構造、地震対策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 16:16 UTC 版)
「THE TOKYO TOWERS」の記事における「構造、地震対策」の解説
埋立地にありながら基礎構造は事業地の安定した地盤から直接基礎構造を採用し、高層棟は地下16メートルの支持地盤に約70メートル角、高さ約4メートルのコンクリート基礎(マットスラブ)をのせる直接基礎によって支持される。支持地盤は、東京都庁舎などの超高層ビルが建つ西新宿地域と同様の上総層群である。 1階の柱84本のうち最も軸力のかかる12本に、打設時(2005年(平成17年))世界最高強度である1平方ミリあたり130Nの超高強度コンクリートを用い、さらに1階の柱すべてを鋼板巻き柱とし火災時の爆裂防止と建物の耐震性を向上させた。1平方ミリあたり36N以上の強度を持つ高強度コンクリートは23階まで用い、プレキャストコンクリート(PCa)の全面的採用で高い品質を確保する。SD590、SD685といった高強度鉄筋もあわせて採用する。 地震対策として制震(制振)構造を採用し、各高層棟の3階から48階にかけて配置された計576本の制振間柱が地震エネルギーを吸収し躯体の損傷を抑える。制振間柱はJFEの極軟鋼ダンパー JFE-LY225等を用い、同製品は超高層建築を想定した検証の結果、想定される最大規模の地震に対しても累積塑性変形性能で約6.6 倍と十分な余力を持ち、また疲労寿命も長く、固有周期の長い超高層建物などへの影響が懸念される長周期地震動に対しても高いエネルギー吸収性能を示す。 躯体は1辺を68メートルとする正方形のRC造の中央に大きな吹き抜けをとり、その中心にS造による柱状構造物(エレベーターホール)を形成し、RC造の外周部に接着させたS造柱とをダンパーで連結する。異なる固有周期を持つS造とRC造をダンパーで連結する構造は、長周期地震動で懸念される建物の共振の抑制に有効とされ、万全な長周期地震動対策を必須とした東京スカイツリーの柱状制震構造も同じ考えである。 架構はアウトフレーム逆梁構造を基本としながら、建物のすべてのコーナー部には中間逆梁によるガラスカーテンウォールを併用する、シャープな印象の外観と、高い居住性を同時に生かす構造体である。住戸計画はフレキシビリティを重視し、住戸を横断する梁は扁平梁としてスケルトン・インフィル(SI)対応とするためのスラブ段差を梁成内で吸収し、室内への梁の露出を抑えた多様な住戸プランを実現している。
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