ロケーションフリー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/11 03:36 UTC 版)
著作権と判例
最高裁判所判例 | |
---|---|
事件名 | 著作権侵害差止等請求事件 |
事件番号 | 平成21(受)653 |
平成23年1月18日 | |
裁判要旨 | |
誰でも契約すればサービスを利用できる以上、利用者は公衆にあたる。番組を機器に入力しているのは永野商店であり送信の主体である。サービスは著作権法上の送信を可能にする権利を侵害していて、公衆に対して送信できる権利も侵害している。 | |
第三小法廷 | |
裁判長 | 田原睦夫 |
陪席裁判官 | 那須弘平、岡部喜代子、大谷剛彦 |
意見 | |
多数意見 | 全員一致 |
意見 | なし |
反対意見 | なし |
参照法条 |
ソニーが販売を開始してしばらくして、株式会社永野商店がまねきTVというブランドで、利用者からロケーションフリー機器を預かることで、利用者が海外で日本のテレビが視聴できるようになるサービスを開始した。これを公衆送信権と送信可能化権の侵害ととらえた権利者が、サービスの差し止めを求めて仮処分の申立と提訴を行った。この間の経緯はつぎの通りである。
- 2006年8月4日、東京地裁はNHKとキー局らによる仮処分申立を棄却[4]。
- 2006年12月22日、知財高裁はテレビ局側による仮処分申立の抗告を棄却[5]。
- 2007年1月31日、知財高裁は「仮処分・抗告許可申立」に対し抗告を許可しない決定を下した。(最高裁への仮処分の申請が認められなかった)[6]
- 2008年6月20日、東京地裁はテレビ局側を原告とする商用サービス差し止め訴訟に対し「著作権侵害とは言えない」との判決を下し、原告の請求を棄却[7]。
- 2008年12月15日、知財高裁はテレビ局側を原告とする控訴審で東京地裁の判決を支持し、原告の請求を棄却[8]。
- 2011年1月18日、最高裁判所は、まねきTVのサービスは著作権侵害にあたるとの初判断をしめし、テレビ局側敗訴の2審判決を破棄、審理を知財高裁に差し戻した[9][10]。
- 2012年1月31日、知財高裁は差止請求、損害賠償請求共に認める判決を下した[11]。まねきTV側はホームページで「差し戻し判決には納得できないので上告します。」と表明している。
- 2012年5月、まねきTVは最高裁判決に対応するため設置スペースと高速回線を提供するサービスへ変更し、まねきTVではTVアンテナ端子を提供しない方式へ変更となった。なお、フレッツテレビ等をユーザーが直接契約する事により従来どおりロケーションフリーが利用が可能との事である。
- 2013年2月、最高裁判所への上告が却下された事に伴い、まねきTVはサービス終了を発表した[12]。
- ^ “ロケーションフリー「Net AV機能」終了のお知らせ”. AV伝送機器 LocationFree 「ロケーションフリー」. ソニー (2023年3月1日). 2023年4月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月25日閲覧。
- ^ a b OSはWindowsに限る。
- ^ 外部入力端子に地上デジタル放送対応チューナーを接続することで地上デジタル放送の視聴も可能となるが、画質はアナログ並みとなる。
- ^ ITmedia (2006年8月7日). “ロケフリ利用の遠隔視聴サービス、中止求めるテレビ局の申し立て却下”. 2008年6月23日閲覧。
- ^ ITmedia (2006年12月22日). “ロケフリ利用の遠隔視聴サービス、知財高裁も適法と判断”. 2008年6月23日閲覧。
- ^ 平成18年(ラ許)第10007号許可抗告申立事件
- ^ INTERNET Watch (2008年6月23日). “「まねきTV」は適法、東京地裁がテレビ局側の請求棄却”. 2008年6月23日閲覧。
- ^ ITmedia News (2008年12月16日). “「まねきTV」は適法 知財高裁、テレビ局側の控訴を棄却”. 2008年12月17日閲覧。
- ^ 最高裁判所第三小法廷裁判 2011年1月18日 、平成21(受)653、『著作権侵害差止等請求事件』。
- ^ “番組ネット転送訴訟で著作権侵害を認定 テレビ局側逆転勝訴 最高裁”. MSN産経ニュース (産経新聞社). (2011年1月18日) 2011年1月19日閲覧。
- ^ 番組ネット転送:TV番組海外転送に賠償命令 著作権侵害認める--知財高裁・差し戻し審判決
- ^ NEWS&TOPICS一覧
- ^ “放送サービスの高度化に関する検討会 検討結果取りまとめ」の公表”. 総務省. (2013年6月11日)
- ^ “オールジャパンで4K/8K推進「次世代放送推進フォーラム」設立”. AV Watch. (2013年6月17日)
- ^ “デジタル放送の“リモート視聴“規格が決定。NexTV-F”. AV Watch. (2014年2月14日)
- ^ “NexTV-F、“リモート視聴”対応チャンネルを公開。地デジは全局対応、WOWOWなど非対応”. AV Watch. (2014年3月24日)
- ^ “ソニーBDレコーダが外出先からの“リモート視聴”対応”. AV Watch. (2014年3月25日)
- ロケーションフリーのページへのリンク