背景と原因
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乱の原因として『続日本紀』では、呰麻呂の個人的な怨恨を理由に挙げている。夷俘の出身である呰麻呂は、もともと事由があって紀広純を嫌っていたが、恨みを隠して媚び仕えていたために、紀広純の方では意に介さずに大いに信頼を置いていた。これに対し道嶋大楯は常日頃より呰麻呂を夷俘として侮辱していたために、呰麻呂がこれを深く恨んでいたとするものである。 もともと呰麻呂には政府に協力した功績を賞して、伊治公の姓と、第二等の蝦夷爵の地位が与えられていたが、宝亀9年(778年)6月には、伊治城造営や俘軍を率いて戦った功績を賞して外従五位下という地方在住者としては最高の位が授けられている。このように政府に協力し、かつそれまでの功績を認められて地位を昇進させてきた呰麻呂にとって、つとに道嶋大楯から辱めを受けていたことは、耐えがたい屈辱であったと考えられる。 一方でこの乱は、呰麻呂個人の怨恨に帰結するものでなく、藤原仲麻呂政権以降、東北地方への進出を強め、現地住民との軋轢を増してきた政府の政策に対する、蝦夷側の反作用というべき性格も持っている。ただし反乱の舞台となった地域は完全に政府側の勢力が及んでいなかった地域でなく、首謀者の呰麻呂が受爵していたことからもわかる通り、ある程度政府の政治的・文化的な影響下にある地域であった。反乱は、それを踏まえた政府によるさらなる現地支配の強化に対しての抵抗と捉えられるものである。
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背景と原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 06:21 UTC 版)
銀行が突然融資をストップまたは貸し渋りする理由はいくつかある。予想される担保価値低下、融資先の業績の悪化、金融環境の外因性変化(例えば中央銀行が突然預金準備率を上げる、あるいは新しい融資規制を課す状況)、金融界で直接信用管理を行わせる中央政府、金融界内部で他行の支払い能力(solvency)に関するリスク意識の向上、などである。 信用収縮は、しばしば不注意で不適切な融資の継続によって発生する。それらの融資における焦げ付きの発生や貸倒れ(不良債権、bad debt)の蔓延が知られるようになると、融資機関と投資家は損失を被り債務(debt)を負う。これらの機関は信用枠を削減し金利を上げることにより信用取引のコストを増加させる。中には損失を出した結果、自己資本が減少し、貸し手が追加融資したくてもできないという場合もある。 一般的に信用収縮は、"膨らみ過ぎた"資産の市場価格下落と価格崩壊による金融危機によって生じる。その結果、膨れ上がった資産価格が急激に下落し、投資家や市場に遅れて参入した起業家への幅広い差押えや倒産が起こる。対照的に流動性危機(liquidity crisis)は、健全な事業に対して、事業拡大またはキャッシュフロー支払いを円滑化するために必要なつなぎ融資(ブリッジ・ファイナンス、bridge finance)が一時的に実行できない場合に発生する。この場合、追加信用取引により、企業による問題への対処と支払いおよび事業の継続が可能になる。危機の最中には、問題を抱える事業が支払い危機の状態にあるのか、それとも一時的な流動性危機の状態にあるのか、判断することは難しい。 信用収縮が発生した場合、"値洗い"(mark to market、時価評価損益の計算)を行うことが望まれる。そして影響を受けた事業の金融資本が信用循環の後退フェーズを生き残るために不十分な場合、その事業は売却または清算される。他方、流動性危機の場合は、追加信用取引を求めることが望まれる。一旦流動性危機が克服されると成長のための機会が期待できる。 長期の信用収縮は、安易で潤沢な融資("あぶく銭"あるいは"信用喪失")とは対極にある。信用循環が上昇フェーズの間は、資産価格の激しい値付け競争、借入金をてこにした入札、特定の資産市場におけるインフレーションなどが生じる。その結果、投機価格"バブル"が発生する。これがまた通貨供給量(money supply)を拡大、経済活動を刺激し、経済成長と雇用の一時的な上昇をもたらす。 関係者にとってバブルがいつ崩壊したかは、後から振り返った時にのみ分かる。経済バブルは、ポンジ・スキーム(Ponzi scheme)や無限連鎖講(ピラミッドスキーム、Pyramid scheme)のようではない、ダイナミックな特徴を持っている。 世界恐慌最中の1931年、ケインズは次のように述べている。「悲しいかな、健全な銀行家とは、危険を予測してそれを回避する人ではなく、破産した時に誰も自分を非難できないように、仲間と一緒にありきたりの方法で破産する人のことだ。」
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