KC-130H
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 03:01 UTC 版)
「KC-130 (航空機)」の記事における「KC-130H」の解説
C-130Hは、新たな海外顧客に向けたC-130Eの発展型として開発されたという経緯もあり、その空中給油機仕様であるKC-130Hも輸出専用として開発されており、アルゼンチン空軍(2機)、ブラジル空軍(2機)、イスラエル航空宇宙軍(4機)、モロッコ空軍(3機)、サウジアラビア空軍(4機)、シンガポール空軍(2機)、スペイン空軍(5機)に配備されている。ただしアメリカ軍でも、広大な北極海・太平洋での捜索救難を担うアラスカ空軍州兵(英語版)向けに、KC-130Hとほぼ同仕様のHC-130H(N)が配備され、ヘリコプターへの給油に用いられている。また航空自衛隊でも、2005年頃よりUH-60J救難ヘリコプターに空中受油能力が付与されることになったのに伴って、C-130H輸送機の一部をKC-130H仕様に改修することになった。 これは主翼下に給油ポッド、カーゴベイ内に追加燃料タンク用の配線・配管、コクピットにこれらを制御・監視する機器を追加するものである。給油ポッドとしては、アメリカ海兵隊機ではサージャントフレッチャー製の装置が使用されていたのに対し、空自はその親会社製のコブハム900Eをボーイングで改修したMk.32Bが用いられており、プローブ接続は速度0.6メートル毎秒から、分離は1.2メートル毎秒までの広範囲で可能である。燃料の転送圧力は最大120 psi (830 kPa)まで対応できるが、空自の場合、UH-60J側のシステムの都合から、最大55 psi (380 kPa)に設定されている。またドローグも、アメリカ海兵隊機ではジェット機用の高速用ドローグとヘリコプター用の低速用ドローグを使い分けているのに対し、空自では、米空軍のMC-130Hと同様、速度域が広く汎用性が高い可変抵抗ドローグ(VDD)を採用した。ドローグを安定させるための最低速度は105ノット、逆に上限は180ノットである。貨物室内には、パレットに固定された1,800ガロン(6,814リットル)のタンク2個を追加搭載できるようになっている。これは脱着可能とされてはいるが、実際には機体の燃料システムとの接続・点検作業の手間がかかるため、空自KC-130Hのように輸送任務を兼任している場合、頻繁な脱着は現実的ではない。 UH-60J救難ヘリコプターに給油する空自KC-130H グリペン戦闘機に給油するスウェーデン空軍TP 84
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