クリプト藻 クリプト藻の概要

クリプト藻

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/07 13:40 UTC 版)

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クリプト藻
Rhodomonas salina CCMP322
分類
ドメ
イン
: 真核生物 Eukaryota
: クロムアルベオラータ Chromalveolata
亜界 : クロミスタ Chromista
: クリプト藻植物門 Cryptophyta
Cavalier-Smith, 1986
: クリプト藻綱 Cryptophyceae
Pascher 1913, emend. Schoenichen, 1925
下位分類
本文参照

細胞構造

細胞はおおよそ扁平な米粒型で、で言えば胚芽のあたりに2本の鞭毛を持つ。鞭毛基部の近傍にはガレット(咽喉部)と呼ばれる陥入部があり、ガレットの内壁にはこれを取り巻くようにトリコシスト(trichocyst; 毛胞)と呼ばれる射出装置が配されている。このトリコシストはちょうどトイレットペーパーが巻かれたような状態で収納されており、射出時にはこれが螺旋状に解けて展開する。ガレットの周囲には、他に眼点や反射体(refractile body)といった光学系の器官を持つ種もある。

鞭毛

クリプト藻の鞭毛は不等長〜亜等長で、種によって異なる。修飾としては鞭毛小毛や鱗片などが知られている。鱗片を持つ場合、この鱗片はロゼット状の特徴的な形態を示す。鞭毛小毛は鞭毛の軸に対して左右対称に生えているもの(両羽型)や片方にのみ生えているもの(片羽型)があり、2本の鞭毛における両羽/片羽の組み合わせも様々である。小毛は不等毛藻のそれとは異なり、軸部と先端毛から成る2部構成である(不等毛藻では基部を加えた3部構成)。クリプト藻の鞭毛小毛も不等毛藻と同様に推進力逆転の効果があると言われるが、前述のように片羽型の鞭毛や組み合わせの問題もあり、力学的な裏付けは取られていない。

葉緑体

クリプト藻の葉緑体はふつう細胞内に1つで、やその他の細胞小器官を取り巻くように細胞表面に沿った形で配置されている。光合成色素はクロロフィルa/cカロテノイド類、そしてフィコビリンタンパクとしてフィコシアニンやフィコエリスリン(フィコエリトリン)を含む。フィコビリンタンパクはチラコイドの内腔に詰まっている。その為クリプト藻のチラコイドは他の藻類よりも厚い。フィコシアニンを持つ Chroomonas 属では、細胞は藍藻のような青緑色を呈する。

クリプト藻の葉緑体は紅藻由来であるとされており、取り込まれた紅藻の核はヌクレオモルフとして葉緑体内に残存している。葉緑体膜は4重膜で、不等毛藻やハプト藻と同様に、最外膜は核膜と連絡している。ヌクレオモルフは外側の2枚(葉緑体ER)と内側の2枚との間の領域(periplastidal compartment)に位置しており、種によってはピレノイドに埋没する形になっている。この領域にはヌクレオモルフの他、真核型の80S rRNAデンプン粒なども見られる。

細胞外被

クリプト藻の外被はペリプラスト(periplast)と呼ばれる。これは細胞膜とそれを裏打ちする板状の構造から成る。板状構造はタンパク質でできており、その規則的なパターンは分類形質としても有用である。

細胞内共生とクリプト藻

ヌクレオモルフを持つがゆえに、細胞内共生説との関係で研究者の注目を集めてきたクリプト藻であるが、さらにクリプト藻を細胞内に取り込んで保持する藻類や原生動物が報告されている。クリプト藻を葉緑体として活用する生物は、渦鞭毛藻繊毛虫といったアルベオラータに多い。

渦鞭毛藻
  • Amphidinium
A. wigrenseA. latum など。取り込むクリプト藻は複数の種類があり、色素組成の異なるクリプト藻を細胞の左右に保持している例も報告されている。
  • Dinophysis
  • Gymnodinium
G. acidotum が専らChroomonas を取り込む。
繊毛虫
  • Mesodinium
主にM. rubrum。属は不明だが、複数匹のフィコエリスリン系の赤いクリプト藻を細胞内に保持する。



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