物語設定の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 04:31 UTC 版)
宮崎は少年時代に読んだ『マクベス』の「森が動く」という台詞に驚き、植物のことを扱いたいという意識を持っていた。漫画家志望だった学生時代には革命ものの習作を描いていたが、本作では「人間がいる世界というか、自然物というか、そういうものとの関係を語らないと、生産と分配の問題だけを論じてもくだらないことになると思ったんですよ」と述べている。 物語序盤に提示されていた自然と科学技術の対立という構図は、後半では世界の浄化を巡るより複雑な構図に変化していく。宮崎は、この作品を結ぶにあたり影響を受けた事件としてユーゴスラビア内戦を挙げ、「あれだけひどいことをやってきた場所だから、もう飽きているだろうと思ったら、飽きてないんですね」「戦争というのは、正義みたいなものがあっても、ひとたび始めると、どんな戦争でも腐ってゆく」と述べており、これを物語終盤に反映させた。 宮崎は風の谷のイメージを「中央アジアの乾燥地帯なんです」と発言し、腐海のモデルはウクライナ、クリミア半島のシュワージュ(腐海)としている。オーストラリアのオルガ山(カタ・ジュタ)には風の谷(Valley of the Winds)という場所があるが、スタジオジブリによれば関連はない。宮崎の初連載漫画『砂漠の民』も中央アジアを舞台としており、主人公の属するソクート族の王都「ペジテ」が登場している。作中の地名にも、中央アジアやタリム盆地の都市に関連した地名が見られる。「古エフタル王国」は言語などが謎に包まれたエフタルと呼ばれる中央アジアの遊牧民、「トルメキア第四皇女クシャナ」はインド北部に生まれたクシャーナ朝との関連が指摘される。旧世界の産業文明が発生した場所はユーラシア大陸の西、つまりイギリス周辺としている。
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