開発黎明期 - 自然主義と捷水路主義とは? わかりやすく解説

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開発黎明期 - 自然主義と捷水路主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:39 UTC 版)

石狩川」の記事における「開発黎明期 - 自然主義と捷水路主義」の解説

1898年明治31年9月石狩川流域において、開拓事業着手後としては最悪洪水 (明治31年洪水) が発生した。この時の浸水面積上流部では空知川合流点より、下流では石狩湾までの平地、およそ150,000haが浸水し112名が死亡した事態重く見た当時河川管理者である内務省翌月には北海道治水調査会設けて石狩川治水方向性探り治水計画策定した後、翌1899年明治32年)より『第一期北海道拓殖計画』に基づいた石狩川治水事業着手した。 この石狩川治水事業中心的役割果たしたのが岡崎文吉である。岡崎石狩川水位調査を行う一方で欧米諸国河川工事・管理状況視察その中でアメリカ方式の自然を生かした治水方法石狩川採用することとした。これは岡崎の「自然主義」と呼ばれ、現在千歳川見られるヨーロッパ型の河川整備通ずるものがある。大規模な人為的改変加えず水防堤防整備護岸補強を行うことで自然を最大限残しながら治水事業を行うことを理想とした。また、洪水時の水位下げるために放水路建設し洪水調節図ろうとした。 1910年明治43年石狩川治水事務所設置され、『石狩川第一期治水工事事業』がスタートした岡崎事務所長として自身理念沿った形で河川改修始めた最初に取り掛かったのは生振篠路を結ぶ放水路事業であったこの際石狩川本川には可能な限り手を触れず放水路による洪水調節目指したが予想超える泥炭地工事行く手遮り難工事財政難悩まされるようになった難航極めた治水事業促進させるために1917年大正6年)に内務技官沖野忠雄派遣されるも、これが岡崎の「自然主義治水事業転換させる契機となった沖野1897年明治30年)より実施された『淀川修築工事』の総指揮を執った人物で、新淀川開鑿大阪港築港などのプロジェクト手掛けた当時河川工学分野での第一人者であった。だが沖野治水思想河川対し大規模な改修加え治水供するフランス河川工学であり、その根幹となるのは新淀川開鑿でもみられた河川ショートカット工法捷水路であった。この沖野の「捷水路主義」は当然岡崎の「自然主義」とは相容れず、両者真っ向から対立することとなる。だが実績に勝る沖野の手法が採用されることになり、1918年大正7年岡崎石狩川治水事務所長の職を退任沖野所長職に就任することで石狩川治水は「捷水路主義」に基づく河川改修シフトしていった。 1922年大正11年従前千歳川合流していた夕張川石狩川直接合流させる「夕張川新水工事」が始まり1936年昭和11年)に完成した。これにより蛇行していた夕張川直線化され従来河道旧夕張川となった石狩川本川では石狩川河口から江別までの区間における捷水路工事実施し下流部直線化を図った。また札幌市内細かく蛇行しながら貫流していた豊平川捷水路設置して直線化した続いて1934年昭和9年)より実施された『石狩川第二期治水工事事業においては幌向川合流していた幾春別川を、夕張川同様に直接石狩川合流させる「幾春別川新水工事」を開始1921年大正10年)より実施した美唄川新水工事と共に三笠市岩見沢市治水図った石狩川本川捷水路工事江別から月形、さらに上流向けて堤防整備と共に実施されたが太平洋戦争によって中断された。 この沖野による捷水路工事主体河川改修により、石狩川本川改修前には364km(信濃川とほぼ同延長)あった流路延長が100kmも短くなり、蛇行部分大幅に減少した。これによって洪水流下促進され洪水による湛水被害大幅に軽減泥炭地湛水解消されたことで、その後大規模開拓に繋がる農地開発次第手掛けられていった

※この「開発黎明期 - 自然主義と捷水路主義」の解説は、「石狩川」の解説の一部です。
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