脊椎動物の尾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 06:21 UTC 版)
この尾の有無は、動物界における前口動物と後口動物の二大グループを区分する特徴である。前口動物は身体の後端に肛門が存在するが、後口動物の大半は肛門より後ろに身体の一部が突出する。これが脊椎動物における尾である。後口動物のうち最初期に分化したウニなどは尾を持たないが、ナメクジウオなど頭索動物では背側の体節として脊索が形成され、その延長線上に遊泳器官として尾が発達している。脊椎動物では、魚類にとっての尾は多量の筋肉を支持する部分であり、抵抗の多い水中における推進力の獲得に大きく役立った。 しかし、陸上生活を行う四肢動物ではこのことはあまり意味がない。運動は四肢の働きに大きく依存するようになったことから、前後肢の間は、そこに主要な内臓を囲い、肋骨、骨盤などの発達によってひとかたまりのしっかりした構造を発達させる。これは運動の重心ともなる。それより前の部分は口・感覚器・脳の集まった頭部を支え、それと胴部をつなぐ首として生命の維持に重要な部分となる。 それに対して、胴部より後ろの脊椎を抱える尾部は少なくとも生命に関わるような重要性を失った。むしろ長く重い尾は全身の運動性に対する負担となる。一部の動物では尾の退化が見られる(カエル・カメ・ヒトなど)。鳥類においては尾そのものはその進化のごく初期にごく短く退化し、そこに生える羽毛を尾の代わりに発達させた。また、ドーベルマンなどの犬種では幼い頃に尾を切り落としてしまうが、これもそのような尾の意味合いを示している。さらに、動物本体が自ら切り離す、いわゆる自切もトカゲなどで知られる。なお、昆虫の尾角や尾糸(下記参照)も刺激を受けると切れることがよくある。 従って、尾はそれ以外の役割を担うようになった。例えば全身の運動の補助、意思表示のための仕組み、獲物を捕獲することなどである。
※この「脊椎動物の尾」の解説は、「尾」の解説の一部です。
「脊椎動物の尾」を含む「尾」の記事については、「尾」の概要を参照ください。
- 脊椎動物の尾のページへのリンク