三省堂 大辞林 |
くみきょく 2 【組曲】
音楽用語辞典 |
ピティナ・ピアノ曲事典 |
バルトーク : 組曲
【英】Suite Op.14b
作品情報
標準演奏時間: 9m0s
解説
出版情報作曲年: 1916 出版年: 1918 初版出版地/出版社: Universal
作品情報
標準演奏時間: 9m0s
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | アレグレット Allegretto | 2m0s | - |
| 2 | スケルツォ Scherzo | 2m0s | - |
| 3 | アレグロ・モルト Allegro molto | 2m0s | - |
| 4 | ソステヌート Sostenuto | 3m0s | - |
バルトークは唯一のオペラ作品《青ひげ公の城》を1911年に作曲し、コンクールに応募するが、演奏不可能として却下される。ブタペスト音楽界への不信をつのらせて、郊外へひきこもるようになったバルトークは、民俗音楽の収集に没頭し、新曲の作曲はほとんど行わなくなった。その後、多くのルーマニア民俗音楽の編曲を数多く手がけるようになったバルトークだが、そこで特に異色な作品となっているのがこの《組曲》(1916年)である。
バルトークが自らのコンサートレパートリーとして久々に手がけた本格的な作品である。ここでは生の民族的素材を用いてはおらず、民族的な語法、リズム、音色などの諸要素を独自の書法によって磨き上げようという新しい試みがみられる。バルトークの後の回想によれば、「それまでの書法を完全に一新し、より見通しの良いスタイルへ、もっと骨と肉によるスタイルへ変化させようと考え」てかかれた作品である。
第1楽章:アレグレット 3部形式の舞曲調の曲。変ロ音が主音となっており、全音音階の使用が目立つ。
第2楽章:スケルツォ 12音列を用いた下降形の冒頭、鋭いリズムと冷たい音色感が印象的である。全体はABACABACAというロンド風の形式によっている。
第3楽章:アレグロ・モルト この楽章の素材は、バルトークが1913年にきいたアルジェリア(当時フランス領)の民俗音楽が影響している。strepitoso、連続するアクセント、素早い跳躍など、高度な技巧を要する。第3拍目を意識し、リズムをくずさないように奏する。
第4楽章:ソステヌート 終曲がテンポの遅い楽章にした点は、《第二弦楽四重奏曲》と似ている点である。8分音符、4分音符、4分音符、8分音符というリズム型は、ハンガリー民謡に由来している。非常に繊細な詩情をたたえた終曲。8分の6拍子の、第4拍目を意識して奏する。
バルトークが自らのコンサートレパートリーとして久々に手がけた本格的な作品である。ここでは生の民族的素材を用いてはおらず、民族的な語法、リズム、音色などの諸要素を独自の書法によって磨き上げようという新しい試みがみられる。バルトークの後の回想によれば、「それまでの書法を完全に一新し、より見通しの良いスタイルへ、もっと骨と肉によるスタイルへ変化させようと考え」てかかれた作品である。
第1楽章:アレグレット 3部形式の舞曲調の曲。変ロ音が主音となっており、全音音階の使用が目立つ。
第2楽章:スケルツォ 12音列を用いた下降形の冒頭、鋭いリズムと冷たい音色感が印象的である。全体はABACABACAというロンド風の形式によっている。
第3楽章:アレグロ・モルト この楽章の素材は、バルトークが1913年にきいたアルジェリア(当時フランス領)の民俗音楽が影響している。strepitoso、連続するアクセント、素早い跳躍など、高度な技巧を要する。第3拍目を意識し、リズムをくずさないように奏する。
第4楽章:ソステヌート 終曲がテンポの遅い楽章にした点は、《第二弦楽四重奏曲》と似ている点である。8分音符、4分音符、4分音符、8分音符というリズム型は、ハンガリー民謡に由来している。非常に繊細な詩情をたたえた終曲。8分の6拍子の、第4拍目を意識して奏する。
出版情報作曲年: 1916 出版年: 1918 初版出版地/出版社: Universal
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第1集から)
【英】Suite HWV 428
作品情報
出版情報作曲年: 1717-1720?
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | 前奏曲 Prelude | ||
| 2 | アレグロ Allegro | ||
| 3 | アルマンド Allemande | ||
| 4 | クーラント Courante | ||
| 5 | エア(5つの変奏付き) Air | ||
| 6 | プレスト Presto |
出版情報作曲年: 1717-1720?
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第2集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第2集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第1集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第1集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第1集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第1集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第2集から)
【英】Suite HWV 441
作品情報
出版情報作曲年: 1710-1726?
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | アルマンド Allemande | ||
| 2 | アレグロ Allegro | ||
| 3 | クーラント Courante | ||
| 4 | エア Air | ||
| 5 | メヌエット Minuet | ||
| 6 | ガヴォット Gavotte | ||
| 7 | ジグ Jig |
出版情報作曲年: 1710-1726?
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第1集から)
【英】Suite HWV 432
作品情報
出版情報作曲年: 1717-1720?
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | 序曲 Overture | ||
| 2 | アンダンテ Andante | ||
| 3 | アレグロ Allegro | ||
| 4 | サラバンド Saraband | ||
| 5 | ジグ Jig | ||
| 6 | パッサカーリャ(シャコンヌ) Passacaille |
出版情報作曲年: 1717-1720?
ヒラー : 組曲
バルトーク : 組曲
【英】Suite Op.4b
作品情報
出版情報作曲年: 1941
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | セレナータ "Serenata" | - | |
| 2 | 悪魔的アレグロ "Allegro diabolico" | - | |
| 3 | 平原の風景 "Scena della Puszta" | - | |
| 4 | 終わりに "Per finire" | - |
出版情報作曲年: 1941
コルンゴルト : 組曲
【英】Suite für zwei Violinen, Cello und Klavier für die linke Hand Op.23
作品情報
※ パウル・ヴィトゲンシュタインの委嘱作品。
出版情報作曲年: 1930
献呈先: Paul Wittgenstein
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | 第1楽章 Mov.1 Präludium und Fuge: Kräftig und bestimmt, Ruhig, ohne zu schleppen | - | |
| 2 | 第2楽章 Mov.2 Walzer: Nicht schnell, anmurtig | - | |
| 3 | 第3楽章 Mov.3 Groteske: Möglichst rasch | - | |
| 4 | 第4楽章 Mov.4 Lied: Schlicht und innig. Nicht zu langsam | - | |
| 5 | 第5楽章 Mov.5 Rondo - Finale / Variationen: Schnell, heftig. Allegretto amabile e comodo. | - |
※ パウル・ヴィトゲンシュタインの委嘱作品。
出版情報作曲年: 1930
献呈先: Paul Wittgenstein
ライネッケ : 組曲
【英】Suite Op.169
作品情報
出版情報初版出版地/出版社: Breitkopf, Williams
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | 前奏曲 Preludio | - | |
| 2 | アンダンテと変奏曲 Andante con Variazioni | - | |
| 3 | メヌエット Minuetto | - | |
| 4 | カンツォーナ Canzona | - | |
| 5 | ポルカ Polska | - | |
| 6 | フィナーレ Finale | - |
出版情報初版出版地/出版社: Breitkopf, Williams
ロドリーゴ : 組曲
【英】Suite
作品情報
標準演奏時間: 9m30s
出版情報作曲年: 1923 出版年: 1928 初版出版地/出版社: Rouart-Lerolle
献呈先: ミゲル・ケロル Miguel Querol, オスカル・エスプラ Oscar Esplá, エルネスト・アルフテル Ernesto Halffter, アドルフォ・サラサール Adolfo Salazar, アンパロ・イトゥルビ Amparo Iturbi
作品情報
標準演奏時間: 9m30s
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 試聴 | 譜例 | |
| 1 | プレリュード Prelude | 1m30s | - | - |
| 2 | シチリアーノ Sicilienne | 2m30s | - | - |
| 3 | ブレー Bourree | 1m0s | - | - |
| 4 | メヌエット Menuet | 2m0s | - | - |
| 5 | リゴードン Rigaudon | 2m30s | - | - |
出版情報作曲年: 1923 出版年: 1928 初版出版地/出版社: Rouart-Lerolle
献呈先: ミゲル・ケロル Miguel Querol, オスカル・エスプラ Oscar Esplá, エルネスト・アルフテル Ernesto Halffter, アドルフォ・サラサール Adolfo Salazar, アンパロ・イトゥルビ Amparo Iturbi
ルビンシテイン, アントン : 組曲
【英】Suite Op.38
作品情報
出版情報作曲年: 1855 出版年: 1856 初版出版地/出版社: Bessel
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | 前奏曲 Prélude | - | |
| 2 | メヌエット Menuet | - | |
| 3 | ジーグ Gigue | - | |
| 4 | サラバンド Sarabande | - | |
| 5 | ガヴォット Gavotte | - | |
| 6 | パッサカリア Passacaille | - | |
| 7 | アルマンド Allemandee | - | |
| 8 | クーラント Courante | - | |
| 9 | パスピエ Passepied | - | |
| 10 | ブレー Bourrée | - |
出版情報作曲年: 1855 出版年: 1856 初版出版地/出版社: Bessel
サン=サーンス : 組曲
シェーンベルク : 組曲
【英】Suite Op.25
作品情報
標準演奏時間: 16m30s
出版情報作曲年: 1921-23 出版年: 1925 初版出版地/出版社: Universal
作品情報
標準演奏時間: 16m30s
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | プレリュード "Praludium" | 1m0s | - |
| 2 | ガヴォット "Gavotte" | 1m30s | - |
| 3 | ミュゼット "Musette" | 3m0s | - |
| 4 | インテルメッツォ "Intermezzo" | 4m0s | - |
| 5 | メヌエット "Menuett" | 4m0s | - |
| 6 | ジグ "Gigue" | 3m0s | - |
出版情報作曲年: 1921-23 出版年: 1925 初版出版地/出版社: Universal
シラス : 組曲
テレマン : 組曲
ヴァイネル : 組曲
組曲
バッケル=グレンダール : 組曲
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第2集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第1集から)
【英】Suite HWV 430
作品情報
出版情報作曲年: 1717-1720?
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | プレリュード Präludium | ||
| 2 | アルマンド Allemande | ||
| 3 | クーランド Couraute | ||
| 4 | エアと変奏曲(調子のよい鍛冶屋) Air mit Variationen(Harmonious Blacksmith) |
出版情報作曲年: 1717-1720?
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第1集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第2集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第2集から)
ヘンデル : 組曲(クラヴサン組曲第2集から)
バッハ : 組曲 イ短調
【英】Suite a-Moll BWV 818
作品情報
標準演奏時間: 11m30s
解説
出版情報作曲年: about 1720 出版年: 1866 初版出版地/出版社: Peters
作品情報
標準演奏時間: 11m30s
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | アルマンド Allemande | 3m10s | - |
| 2 | クーラント Courante | 1m40s | - |
| 3 | サラバンド・サンプル - サラバンド・ドゥーブル Sarabande simple - Sarabande double | 1m40s | - |
| 4 | サラバンド・ドゥーブル - Sarabande double - | 2m20s | - |
| 5 | ジーグ Gigue | 2m40s | - |
成立年や経緯は不明で、イギリス組曲よりは後でフランス組曲よりもわずかに先行するような様式で書かれている。が、イギリス組曲より早くに成立した可能性も否めない。弟子たちがこの曲を筆写した楽譜帖の内容から、バッハがこれを《フランス組曲》に拾遺する計画を持っていたとも考えられている。しかし、いったんは楽章の追加や削除などしたが(BWV818a)、改訂稿が曲集に加えられることはなかった。
アルマンドの冒頭は、F.クープランの『クラヴサン曲集第4巻』(1730)第21組曲第3番の《ラ・クープラン》とひじょうによく似ている。これが引用であるとすれば、この曲集の刊行のかなり前にバッハがなんらかの機会や手稿譜を通じてこの曲を知っていたことになる。バッハはF.クープランをその著書『クラヴサン奏法』(1716)含めよく研究しており、また『クラヴサン曲集第2巻』(1717)の《牧歌(ロンドー)》の異稿も筆写しているので、このアルマンドに関しても出版以前の作品を入手したという可能性が大いにある。楽曲は平易な順次進行を基調として坦々と進むが、調推移、とりわけ前半のカデンツにおける和音進行は少し変わっている。通常の舞曲は前半の最後で属調ないし平行調へ転調して終止し、後半はそれらの新しい調から主調へと戻るのが一般的だが、このアルマンドでは、第7-8小節でこそ属調e-Mollの属和音が維持されるが、第9小節前半でなぜかa-Mollへと押し戻されてしまう。さらに第10小節の第1拍でもa-Mollの完全終止が起こるため、前半はa-Mollの属和音、すなわち半終止で閉じられる。後半はa-Moll、d-Moll、G-Dur、C-Durを経て、主調へと戻っていく。したがって、楽曲全体を通じて属調e-Mollが確立されることがない。このアルマンドにすっきりとした明るさがなく、どこか憂鬱な雰囲気が漂うのは、そのためかもしれない。
クーラントは2声で、前半後半それぞれ8小節からなる。精緻な和音進行構造をもっており、前半は下属調F-Durを通って平行調C-Durへ、後半はC-Durからその属調G-Dur、さらにその平行調e-Mollからいったん主調a-Mollに戻り、d-Mollへ進む。終結に向けて再び主調に戻らねばならないが、この第14-15小節の解決は見事である。小規模ながらも色彩感に富んだ和声に満ちている。
サラバンドは、下方分散和音による装飾を主要なモティフとするが、簡明で比較的かろやかなタイプのもの。一方、ドゥブルは2声の対位法による。構成は独特で、反復を含めると A(a+b)-A(a+b)-B-A(a+b+b)となる。なお、このような最後に反復されるbを「プティット・ルプリーズ」と呼ぶ。
ジーグは簡潔な主題による3声フーガになっている。前半の主題は下行形、後半は上行形で、後半の終結部ちかくでこの2つの形が組み合わされる。また、前半と後半は中間の完全終止によってそれぞれ更に2つに分かれる。先行するセクションの方が劇的展開を含んでおり、前半は回音音型、後半は3オクターヴ半に渡るドラマティックな下行スケールで彩られる。後続のセクションでは提示された素材だけを用いて、落ち着いた流れを作り出している。
後期稿BWV818aにおいては、前奏曲、メヌエットが追加され、サラバンドを改訂、さらにサラバンドのドゥーブルが削除された。
前奏曲についてバッハはタイトルを指示していないが、様式の上から「プレリュード」と呼ぶことができる。非常に珍しいことに、開始部に「快活に(フォール・ゲー) Fort gai」という速度標語が書き込まれている。書法はやや荒削りで、即興風の常套句が散見されるため、バッハが古い作品を組曲の前奏として組み合わせたか、あるいは構想だけをスケッチした後年の作品という可能性がある。
一方、メヌエットはいかにもバッハらしい、充分に熟した様式を備えている。冒頭は2分割の16分音符だが、すぐに三連符の動機に取って代わられるのは、ギャラント様式の典型的な手法である。
サラバンドは完全に新しいものを作ったわけではなく、初期稿の素材を基本とする。が、対位法的な要素は完全に失われ、後半も右手が主動機を担う。
シューレンバーグは、初期稿と後期稿のサラバンドが変奏関係にあることから、ドゥーブルを含めた3つのサラバンドを並べて演奏することを提案している。確かに、挿入舞曲が極端に少ないこの組曲では、そうした試みも説得力のある演奏になるかもしれない。
アルマンドの冒頭は、F.クープランの『クラヴサン曲集第4巻』(1730)第21組曲第3番の《ラ・クープラン》とひじょうによく似ている。これが引用であるとすれば、この曲集の刊行のかなり前にバッハがなんらかの機会や手稿譜を通じてこの曲を知っていたことになる。バッハはF.クープランをその著書『クラヴサン奏法』(1716)含めよく研究しており、また『クラヴサン曲集第2巻』(1717)の《牧歌(ロンドー)》の異稿も筆写しているので、このアルマンドに関しても出版以前の作品を入手したという可能性が大いにある。楽曲は平易な順次進行を基調として坦々と進むが、調推移、とりわけ前半のカデンツにおける和音進行は少し変わっている。通常の舞曲は前半の最後で属調ないし平行調へ転調して終止し、後半はそれらの新しい調から主調へと戻るのが一般的だが、このアルマンドでは、第7-8小節でこそ属調e-Mollの属和音が維持されるが、第9小節前半でなぜかa-Mollへと押し戻されてしまう。さらに第10小節の第1拍でもa-Mollの完全終止が起こるため、前半はa-Mollの属和音、すなわち半終止で閉じられる。後半はa-Moll、d-Moll、G-Dur、C-Durを経て、主調へと戻っていく。したがって、楽曲全体を通じて属調e-Mollが確立されることがない。このアルマンドにすっきりとした明るさがなく、どこか憂鬱な雰囲気が漂うのは、そのためかもしれない。
クーラントは2声で、前半後半それぞれ8小節からなる。精緻な和音進行構造をもっており、前半は下属調F-Durを通って平行調C-Durへ、後半はC-Durからその属調G-Dur、さらにその平行調e-Mollからいったん主調a-Mollに戻り、d-Mollへ進む。終結に向けて再び主調に戻らねばならないが、この第14-15小節の解決は見事である。小規模ながらも色彩感に富んだ和声に満ちている。
サラバンドは、下方分散和音による装飾を主要なモティフとするが、簡明で比較的かろやかなタイプのもの。一方、ドゥブルは2声の対位法による。構成は独特で、反復を含めると A(a+b)-A(a+b)-B-A(a+b+b)となる。なお、このような最後に反復されるbを「プティット・ルプリーズ」と呼ぶ。
ジーグは簡潔な主題による3声フーガになっている。前半の主題は下行形、後半は上行形で、後半の終結部ちかくでこの2つの形が組み合わされる。また、前半と後半は中間の完全終止によってそれぞれ更に2つに分かれる。先行するセクションの方が劇的展開を含んでおり、前半は回音音型、後半は3オクターヴ半に渡るドラマティックな下行スケールで彩られる。後続のセクションでは提示された素材だけを用いて、落ち着いた流れを作り出している。
後期稿BWV818aにおいては、前奏曲、メヌエットが追加され、サラバンドを改訂、さらにサラバンドのドゥーブルが削除された。
前奏曲についてバッハはタイトルを指示していないが、様式の上から「プレリュード」と呼ぶことができる。非常に珍しいことに、開始部に「快活に(フォール・ゲー) Fort gai」という速度標語が書き込まれている。書法はやや荒削りで、即興風の常套句が散見されるため、バッハが古い作品を組曲の前奏として組み合わせたか、あるいは構想だけをスケッチした後年の作品という可能性がある。
一方、メヌエットはいかにもバッハらしい、充分に熟した様式を備えている。冒頭は2分割の16分音符だが、すぐに三連符の動機に取って代わられるのは、ギャラント様式の典型的な手法である。
サラバンドは完全に新しいものを作ったわけではなく、初期稿の素材を基本とする。が、対位法的な要素は完全に失われ、後半も右手が主動機を担う。
シューレンバーグは、初期稿と後期稿のサラバンドが変奏関係にあることから、ドゥーブルを含めた3つのサラバンドを並べて演奏することを提案している。確かに、挿入舞曲が極端に少ないこの組曲では、そうした試みも説得力のある演奏になるかもしれない。
出版情報作曲年: about 1720 出版年: 1866 初版出版地/出版社: Peters
クープラン, ルイ : 組曲 イ短調
バッハ : 組曲 イ長調
【英】Suite A-Dur BWV 824
作品情報
標準演奏時間: 8m30s 解説
作品情報
標準演奏時間: 8m30s 解説
《ウィルヘルム・フリーデマン・バッハのための音楽帖》に記されている組曲の断片であるが、G. Ph. テレマンの作であることが判っている。様式の違いからJ. S. バッハの作と見間違うことはないが、明澄で愛らしく、収まりの良い小品である。
アルマンドは階段状に下行する動機の連なりによって構成される。こうした音型はオルガン、とくにペダル声部に特有の語法だが、現代のピアノにおいても一定の効果を上げる。保続される音と変化していく音によって、擬似的な多声が生まれ、片手の単旋律だけでも遠近感が演出されるからである。ただし、和声感や動機の展開の点ではJ. S. バッハ風の音楽に聞こえなくもないが、バッハは組曲においてこうした単純な書法を「アルマンド」に用いることはほとんどない。
続くクーラントも同様の動機が用いられている。一貫して2声が保たれるが、右手と左手の役割分担、すなわち旋律と伴奏が明確に分かれ、左の手に動機展開がほとんど委ねられない点で、やはりJ. S. バッハの作品の典型とは異なっている。
アルマンドとクーラントは動機の上で明らかに関連がある。後続の楽章でこの組曲がどのような経過を辿るのかは知る由もないが、少なくともジーグはまったく違う内容を持っている。そしてこの楽章だけは、あらゆる点でバッハのジーグとは異なる。まず、対位法的な展開がきわめて不十分である。冒頭こそ模倣的に始まるが、すぐに和音と旋律によるホモフォニーとなり、声部書法が維持されない。また、三和音の連打が連続するような楽句は、バッハがどんな曲でもほとんど用いることがなかったような音型である。加えて、各部の和声進行がひじょうに単純で、和声リズムが遅い。とはいえ、8分の6の明確なジーグのリズムと、鍵盤の幅いっぱいにダイナミックに上行・下行する旋律は予測も理解も容易であり、親しみやすさに溢れている。
なお、テレマンは、作曲が職人仕事と見なされていたバロック時代においてさえ超人的な多作家だった。そのため、現代でもまだ、その創作の全容が完全に明らかになったとはいえない。
テレマンは当時、バッハよりも優れた音楽家だと評価されていた。ライプツィヒのトマスカントル選任は、1位のテレマン(および2位のグラウプナー)が辞退したために、3位のJ. S. バッハに繰り下げられたのだった。その作風は、この組曲にも表れているように、J. S. バッハとは明らかに異なっている。
アルマンドは階段状に下行する動機の連なりによって構成される。こうした音型はオルガン、とくにペダル声部に特有の語法だが、現代のピアノにおいても一定の効果を上げる。保続される音と変化していく音によって、擬似的な多声が生まれ、片手の単旋律だけでも遠近感が演出されるからである。ただし、和声感や動機の展開の点ではJ. S. バッハ風の音楽に聞こえなくもないが、バッハは組曲においてこうした単純な書法を「アルマンド」に用いることはほとんどない。
続くクーラントも同様の動機が用いられている。一貫して2声が保たれるが、右手と左手の役割分担、すなわち旋律と伴奏が明確に分かれ、左の手に動機展開がほとんど委ねられない点で、やはりJ. S. バッハの作品の典型とは異なっている。
アルマンドとクーラントは動機の上で明らかに関連がある。後続の楽章でこの組曲がどのような経過を辿るのかは知る由もないが、少なくともジーグはまったく違う内容を持っている。そしてこの楽章だけは、あらゆる点でバッハのジーグとは異なる。まず、対位法的な展開がきわめて不十分である。冒頭こそ模倣的に始まるが、すぐに和音と旋律によるホモフォニーとなり、声部書法が維持されない。また、三和音の連打が連続するような楽句は、バッハがどんな曲でもほとんど用いることがなかったような音型である。加えて、各部の和声進行がひじょうに単純で、和声リズムが遅い。とはいえ、8分の6の明確なジーグのリズムと、鍵盤の幅いっぱいにダイナミックに上行・下行する旋律は予測も理解も容易であり、親しみやすさに溢れている。
なお、テレマンは、作曲が職人仕事と見なされていたバロック時代においてさえ超人的な多作家だった。そのため、現代でもまだ、その創作の全容が完全に明らかになったとはいえない。
テレマンは当時、バッハよりも優れた音楽家だと評価されていた。ライプツィヒのトマスカントル選任は、1位のテレマン(および2位のグラウプナー)が辞退したために、3位のJ. S. バッハに繰り下げられたのだった。その作風は、この組曲にも表れているように、J. S. バッハとは明らかに異なっている。
ブクステフーデ : 組曲 イ長調
ドヴォルザーク(ドボルザーク) : 組曲 イ長調
【英】Suita Op.98
作品情報
標準演奏時間: 18m0s
出版情報作曲年: 1894 出版年: 1894 初版出版地/出版社: Simrock
作品情報
標準演奏時間: 18m0s
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | Moderato | 4m30s | - |
| 2 | Molto vivace | 3m30s | - |
| 3 | Allegretto | 4m0s | - |
| 4 | Andante | 3m30s | - |
| 5 | Allegro | 2m30s | - |
出版情報作曲年: 1894 出版年: 1894 初版出版地/出版社: Simrock
ブクステフーデ : 組曲 ト短調
ブクステフーデ : 組曲 ト短調
クープラン, ルイ : 組曲 ト短調
ヘンデル : 組曲 ト短調
ヘンデル : 組曲 ト短調
ラフ : 組曲 ト短調
サマズイユ : 組曲 ト短調
【英】Suite en sol
作品情報
標準演奏時間: 17m30s
出版情報作曲年: 1902 出版年: 1902? 初版出版地/出版社: Baudoux
作品情報
標準演奏時間: 17m30s
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 試聴 | 譜例 | |
| 1 | 前奏曲 Prelude | 3m0s | - | - |
| 2 | フランセーズ Francaise | 3m0s | - | - |
| 3 | サラバンド Sarabande | 3m0s | - | - |
| 4 | ディヴェルティスマン Divertissement | 2m30s | - | - |
| 5 | ミュゼット Musette | 2m30s | - | - |
| 6 | フォルラーヌ Forlane | 3m30s | - | - |
出版情報作曲年: 1902 出版年: 1902? 初版出版地/出版社: Baudoux
クープラン, ルイ : 組曲 ト長調
フィビヒ : 組曲 ト長調
モシュコフスキ : 組曲 ト長調
ブクステフーデ : 組曲 ニ短調
クープラン, ルイ : 組曲 ニ短調
ヘンデル : 組曲 ニ短調
【英】Suite HWV 447
作品情報
出版情報作曲年: 1738/39
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | 前奏曲 Prelude | - | |
| 2 | アルマンド Allemande | - | |
| 3 | クーランド Courante | - | |
| 4 | サラバンド Saraband | - | |
| 5 | エア(7つの変奏付き) Air | - | |
| 6 | ジグ Jig | - | |
| 7 | メヌエット Minuet | - |
出版情報作曲年: 1738/39
ラフ : 組曲 ニ短調
【英】Suite op.91
作品情報
出版情報作曲年: 1859 出版年: 1862
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 試聴 | 譜例 | |
| 1 | 幻想曲とフーガ op.91-1 "Fantaisie et fugue" | 準備中 | - | - |
| 2 | ジグと変奏曲 op.91-2 "Gigue et variations" | 準備中 | - | - |
| 3 | カヴァティーナ op.91-3 "Cavatine" | 準備中 | - | - |
| 4 | 行進曲 op.91-4 "Marche" | 準備中 | - | - |
出版情報作曲年: 1859 出版年: 1862
クープラン, ルイ : 組曲 ニ長調
ヘンデル : 組曲 ハ短調
ブクステフーデ : 組曲 ハ長調
ヘンデル : 組曲 ハ長調
【英】Suite HWV 443
作品情報
出版情報作曲年: before 1706?
作品情報
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | 前奏曲とフーガ Prelude and Fugue | ||
| 2 | アルマンド Allemande | ||
| 3 | クーラント Courante | ||
| 4 | サラバンドとドゥーブル Saraband and Double | ||
| 5 | ジグ Jig |
出版情報作曲年: before 1706?
プーランク : 組曲 ハ長調
バッハ : 組曲 ヘ短調
【英】Suite f-Moll BWV 823
作品情報
標準演奏時間: 7m0s 解説
出版情報作曲年: 1708-14 出版年: 1843 初版出版地/出版社: Peters
作品情報
標準演奏時間: 7m0s 解説
この作品はバッハの信奉者であった同時代のオルガニスト、J. P. ケルナーの音楽帖のみを唯一の資料とするため、真作であるか疑われている。しかし、現在のところ他の作曲者の作品であるとは証明されていない。また、音楽の内容から見てバッハの真作である可能性が充分に考えられる。バッハの作としてはそれほど初期というわけではなく、ヴァイマル時代の中頃で1714年(楽師長就任の年)以前とするのが定説となっている。
しかしいずれにせよ、この3つの楽章が組曲の断片であることには違いない。前奏曲-サラバンド-ジーグという組み合わせは当時の、またバッハのどんな組曲定型にも当てはまらないからである。
前奏曲は最初の8小節を主題(リフレイン)とするロンドである。3つの挿入部(クプレ)は同じバス進行(F-E-D-C)を持っている。これらは毎回細かな音型が徐々に増えてテンポアップし、3つめは遂に32分音符のみの無窮動風のものになる。
サラバンドは上声と下声の対話によって進む。それは模倣や動機の労作ではなく、右手の上行形の問いかけに対して左がいつも同じ調子で下行形に呟くような、きわめて表出的な対話である。なお、この曲のようにダ・カーポ形式のサラバンドはバッハには他に例がない。
ジーグは、舞曲リズムと旋律を一手に担う右手に、左が和声的土台を単音で添えるというきわめて簡素なもの。この組曲がバッハの作でないとする根拠は、対位法とまったく無縁な、あまりに質素なジーグにある。実際、この楽章に限ってはバッハらしい響きであると自信を持って断言することはできない。
しかしいずれにせよ、この3つの楽章が組曲の断片であることには違いない。前奏曲-サラバンド-ジーグという組み合わせは当時の、またバッハのどんな組曲定型にも当てはまらないからである。
前奏曲は最初の8小節を主題(リフレイン)とするロンドである。3つの挿入部(クプレ)は同じバス進行(F-E-D-C)を持っている。これらは毎回細かな音型が徐々に増えてテンポアップし、3つめは遂に32分音符のみの無窮動風のものになる。
サラバンドは上声と下声の対話によって進む。それは模倣や動機の労作ではなく、右手の上行形の問いかけに対して左がいつも同じ調子で下行形に呟くような、きわめて表出的な対話である。なお、この曲のようにダ・カーポ形式のサラバンドはバッハには他に例がない。
ジーグは、舞曲リズムと旋律を一手に担う右手に、左が和声的土台を単音で添えるというきわめて簡素なもの。この組曲がバッハの作でないとする根拠は、対位法とまったく無縁な、あまりに質素なジーグにある。実際、この楽章に限ってはバッハらしい響きであると自信を持って断言することはできない。
出版情報作曲年: 1708-14 出版年: 1843 初版出版地/出版社: Peters
バッハ : 組曲 ヘ長調
【英】Ouverture F-Dur BWV 820
作品情報
標準演奏時間: 8m40s
解説
出版情報出版年: 1876 初版出版地/出版社: Peters
作品情報
標準演奏時間: 8m40s
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | プレリュード Overture | 2m30s | - |
| 2 | アントレ Entree | 2m0s | - |
| 3 | メヌエット Menuet | 1m0s | - |
| 4 | トリオ Trio | 1m3s | - |
| 5 | ブレ Bourree | 0m4s | - |
| 6 | ジーグ Gigue | 0m5s | - |
5楽章:プレリュード、アントレ、メヌエット、ブレ、ジーグ
《アンドレーアス・バッハ本》所収(資料については《幻想曲とフーガ イ短調 BWV944》参照)。バッハの創作史においてきわめて初期に生まれた。具体的な時期は不明だが、おそらくヴァイマール着任以前の作品であり、その後レッスンや演奏にもほとんど用いられることがなかったと見られる。
この組曲に含まれる音楽はどれも、バッハの後年の鍵盤組曲の様式とはまったくかけ離れているようにみえる。模倣はきわめて単純で長いまとまりを作ることがない。和声進行は単純で図式的ですらある。また、全体の響きはフランスの管弦楽組曲を模したように聞こえ、管弦楽作品の鍵盤編曲ではないかと疑う説もある。しかし、メヌエットのトリオを除いて概ね簡潔な2声部のテクスチュアを維持しており、初めから鍵盤用に書かれたとみてほぼ間違いない。フランス風の軽いギャラントな旋律であるのはそのとおりだが、ドイツに典型の手法がとりわけ速い曲の中間終止や最終小節付近に見られる。プレリュード、ブレ、ジーグでは、終止が唐突なまでに簡潔で、和音を断定的に打ち鳴らして終わる。これはドイツのオルガン音楽の伝統に即したもので、リタルダンドはせずに、楽器の残響をうまく利用することで効果が出るだろう。
なお、この曲を伝える唯一の資料、《アンドレーアス・バッハ本》には装飾音が施されている。新旧の全集版に反映されているが、必ずしもバッハが直接指示したものとは限らない。とはいえ、この種の楽曲に装飾音は不可欠であるから、奏者はいずれにせよ大いに研究すべきだろう。
《アンドレーアス・バッハ本》所収(資料については《幻想曲とフーガ イ短調 BWV944》参照)。バッハの創作史においてきわめて初期に生まれた。具体的な時期は不明だが、おそらくヴァイマール着任以前の作品であり、その後レッスンや演奏にもほとんど用いられることがなかったと見られる。
この組曲に含まれる音楽はどれも、バッハの後年の鍵盤組曲の様式とはまったくかけ離れているようにみえる。模倣はきわめて単純で長いまとまりを作ることがない。和声進行は単純で図式的ですらある。また、全体の響きはフランスの管弦楽組曲を模したように聞こえ、管弦楽作品の鍵盤編曲ではないかと疑う説もある。しかし、メヌエットのトリオを除いて概ね簡潔な2声部のテクスチュアを維持しており、初めから鍵盤用に書かれたとみてほぼ間違いない。フランス風の軽いギャラントな旋律であるのはそのとおりだが、ドイツに典型の手法がとりわけ速い曲の中間終止や最終小節付近に見られる。プレリュード、ブレ、ジーグでは、終止が唐突なまでに簡潔で、和音を断定的に打ち鳴らして終わる。これはドイツのオルガン音楽の伝統に即したもので、リタルダンドはせずに、楽器の残響をうまく利用することで効果が出るだろう。
なお、この曲を伝える唯一の資料、《アンドレーアス・バッハ本》には装飾音が施されている。新旧の全集版に反映されているが、必ずしもバッハが直接指示したものとは限らない。とはいえ、この種の楽曲に装飾音は不可欠であるから、奏者はいずれにせよ大いに研究すべきだろう。
出版情報出版年: 1876 初版出版地/出版社: Peters
ブクステフーデ : 組曲 ヘ長調
クープラン, ルイ : 組曲 ヘ長調
ブクステフーデ : 組曲 ホ短調
クープラン, ルイ : 組曲 ロ短調
バッハ : 組曲 変ホ長調
【英】Suite B-Dur BWV 819
作品情報
標準演奏時間: 16m30s
解説
出版情報作曲年: about1725-29 出版年: 1866 初版出版地/出版社: Peters
作品情報
標準演奏時間: 16m30s
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | アルマンド Allemande | 7m0s | - |
| 2 | クーラント Courante | 2m0s | - |
| 3 | サラバンド Sarabande | 3m30s | - |
| 4 | ブレ Bourrée | 1m40s | - |
| 5 | メヌエット I & II Menuet I & II | 2m30s | - |
5楽章:アルマンド/クーラント/サラバンド/ブレ/メヌエットI・II(トリオ)
この作品は《組曲イ短調 BWV818》と同じく、組曲集に採用されなかった組曲ではないかと考えられる。確証は得られないが、おそらく《イギリス組曲》を終えたのち、《フランス組曲》をまとめるまでに書かれたようだ。しかし音楽内容は、BWV818が古い方を向いているのに対し、BWV819は《フランス組曲》後半、特に第6番あたりと似通っている。これが《フランス組曲》すなわち「前奏曲を持たない組曲集」の候補作であったという根拠は、バッハの時代に作られた2種類の手稿資料において、6曲セットの組曲集のひとつとして、またゲルバーの手稿譜では組曲集の第8番として(BWV818とともに)置かれていることにある。また、バッハはBWV819にも改訂を加え、アルマンドを新たに作曲しなおしている。結局これが組曲集に入らなかったのは、調ツィクルスとして同じくEs-Durの第4番と競合したこと、あるいはまた、BWV819が全体に第6番と似ていたためかも知れない。
現在BWV819aという作品番号で通用しているものは改訂稿のセットのことである。旧来は新しいアルマンドのみを指していたが、今では改訂された全体を表す。
アルマンドは改訂によって大きく変わったが、とりわけ半音階趣味が目立つようになった。前半第7-11小節などは、いささかわざとらしさすら感じさせる。しかしよく見れば、この4小節は7度の転回対位法になっている。また、第3小節と第5小節は鏡像関係にある。後半は第20-21小節にやはり7度の転回が起こる。こうした模倣は、ごく短い和声定型の中で行われる技法の実験のようなものである。息の長い独立したパッセージを形成しないので、意識していなければ聴き手にはもちろん弾き手にも見過ごされてしまうだろう。
これに対し初期稿は平易で簡明だが、摸続進行にやや退屈さがある。これを解決するため、八分音符の動機の随所に付けられた装飾音を工夫せねばならない。
クーラントは2分の3という異例の拍子で書かれている。八分音符の連桁の付け方は4×3であるが、実際のリズムは6×2のところが多い。すなわち、この曲全体は2拍子系の複合拍子である。第3小節、第9小節など右手が八分音符の4×3、左手が四分音符の3×2となっているようなところも、別段ヘミオラというわけではない。変則的なリズムを意識して仕掛けた作曲者の遊びということができる。
サラバンドはトリオ・ソナタ風、すなわち左手が弦楽器によるバス、右が2つの旋律パートとなっている。前打音はあまり鋭くならないように、書かれた音符と同じだけの重みを感じて奏さねばならないだろう。
ブレには明らかに、《イギリス組曲》と《フランス組曲》の中間の様式が顕れている。すなわち、四分音符の刻みが支配的な古いタイプのものと、無窮動の八分音符が特徴的なタイプの過渡期である。《フランス組曲》第5番、第6番などのブレでは、♩ ♫のブレ特有のリズムと八分音符の走り回るような動機が同一声部に短い周期で交互に現れ、さらに両手とも八分音符のパッセージに加わるところがかなりあるが、《イギリス組曲》では、四分音符の刻みをどちらかの声部が必ず保持する上、交代の周期が長い。BWV819aのブレは見事にこの中間のスタイルを取っており、すなわち八分音符にブレのリズムが応じたり、両手でブレのリズムを奏したりしつつも、四分音符の刻みがまだかなり残っている。
この組曲は2つのメヌエットで締めくくられる。Es-DurのメヌエットIに対し、トリオにあたるメヌエットIIはなんとフラット6つのes-Mollである。《平均律クラヴィーア曲集》を別とすれば、この調で書かれた鍵盤曲はバッハには他にない。あるいは他の調で書かれた曲を移調したのかも知れない。
バッハは改訂に際してもこの組曲にジーグを加えていない。メヌエットで鍵盤組曲を閉じることは当時はそれほど異様なことではなかった。とはいえ、《フランス組曲》にはアルマンド‐クーラント‐サラバンド-(挿入舞曲)-ジーグの定型を破ったものがひとつも無いことを考えると、BWV819が加えられなかった理由はここにもあるのかも知れない。
この作品は《組曲イ短調 BWV818》と同じく、組曲集に採用されなかった組曲ではないかと考えられる。確証は得られないが、おそらく《イギリス組曲》を終えたのち、《フランス組曲》をまとめるまでに書かれたようだ。しかし音楽内容は、BWV818が古い方を向いているのに対し、BWV819は《フランス組曲》後半、特に第6番あたりと似通っている。これが《フランス組曲》すなわち「前奏曲を持たない組曲集」の候補作であったという根拠は、バッハの時代に作られた2種類の手稿資料において、6曲セットの組曲集のひとつとして、またゲルバーの手稿譜では組曲集の第8番として(BWV818とともに)置かれていることにある。また、バッハはBWV819にも改訂を加え、アルマンドを新たに作曲しなおしている。結局これが組曲集に入らなかったのは、調ツィクルスとして同じくEs-Durの第4番と競合したこと、あるいはまた、BWV819が全体に第6番と似ていたためかも知れない。
現在BWV819aという作品番号で通用しているものは改訂稿のセットのことである。旧来は新しいアルマンドのみを指していたが、今では改訂された全体を表す。
アルマンドは改訂によって大きく変わったが、とりわけ半音階趣味が目立つようになった。前半第7-11小節などは、いささかわざとらしさすら感じさせる。しかしよく見れば、この4小節は7度の転回対位法になっている。また、第3小節と第5小節は鏡像関係にある。後半は第20-21小節にやはり7度の転回が起こる。こうした模倣は、ごく短い和声定型の中で行われる技法の実験のようなものである。息の長い独立したパッセージを形成しないので、意識していなければ聴き手にはもちろん弾き手にも見過ごされてしまうだろう。
これに対し初期稿は平易で簡明だが、摸続進行にやや退屈さがある。これを解決するため、八分音符の動機の随所に付けられた装飾音を工夫せねばならない。
クーラントは2分の3という異例の拍子で書かれている。八分音符の連桁の付け方は4×3であるが、実際のリズムは6×2のところが多い。すなわち、この曲全体は2拍子系の複合拍子である。第3小節、第9小節など右手が八分音符の4×3、左手が四分音符の3×2となっているようなところも、別段ヘミオラというわけではない。変則的なリズムを意識して仕掛けた作曲者の遊びということができる。
サラバンドはトリオ・ソナタ風、すなわち左手が弦楽器によるバス、右が2つの旋律パートとなっている。前打音はあまり鋭くならないように、書かれた音符と同じだけの重みを感じて奏さねばならないだろう。
ブレには明らかに、《イギリス組曲》と《フランス組曲》の中間の様式が顕れている。すなわち、四分音符の刻みが支配的な古いタイプのものと、無窮動の八分音符が特徴的なタイプの過渡期である。《フランス組曲》第5番、第6番などのブレでは、♩ ♫のブレ特有のリズムと八分音符の走り回るような動機が同一声部に短い周期で交互に現れ、さらに両手とも八分音符のパッセージに加わるところがかなりあるが、《イギリス組曲》では、四分音符の刻みをどちらかの声部が必ず保持する上、交代の周期が長い。BWV819aのブレは見事にこの中間のスタイルを取っており、すなわち八分音符にブレのリズムが応じたり、両手でブレのリズムを奏したりしつつも、四分音符の刻みがまだかなり残っている。
この組曲は2つのメヌエットで締めくくられる。Es-DurのメヌエットIに対し、トリオにあたるメヌエットIIはなんとフラット6つのes-Mollである。《平均律クラヴィーア曲集》を別とすれば、この調で書かれた鍵盤曲はバッハには他にない。あるいは他の調で書かれた曲を移調したのかも知れない。
バッハは改訂に際してもこの組曲にジーグを加えていない。メヌエットで鍵盤組曲を閉じることは当時はそれほど異様なことではなかった。とはいえ、《フランス組曲》にはアルマンド‐クーラント‐サラバンド-(挿入舞曲)-ジーグの定型を破ったものがひとつも無いことを考えると、BWV819が加えられなかった理由はここにもあるのかも知れない。
出版情報作曲年: about1725-29 出版年: 1866 初版出版地/出版社: Peters
ラフ : 組曲 変ホ長調
バッハ : 組曲 変ロ長調
【英】Suite B-Dur BWV 821
作品情報
標準演奏時間: 9m30s
解説
作品情報
標準演奏時間: 9m30s
| 楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例 | |
| 1 | 前奏曲 Prelude | 1m0s | - |
| 2 | アルマンド Allemande | 3m0s | - |
| 3 | クーラント Courante | 1m0s | - |
| 4 | サラバンド Sarabande | 2m0s | - |
| 5 | エコー Echo | 2m30s | - |
この作品がバッハの真作としての地位を危ぶまれているとすれば、その理由は、単に不運な伝承経緯によるものだろう。残念ながら自筆譜は現存せず、唯一の資料はバッハと同時代を生きたオルガニスト、J. P. ケルナーの音楽帖のみである。ケルナーはバッハの信奉者だったが、彼がここに書きつけた作品がすべてバッハのものであったという確証はない。
しかし、少なくともこの作品は、音楽内容からバッハの真作である可能性がきわめて高い。そしてバッハの作品であるとすれば、おそらくかなり初期の作であると思われる。組曲はアルマンド-クーラント-サラバンドという基本の舞曲を順番通り含むが、最後にエコーの楽章を持つ点が特徴的である。エコーは17世紀末の組曲には珍しくないが、バッハは後年の組曲集で通常ジーグを終楽章に置いたからである。
組曲は前奏曲で始まる。3声部が簡明なテクスチュアのまま、中音域で緩やかに対話する。この前奏曲で終始きこえてくる16分音符の動機は、次のアルマンドにも引き継がれる。
アルマンドは前奏曲の変奏と思わせるような親密な前半部と、最大で3オクターヴに広がる幅を持った響きの後半部からなる。この曲の最初の魅力は第8小節第3拍のナポリ6度(as音)だろう。こうした和声の逸脱はいかにもゼバスティアン・バッハらしい。さらにここから一旦 g-Moll に終止するが、次にはすぐにg上の長三和音にふわりと静止して冒頭に折り返す、ないし後半へと移行する。後半が始まると、これがハ短調へ移る準備であったことが判る。後半は用いられる音域が広がって響きの豊かさが増す。最後2小節のコーダで右手だけの上行する音型は、次のクーラント冒頭で、右手のみの下行によって応えられている。
クーラントは8分音符の動機がほぼ絶え間なく続くが、この舞曲の基本リズムである2分音符+4分音符の形も厳密に守られる。全体は派手なところのない抑制のきいた曲であるので、淡々としたテンポを遵守しつつ、煌びやかな装飾音を随所に散りばめるのもよいだろう。
サラバンドは3声部が模倣風に始まるたいへん珍しいタイプである。ただし模倣は維持されず、舞曲のリズムがすぐに明確になる。8小節の楽節が3回繰り返されるうち、最初が前奏、後の2回はさらに4小節+4小節の小楽節に分かれ、動機を変奏してゆく。和声の微妙な色合いや音域の広がり、また装飾音などそれぞれの要素が多彩に変化する。
エコーはその名の通り1小節ごとこだまのように反復しながら進む曲である。fとpの指示は単純に音量を表すものではない。複数の鍵盤を持つチェンバロであれば、鍵盤を替えて弾く。現代のピアノであれば、una cordaで音色そのものを変化させるのも良い方法かも知れない。始まりの音型はサラバンドの冒頭と関連がある。第19小節で冒頭の動機が回帰する。原資料ではここにダル・セーニョのための記号があり、以降を反復するよう指示されているので、これを守るなら全体はロンドの形式ということもできる。が、エコーの規則的な交代がやや冗長となるため、反復は必ずしも必要ではないかもしれない。最後には4小節のコーダがつき、組曲全体を壮麗な終止へと導いている。
なお、エコー楽章には、バッハの初期作の複数のコラール(米イェール大学所蔵《ノイマイスター・コラール集》収載)と共通点が多く、この組曲が真作であるとの見方は近年ますます強まっている。
しかし、少なくともこの作品は、音楽内容からバッハの真作である可能性がきわめて高い。そしてバッハの作品であるとすれば、おそらくかなり初期の作であると思われる。組曲はアルマンド-クーラント-サラバンドという基本の舞曲を順番通り含むが、最後にエコーの楽章を持つ点が特徴的である。エコーは17世紀末の組曲には珍しくないが、バッハは後年の組曲集で通常ジーグを終楽章に置いたからである。
組曲は前奏曲で始まる。3声部が簡明なテクスチュアのまま、中音域で緩やかに対話する。この前奏曲で終始きこえてくる16分音符の動機は、次のアルマンドにも引き継がれる。
アルマンドは前奏曲の変奏と思わせるような親密な前半部と、最大で3オクターヴに広がる幅を持った響きの後半部からなる。この曲の最初の魅力は第8小節第3拍のナポリ6度(as音)だろう。こうした和声の逸脱はいかにもゼバスティアン・バッハらしい。さらにここから一旦 g-Moll に終止するが、次にはすぐにg上の長三和音にふわりと静止して冒頭に折り返す、ないし後半へと移行する。後半が始まると、これがハ短調へ移る準備であったことが判る。後半は用いられる音域が広がって響きの豊かさが増す。最後2小節のコーダで右手だけの上行する音型は、次のクーラント冒頭で、右手のみの下行によって応えられている。
クーラントは8分音符の動機がほぼ絶え間なく続くが、この舞曲の基本リズムである2分音符+4分音符の形も厳密に守られる。全体は派手なところのない抑制のきいた曲であるので、淡々としたテンポを遵守しつつ、煌びやかな装飾音を随所に散りばめるのもよいだろう。
サラバンドは3声部が模倣風に始まるたいへん珍しいタイプである。ただし模倣は維持されず、舞曲のリズムがすぐに明確になる。8小節の楽節が3回繰り返されるうち、最初が前奏、後の2回はさらに4小節+4小節の小楽節に分かれ、動機を変奏してゆく。和声の微妙な色合いや音域の広がり、また装飾音などそれぞれの要素が多彩に変化する。
エコーはその名の通り1小節ごとこだまのように反復しながら進む曲である。fとpの指示は単純に音量を表すものではない。複数の鍵盤を持つチェンバロであれば、鍵盤を替えて弾く。現代のピアノであれば、una cordaで音色そのものを変化させるのも良い方法かも知れない。始まりの音型はサラバンドの冒頭と関連がある。第19小節で冒頭の動機が回帰する。原資料ではここにダル・セーニョのための記号があり、以降を反復するよう指示されているので、これを守るなら全体はロンドの形式ということもできる。が、エコーの規則的な交代がやや冗長となるため、反復は必ずしも必要ではないかもしれない。最後には4小節のコーダがつき、組曲全体を壮麗な終止へと導いている。
なお、エコー楽章には、バッハの初期作の複数のコラール(米イェール大学所蔵《ノイマイスター・コラール集》収載)と共通点が多く、この組曲が真作であるとの見方は近年ますます強まっている。
ルセル(ルーセル) : 組曲 嬰ヘ短調
ウィキペディア |
組曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/01/17 10:45 UTC 版)
組曲(くみきょく、英語:suite)とは、いくつかの楽曲を連続して演奏するように組み合わせ並べたものである。
[続きの解説]
「組曲」の続きの解説一覧
- 1 組曲とは
- 2 組曲の概要
- 『組曲虐殺 』 - シアターガイドシアターガイド
- 「ベルリオーズ幻想交響曲」と「ビゼー『アルルの女』&『カルメン』組曲」が名盤復刻シリーズのSACDにStereo Sound
- 『交響組曲「ドラゴンクエストIX」星空の守り人』発売決定、恒例のコンサート情報もファミ通.com
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