確認事項の存在をめぐって
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 05:27 UTC 版)
「七項目の確認事項」の記事における「確認事項の存在をめぐって」の解説
国税局ならびに部落解放同盟・大企連は、今日ではこの確認事項の存在を表向き否定している。しかし、部落解放同盟の機関紙『解放新聞』大阪版(1969年2月15日付)は、上記のように1968年1月の大阪国税局長と部落解放同盟大阪府連合会の交渉結果としてこの七項目確認を掲載している。 総務庁地域改善対策室室長として地対財特法の立案にあたった熊代昭彦(衆議院議員、自民党)は「国税についての問題点は、昭和43年の大阪国税局長と解同中央本部及び大企連(大阪企業連)との間の『いわゆる確認事項』に端を発する」と述べ、この確認事項の存在を認めている。 また、元法務大臣の前田勲男(和歌山県選出参議院議員、自民党同和対策特別委員会委員長)もこの確認事項の存在を認め、「同企連(同和問題企業連絡会)というのが各地にありました。1968年1月、当時の高木文雄・大阪国税局長が部落解放同盟などとの団体交渉の席で、同和地区の状況を踏まえて課税すると申し合わせた。簡単にいえば、課税面で優遇するという話です。政府は建前上、こんな申し合わせは存在しないことにしてましたが、実態としては存在していた。ただ近年はなくなったはずですけど」と発言している。 この七項目の確認事項については、日本共産党の以下の国会議員が具体的事例を示して「同和減免」の実態を追及している。 参院議員沓脱タケ子(1978年4月の参院決算委員会にて) 参院議員神谷信之助(1979年3月の参院予算委員会にて) 衆院議員三谷秀治(1979年5月の衆院決算委員会と1982年4月の衆院地方行政委員会にて) さらに1994年6月7日には、衆議院予算委員会第二分科会において、当時の大蔵大臣藤井裕久が野中広務の質問に答えて七項目確認の存在を認めている。野中はこれに先立つ1993年10月6日の衆議院予算委員会でも「昭和四十三年一月三十日以降大阪国税局長と解放同盟中央本部及び大企連との確認事項が行われております」「同和対策特別措置法が施行された後、昭和四十五年二月十日、国税庁長官通達をもって、この国税庁長官通達は、結局はこの四十二年の解同及び大企連との確認事項を追認する形で、最後に、「同和地区納税者に対して、今後とも実情に即した課税を行なうよう配慮すること。」これで、近畿地区だけでなく、全域に広がったのであります。すなわち、これを利用することによって、今度は申告すればそのまま認めてもらえる、そんな器用なことがやれるんならおれも同和を名のろうということで、えせ同和がつくり上げられてきたことは御承知のとおりであります」と述べ、この確認事項の問題を取り上げている。 また、現職(1991年当時)幹部税務署員によると、幹部職員を集めた「同和研修」に際しては、「税の執行機関は、七項目確認事項を誠意をもって対処しなければならない」と書かれた資料が配布されている。 1980年12月、部落解放同盟大阪府連合会委員長上田卓三と部落解放同盟大阪府連合会副委員長兼大企連理事長山口公男との連名(各団体印付)で大阪市内の税務署長に宛てて出された「要求書」には、「要求項目」の2番目として「七項目の確認事項については関係機関へ更に徹底されたい」と書かれている。 2016年12月6日の法務委員会でも、税理士出身の衆院議員の西田昌司(自民党)が「実は私、税理士やってまして、非常にショックを受けたことがあるんですよ。今からもう30年近く前、開業して間もない頃の話ですけど、税法のどこを見ても同和の方々に対して税を優遇するなり、そういうことはどこにも書いてないんですが、実は公然としてあったわけですね。それは税の現場で通達なり、されていたようでありますけれども」、「私現場でも見たことありますから」、「法律で定めていることを超えて、そういう税の特典がされていた現実がある。これはどうだったんだろうか」と問題提起した。これに対して参考人の灘本昌久は「部落内の中産階級は同和事業に大反対だった。そのような人にもおいしい目をさせて反対の声を抑える上で、同和関係者への税の減免は『配り物』として効果があったかもしれないが、そもそもそんなことが必要だったのかと問われると、長期的には同和事業の推進自体を歪めるものだったろうと私は思う」、「ただ運動を推進する立場からいうと、減免額の相当部分が、場合によっては億単位のお金がカンパとして一支部に入ったので、金銭的には助かったんでしょう」と答えた。
※この「確認事項の存在をめぐって」の解説は、「七項目の確認事項」の解説の一部です。
「確認事項の存在をめぐって」を含む「七項目の確認事項」の記事については、「七項目の確認事項」の概要を参照ください。
- 確認事項の存在をめぐってのページへのリンク