ブクステフーデ:組曲 イ長調
バッハ:組曲 イ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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バッハ:組曲 イ長調 | Suite A-Dur BWV 824 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
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1 | アルマンド Allemande | 3分20秒 | No Image |
2 | クーラント Courante | 2分20秒 | No Image |
3 | ジーグ Gigue | 2分50秒 | No Image |
作品解説
《ウィルヘルム・フリーデマン・バッハのための音楽帖》に記されている組曲の断片であるが、G. Ph. テレマンの作であることが判っている。様式の違いからJ. S. バッハの作と見間違うことはないが、明澄で愛らしく、収まりの良い小品である。
アルマンドは階段状に下行する動機の連なりによって構成される。こうした音型はオルガン、とくにペダル声部に特有の語法だが、現代のピアノにおいても一定の効果を上げる。保続される音と変化していく音によって、擬似的な多声が生まれ、片手の単旋律だけでも遠近感が演出されるからである。ただし、和声感や動機の展開の点ではJ. S. バッハ風の音楽に聞こえなくもないが、バッハは組曲においてこうした単純な書法を「アルマンド」に用いることはほとんどない。
続くクーラントも同様の動機が用いられている。一貫して2声が保たれるが、右手と左手の役割分担、すなわち旋律と伴奏が明確に分かれ、左の手に動機展開がほとんど委ねられない点で、やはりJ. S. バッハの作品の典型とは異なっている。
アルマンドとクーラントは動機の上で明らかに関連がある。後続の楽章でこの組曲がどのような経過を辿るのかは知る由もないが、少なくともジーグはまったく違う内容を持っている。そしてこの楽章だけは、あらゆる点でバッハのジーグとは異なる。まず、対位法的な展開がきわめて不十分である。冒頭こそ模倣的に始まるが、すぐに和音と旋律によるホモフォニーとなり、声部書法が維持されない。また、三和音の連打が連続するような楽句は、バッハがどんな曲でもほとんど用いることがなかったような音型である。加えて、各部の和声進行がひじょうに単純で、和声リズムが遅い。とはいえ、8分の6の明確なジーグのリズムと、鍵盤の幅いっぱいにダイナミックに上行・下行する旋律は予測も理解も容易であり、親しみやすさに溢れている。
なお、テレマンは、作曲が職人仕事と見なされていたバロック時代においてさえ超人的な多作家だった。そのため、現代でもまだ、その創作の全容が完全に明らかになったとはいえない。
テレマンは当時、バッハよりも優れた音楽家だと評価されていた。ライプツィヒのトマスカントル選任は、1位のテレマン(および2位のグラウプナー)が辞退したために、3位のJ. S. バッハに繰り下げられたのだった。その作風は、この組曲にも表れているように、J. S. バッハとは明らかに異なっている。
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