核開発史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/02 14:22 UTC 版)
いまだ冷戦体制が続いていた1986年に出版された『原子爆弾の誕生』(The Making of the Atomic Bomb) では、1930年代の核分裂、核連鎖反応の発見に始まり、マンハッタン計画を経て、1945年の広島と長崎への原子爆弾投下に至るまでを中心として原子爆弾の誕生の物語を明らかにする。 科学者、政治家、軍人、そして被爆者に関する数多くの事実と証言をおよそ600件の文献とインタビューを元に幅広く網羅するとともに、そのつながりを明らかにし、批評を廃してそこに存在した多くの物語を冷静なタッチで描き出している。 原書で900ページ近いこの著作は、1988年に一般ノンフィクション部門でピューリッツァー賞を受賞したのを始め、全米図書賞、全米批評家協会賞を受賞し、原書は数十万部を売上げるとともに、10か国語以上に翻訳され、この著作はこのテーマにおいてそれを最も包括的に扱った代表的なもののひとつとなっている。 1995年には700ページ強の『原爆から水爆へ』(原題『暗闇の太陽』Dark Sun) を著し、再びピューリッツァー賞の最終選考候補に残った。 この著作では、『原子爆弾の誕生』に続くものであるが、第二次世界大戦中に始まったソ連の諜報活動から原爆開発、水素爆弾開発の是非にまつわる議論とテラーらによる水爆の誕生、こうして激化していく米ソ対立の深化と、その核軍拡競争を阻止しようとしたオッペンハイマーの赤狩りによる失脚と聴聞会の経緯が描かれた。 さらに2007年には、Arsenals of Folly(愚かさの備蓄)を上梓、2010年には The Twilight of the Bombs(爆弾の黄昏)を出版した。 前者では冷戦期の歴史を扱うが、特にその終焉であるゴルバチョフ=レーガン期に焦点を当てている。 後者はポスト冷戦期のイラクの核開発計画などを扱い、これら4作のシリーズの最終作となる。
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