水戸市と宇都宮市の両事件に関わった被告の裁判
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「水戸市男性殺害事件・宇都宮男女4人死傷事件」の記事における「水戸市と宇都宮市の両事件に関わった被告の裁判」の解説
GとAは水戸市と宇都宮市の両方の事件の犯人として殺人罪・強盗致死罪・強盗殺人未遂罪などで起訴されたが、こちらもやはり裁判は宇都宮地方裁判所で開かれた。 検察は、両事件ともGが首謀者であるとして、Gに死刑、Aに無期懲役を求刑した。Gの弁護人は、乙が死亡した事件については「強盗致死罪ではなく、傷害致死罪を適用すべきだ」と主張。 宇都宮地方裁判所(飯渕進裁判長)は2003年2月24日、検察側の主張をほぼ全面的に認め、Gに求刑通り死刑判決を言い渡した。判決では、乙死亡事件についての「傷害致死罪にとどまる」との弁護人の主張を排斥し、乙死亡事件について「事件に巻き込まれて非業の死を遂げており、尊い命を永遠に閉ざされた苦痛や無念さは察するにあまりある」と述べ、また甲殺害事件については「甲は被告によって深夜の大河に投げ落とされ、太平洋の沖合まで流されて1週間近く漂流し、魚に一部をかまれた変わり果てた姿で発見された。男性の苦痛や無念は、いかばかりかと思われる」と指摘した。そして「わずか3週間に連続して死者1人ずつを出し、G被告の罪は余りに重大。極刑をもって臨むのはやむを得ない」と述べた。 また、その翌日の2月25日、Aには無期懲役(求刑・無期懲役)が言い渡された。Aは控訴せず無期懲役が確定。 Gは量刑不当及び事実誤認を訴え、死刑判決を不服として東京高等裁判所に控訴した。しかし、2004年7月6日、東京高等裁判所(山田利夫裁判長)はGの控訴を棄却し、死刑判決を支持した。判決理由で山田裁判長は「非情の限りを尽くした悪らつな犯行で、被告の冷酷さは常人の理解を超えている。被害者への凶悪な行為を主導的に重ねており、首謀者として刑事責任は重大だ」と指摘した。「当時、覚醒剤の影響で心神耗弱状態だった」とする弁護側の主張は「動機などの被告の供述は理解可能で、責任能力に問題はなかった」として退け、「凶悪な犯行を重ねた被告を極刑とするのはやむを得ない」と結論づけた。 Gは死刑判決の破棄を求め、最高裁判所に上告した。口頭弁論で、弁護側は「被告は反省と後悔の念から、余罪をすべて捜査機関に告白した」と主張。「新たに起訴された事件には上告事件の共犯者がかかわっている。一、二審判決はこれを考慮しておらず、新たな証拠調べの必要がある」と指摘。「死刑が確定すれば、いつ執行されるか分からず、他の事件が闇に葬られる」と述べ、一審への審理差し戻しを求めた。また弁護側は「覚せい剤の影響による心神耗弱状態だった」として死刑回避を求めた。検察側は「自己中心的で短絡的な暴力団特有の犯行。被告人の責任能力を認めたのも正当。極刑はやむを得ない」と上告棄却を求めた。 2007年9月28日、最高裁判所(津野修裁判長)は一審・二審の死刑判決を支持し、Gの上告を棄却する判決を言い渡した。判決で津野裁判長は「5人の被害者のうち2人の生命を奪い、3人に重傷を負わせたという結果は重大」「犯行は冷酷、非情。遺族の処罰感情は厳しく、社会に与えた影響も大きい」と述べた。その上で、「1人の死亡は確定的殺意に基づくものではないことなど、被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、被告人の罪責は重大で、死刑を是認せざるを得ない」とした。 上告が棄却されたことにより、Gの死刑が確定した。現在、Gは死刑囚として東京拘置所に収監されている。
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