ドイツ連邦共和国基本法)の国民主権規定を防衛する義務を国民に課し、「戦う民主主義」を基本としている。言論結社の自由などの天賦人権は保障されているが、民主主義体制の否定、連邦共和国の破壊を目指す政党は自由の名の下に保護される資格がなく禁止される(基本法21条)。また1968年6月24日の改正では、憲法的秩序を除去しようと企てる者に対し、他の救済手段が存在しない場合、すべてのドイツ人は抵抗権を有する(基本法第20条4項)ことが明記されるようになった[43]

脚注

参考文献

関連項目


注釈

  1. ^ 一方で、この法律ではない授権法を「全権委任法」と呼ぶ用法も存在する[5]。また「全権授与法」という表記もある[6]

出典

  1. ^ カーショー上巻,pp.478-494.
  2. ^ 南利明 1988, p. 200、217-218.
  3. ^ a b 中井晶夫 1984, p. 11.
  4. ^ 授権法(じゅけんほう)とは - コトバンク」(コトバンク)。出典、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
  5. ^ 独逸連立内閣 : 二閣僚を更迭して第二ストレーゼマン内閣成る」大阪毎日新聞(1923.10.8 (大正12))(神戸大学附属図書館 デジタルアーカイブ 【 新聞記事文庫 】 )
  6. ^ 南利明 1988, pp. 219.
  7. ^ a b 南利明 1988, pp. 206–207.
  8. ^ a b 南利明 1988, pp. 199.
  9. ^ a b c 南利明 1988, pp. 217.
  10. ^ 南利明 1988, pp. 200.
  11. ^ 南利明 1988, pp. 201.
  12. ^ 南利明民族共同体と法(三) : NATIONALSOZIALISMUSあるいは「法」なき支配体制」『静岡大学教養部研究報告. 人文・社会科学篇』第25巻第1号、静岡大学、1989年、61-98頁、doi:10.14945/00003566NAID 110007615716 
  13. ^ 南利明 1988, pp. 205.
  14. ^ a b 南利明 1988, pp. 208.
  15. ^ a b c 南利明 1988, pp. 209.
  16. ^ 南利 明 1988, pp. 209、220.
  17. ^ a b 中井晶夫 1984, p. 34.
  18. ^ 南利明 1988, pp. 210.
  19. ^ 南利明 1988, pp. 209–210.
  20. ^ 南利明 1988, pp. 211–212.
  21. ^ a b 南利明 1988, pp. 212.
  22. ^ 南利明 2002, pp. 212–213.
  23. ^ 南利明 2002, pp. 213.
  24. ^ 南利明 2002, pp. 213–214.
  25. ^ ジョン・トーランド、149p
  26. ^ 南利明 1988, pp. 214–215.
  27. ^ a b c 南利明 1988, pp. 215.
  28. ^ 正式に共産党議員の議席が剥奪されるのは、3月31日の「ラントとライヒのグライヒシャルトゥングのための暫定法律」施行による(南利明 1988, pp. 221–222)
  29. ^ 南利明 1988, pp. 221–222.
  30. ^ a b 南利明 1998, pp. 216.
  31. ^ 南利明 1988, pp. 222–223.
  32. ^ 南利明 1988, pp. 207.
  33. ^ 南利明 1988, pp. 207、223.
  34. ^ 南利明 1988, pp. 218.
  35. ^ 南利明 1988, pp. 209、220.
  36. ^ 南利明 2002, pp. 128.
  37. ^ 南利明 1988, pp. 217–218.
  38. ^ 南利明 1989, pp. 70.
  39. ^ 南利明 1989, pp. 97.
  40. ^ a b 南利明 1989, pp. 96.
  41. ^ a b c 南利明 2003, pp. 122–123.
  42. ^ 南利明 2003, pp. 122.
  43. ^ 山内敏弘西ドイツ非常事態憲法における抵抗権」『一橋論叢』第65巻第1号、一橋大学一橋学会、1971年、92-113頁、NAID 110007638453 


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