サロメ (戯曲) サロメ (戯曲)の概要

サロメ (戯曲)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 21:59 UTC 版)

サロメ
Salomé
オーブリー・ビアズリーによるイラストレーション(1894年)
作者 オスカー・ワイルド
フランス
言語 フランス語
ジャンル 戯曲
幕数 1幕
初出情報
初出 1891年
刊本情報
刊行 1893年
初演情報
公演名 リューニュ・ ポエ一座公演
場所 ルーブル座
初演公開日 1896年
日本語訳
訳者 森鷗外日夏耿之介
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術
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女優サラ・ベルナールのために書かれたと噂されるが、ワイルド自身はこれを否定している[2]

日本で最初にこの戯曲でサロメ役を演じたのは松井須磨子である。1913年大正2年)12月、島村抱月芸術座による帝国劇場での上演だった。1960年(昭和35年)4月と、1971年(昭和46年)2月には、三島由紀夫の演出(1971年 は三島の死により和久田誠男の演出補)で上演されている[3]

あらすじ

ユダヤの王エロドは、自分の兄である前王を殺しを奪い今の座に就いた。妃の娘である王女サロメに魅せられて、いやらしい目を彼女に向ける。その視線に堪えられなくなったサロメは、宴の席をはずれて、預言者ヨカナーン(洗礼者ヨハネ)が閉じ込められている井戸に向かう。預言者は不吉な言葉を喚き散らして、妃から嫌がられている。預言者との接触は王により禁じられているのだが、サロメは色仕掛けで見張り番であるシリアの青年に禁を破らせて、預言者を見てしまう。そして彼に恋をするのだが、預言者のほうは彼女の忌まわしい生い立ちをなじるばかりである。愛を拒まれたサロメはヨカナーンに口づけすると誓う。

エロドはサロメにしつこくダンスをしろと要求し、何でも好きなものをほうびにとらせると約束する。サロメはこれに応じて7つのヴェールの踊りを踊り、返礼としてエロドにヨカナーンの首を所望する。預言者の力を恐れて断るエロドだが、サロメは聞き入れない。あきらめたエロドはヨカナーンの首をサロメにとらせる。銀の皿にのって運ばれてきたヨカナーンの唇にサロメが口づけし、恋を語る。これを見たエロドはサロメを殺させる。

日本語訳

『サロメ』を初めて日本語に翻訳したのは森鷗外で、以後21世紀に至るまで日夏耿之介佐々木直次郎楠山正雄若月紫蘭、そして内藤濯ら多くの翻訳者により日本語訳が出版された。

福田恆存訳(岩波文庫)、西村孝次訳(新潮文庫)が著名。新訳版は平野啓一郎訳(光文社古典新訳文庫)。日夏耿之介訳は「院曲サロメ」で新版刊行。
  • 福田恆存 訳『サロメ』岩波書店〈岩波文庫〉、改版2000年。 
  • 西村孝次 訳『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇』新潮社〈新潮文庫〉、改版2005年。 
  • 平野啓一郎 訳『サロメ』光文社〈光文社古典新訳文庫〉、2012年。 
  • 日夏耿之介 訳『院曲 サロメ』沖積舎、2004年。 
    • 旧訳版の題名は『院曲撒羅米』(蘭台山房、1938年/東出版、1977年)

参考書籍

  • 井村君江『「サロメ」の変容』(新書館、1990年)…『サロメ』がどのように受容されてきたかを分析した。三島由紀夫岸田今日子を主演に演出したときのことが、書かれている。当時の関係者(三島、岸田を含む)の座談会付き。芥川龍之介の未発表原稿に『サロメ』をアレンジした作品があった事も記す。
  • 井村君江『サロメ図像学』(あんず堂、2003年)… 続編でモロークリムト他250点余の図像を読み解いた。
  • 工藤庸子『サロメ誕生 フローベール/ワイルド』(新書館、2001年)…オリエンタリズムの見地からの作品論と、併せてフローベールヘロディア』、『サロメ』の新訳を収録。



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