がんの転移
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 03:12 UTC 版)
がん細胞が原発巣から離れ、血液やリンパ系を介して移動し、身体の他の部分に到達し、そこで増殖する。この一連のステップをがんの転移というが、転移を防止できればがんの9割は治ると言われている。 転移の仕組みは、がん細胞が「原発巣から離れ」、体内を流れ、「標的組織に接着し」、標的組織を取り囲んでいる「細胞外マトリックスを分解し」、「浸潤し」、標的組織内で増殖する。 各ステップでの重要事項は、がん細胞と細胞外マトリックスとの接着(と接着解離)である。特に「 」で示した部分は接着あるいは接着解離そのものである。それで、多くのインテグリンががん細胞の転移に関与していると言われている。なお、インテグリンは細胞増殖にも関与するので、がん細胞の増殖にも関与する。 図5を説明しよう。ミュンヘン工科大学のHaubnerが開発中の腫瘍の画像診断法である。インテグリンαvβ3に特異的に結合するRDGペプチドに陽電子放出核種を標識した化合物・[18F]Galacto-RGDを作る。その化合物を取り込ませ、ポジトロン断層法で、転移能の高い悪性黒色腫のあるヒトのがん組織を、陽電子を放出する組織像として検出した。図5のがん組織に光る部分(矢印)があり、化合物・[18F]Galacto-RGD、つまり、インテグリンαvβ3が血管系に強く発現していることがわかる。
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