水蒸気量(湿度)の観点から
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 09:34 UTC 版)
大気中に含まれる水蒸気の量は環境により異なるが、一定量の大気中に存在できる水蒸気の最大量を(別の表現では湿度(相対湿度)100%のとき=飽和のときの水蒸気の量にあたるが)、飽和水蒸気量と呼び、物理的に定まっている。また、飽和水蒸気量は気温により変化し、冷たい大気ほどその量は少なくなる。例えば、20℃では17.2g/m3、0℃では4.85g/m3である。 水蒸気を含む湿った大気が冷やされると、湿度100%に達した(気温が露点温度に達した)ところで、その気温における飽和水蒸気量を超えた水蒸気が凝結し(低温下では昇華し)、雲粒が形成される(雲ができる)。 なお、水蒸気の凝結・昇華、また水滴の凍結には、微粒子(エアロゾル)の存在が不可欠である。雲粒(水滴や氷晶)は微粒子を「芯」にして形成され、このプロセスを核形成(雲核形成・氷晶核形成)という。 物理学の領域になるが、見かけ上凝結や蒸発が起こっていない気液平衡の状態にあっても、分子レベルでは、水分子が一時的に寄り集まって凝結したり、逆に離れて蒸発したりといった運動は起こっている。言い換えると、水滴が大きく成長できない状態である。水滴が自発的に成長できる大きさ(臨界半径)より大きくなるためには、不純物を含まない清浄な大気(純水)では気温0℃で相対湿度430%、-23℃で630%、17℃で350%とそれぞれ非常に大きな過飽和度が必要であることが、実験で確かめられている。実際の大気では200%を超える湿度が観測されることはないため、微粒子なしで水滴が形成(均質核形成)されるのは不可能と考えられる。 実際の大気には核となる微粒子が存在するので、相対湿度100%をわずかに超え、過飽和度1%(相対湿度101%)以下のレベルで雲粒が生成される。なお、微粒子によって水滴の核形成に作用し始める(活性化する)過飽和度や温度は異なり、作用が高い微粒子が存在する場合は、過飽和度0.1%でも雲粒が生成される。微粒子(エアロゾル)の種類は、海塩粒子、硫酸塩(硫酸アンモニウムなど)、土壌粒子や鉱物粒子(火山灰や黄砂を含む)、有機成分(バクテリアなど)を含むバイオエアロゾルなど。
※この「水蒸気量(湿度)の観点から」の解説は、「雲」の解説の一部です。
「水蒸気量(湿度)の観点から」を含む「雲」の記事については、「雲」の概要を参照ください。
- 水蒸気量の観点からのページへのリンク