ケミカルタンカー ケミカルタンカーの概要

ケミカルタンカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/23 01:36 UTC 版)

コロンビア川上のケミカルタンカー「ギンガ・ファルコン」 (GINGA FALCON)、独立1タンク1ポンプシステムが見える
2006年時点のケミカルタンカー船隊
ケミカルタンカーの甲板には複雑なパイプが張り巡らされている。この写真は1986年建造で43,851 載貨重量トンのサウジアラビアのケミカルタンカー「アル・ファラビ」(Al Farabi)で、糖蜜を輸送している。ブレストにて。
「ゴールデン・ノリ」(Golden Nori)

海運用海ケミカルタンカーは、通常載貨重量トンにして5,000 トンから40,000 トンほどで、これは特定の積み荷に特化しているという船の性質や、荷役のために寄港するターミナルの大きさの制約などの理由により、他の種類のタンカーの平均的な大きさよりかなり小さなものとなっている。

ケミカルタンカーは通常、いくつかに分けられたタンクを持ち、それぞれはフェノールエポキシ樹脂亜鉛ペイントなど特別なコーティングがされていたり、ステンレス鋼で造られていたりする。コーティングやタンクの材質によって、そのタンクが運ぶことができる積み荷の種類が決定される。硫酸リン酸などの強い酸の積み荷にはステンレス鋼のタンクが必要とされる一方で、より単純な積み荷、植物油などはエポキシ樹脂コーティングのタンクで運ぶことができる。

ケミカルタンカーは、特定の積み荷の粘度を保つためにタンクを暖める装置を持っていることがある。典型的にはこのシステムは、積み荷のタンクの中にステンレス鋼の加熱管が通されていて、圧力の掛かった蒸気をここに送り出すボイラーがある。これにより熱が積み荷に伝わり、対流によりタンク内で循環する。多くの現代のケミカルタンカーは二重船体構造を特徴としており、タンクそれぞれにポンプがあり、独立したパイプ系統がつながっている。これは、各タンクに別な積み荷を積んで、互いに混じり合うようなことが無く運べることを意味する。積み荷を降ろした後のタンクのクリーニングはケミカルタンカーの運航ではとても重要なもので、これは適切に洗浄されなかったタンクの残留物が次の積み荷の純度に悪影響を与えることがあるからである。タンクをクリーニングする前には、タンクが適切に換気され、爆発性の気体が溜まっていないことを確認することがとても重要である。

ほとんどの新しいケミカルタンカーは日本大韓民国中華人民共和国造船所で建造されており、他の建造国としてはトルコイタリアドイツポーランドがある。

ケミカルタンカーによる輸送市場は様々な船会社の間で競争が行われており、ストルトニールセン (Stolt-Nielsen)、オドフェル (Odfjell)、MOL Chemical Tanker、飯野海運、Navig8、Fairfield Chemical Carrier、Hansa Tanker、Womar、興洋海運、MTMMなどである。最終的な船の使用者である荷主は、石油メジャーや化学専門企業、総合商社のケミカルトレーディング部門、独立系のケミカルトレーダーなどである。

ケミカルタンカーの貨物運送契約するために、多くの荷主は最も安い借り賃を得るために専門のブローカーを利用する。また近年多くの海運会社のウェブサイトも充実してきたので、船会社のウェブサイト経由で荷主と船会社がブローカーを挟まずに契約する事も増えている。


  1. ^ (月岡 1994, pp. 125–127)
  2. ^ (月岡 1994, pp. 129–130)
  3. ^ (月岡 1994, pp. 131–133)
  4. ^ (月岡 1994, pp. 133–135)
  5. ^ (月岡 1994, pp. 137–138)
  6. ^ 歴史商船三井
  7. ^ (月岡 1994, pp. 138–140)
  8. ^ (月岡 1994, pp. 141–142)
  9. ^ (月岡 1994, pp. 142–144)
  10. ^ 日本鋼管「二塩化エチレン運搬ケミカルタンカー“FORMOSA ONE”&“FORMOSA TWO” (PDF) 」 『船の科学』第34巻第11号、船舶技術協会、1981年11月10日、 36-45頁、2020年10月11日閲覧。
  11. ^ (月岡 1994, pp. 135–136)


「ケミカルタンカー」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ケミカルタンカー」の関連用語






6
34% |||||


8
30% |||||


10
30% |||||

ケミカルタンカーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ケミカルタンカーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのケミカルタンカー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS