AHCCとがん
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:17 UTC 版)
AHCCは動物実験においてがんの転移を抑制し、薬剤による肝障害を改善することが報告され、臨床においてもNK細胞の活性化促進、樹状細胞(DC)の総数を上昇させる ことから、がん患者の治療におけるBRM(Biological Response Modifier:生物学的応答調節物質)としての効果が期待されている。 これらの背景をもとに関西医科大学第一外科教授の上山泰男らは、肝切除術を施行し、肝細胞がんと診断された患者222例中、おおよそ半数の113例がAHCCを摂取し、レトロスペクティブに予後を比較した。その結果、術後のAHCC摂取が、肝炎の改善、再発予防および生存率の改善などいくつかのパラメータで、統計学的に有意な効果を示すことを報告している。その他、膵がん、乳がんに対してもAHCCの効果が報告されている。 同時にタイ国立がん研究所のSuphon Manoromanaらは、AHCCは進行性肝がん患者の生存期間を延長させ、QOLを改善すると報告している。また、関西医科大学外科講師の川口雄才らは、臨床で約7年間、消化器がんの術後補助療法としてAHCCを併用し、その有用性を検討した。その結果、胃がんではStageⅠAからStageⅢAまで、大腸がんではStage0からStageⅢaまで、累積5年生存率が他施設より上昇したと報告している。 そして、四国国立がんセンター泌尿器科の住吉義光らは、厚生労働省がん特別研究班として、初の「がんの代替医療の科学的検証と臨床応用に関する研究」プロジェクトにおいて、前立腺がん待機療法症例に対するAHCCによるヒト介入試験を実施した。平均年齢73.5歳の74例を対象として、AHCCを6ヶ月間摂取し、PSA値の変化、有害事象、QOLを評価した。その結果、74例中1例(1.3%)のみPSA値が50%以上減少し、副作用は下痢と皮膚掻痒感が1例ずつ認められたが、いずれも軽症で、摂食コンプライアンスはほぼ100%と良好であった。PSA値判定による直接的効果は認められなかったものの、ほぼPSA値変化はstableであり、安全性も良好で不安感の軽減効果も認められ、AHCCの有用性が報告された。 さらに、厚労省の同プロジェクトにおいて、現在、AHCCによる抗がん剤治療の副作用軽減に関する臨床試験が、大阪大学、金沢大学で実施中である。
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