新魔王決定戦編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 07:27 UTC 版)
魔界のとある国。1人の勇者の手によって魔王が倒され、人間界は「もう魔王に怯えることはない」と笑顔に溢れていた。一方、魔界では、倒された魔王の後継を決めるため、新魔王の座をかけたトーナメントが開催されていた。そんな中、大会の責任者が負傷したため、帝国四天王・赤のヴァミリオは代役として責任者を務めることになる。大会予選の参加者を値踏みするヴァミリオの目に留まったのは、今大会の優勝候補である人間の勇者ヘルクであった。ヴァミリオは大会の副責任者であるホンに、なぜ魔族と敵対している人間を参加させているのか問い詰めるも、大会への参加は種族問わず誰でもOKだからだった。「人間が憎い」「人間滅ぼそう」とおよそ人間の勇者とは思えない発言をするヘルクに対し、なにか裏があるに違いないと危惧するヴァミリオだったが、いまいちヘルクの狙いがつかめずにいた。ともかく、ヘルクを敗退させるために、ヴァミリオとホンは様々な妨害を試みるのだった。 戦闘レベル99のヘルクには力では誰も敵わないため、ホンの発案により、第一試合の種目はトランプタワー対決となった。ヘルクにのみツルツルのトランプが用意され、苦戦するヘルクだったが、気合を入れ直す掛け声と同時に風圧を巻き起こし、完成直前の他選手のタワーを崩壊させ、超集中状態を駆使して物凄いスピードでトランプタワーを完成させ、見事一位通過となった。その後は、ボードゲーム対決、彫刻対決、料理対決と試合が進んでいき、無理矢理にでもヘルクを落とすために料理対決の審査員として参加して、0点を出すつもりのヴァミリオだったが、ヘルクが作ったデザートに10点満点を出し、ヘルクは見事すべての試合を一位通過して、準決勝へと進出したのであった。 妨害がまったく上手くいかない一方で、ヴァミリオは配下の諜報員であるアスタを、勇者の情報と人間の狙いを探るべく、人間の国へ潜入させていた。アスタは得られた情報を妹のイスタへ送り、イスタがそれをヴァミリオへ報告する。それによると、ヘルクは高額な賞金をかけられた賞金首となっていて、その罪状は、魔王トールを倒した勇者であり、ヘルクの実の弟であるクレスを殺したとする弟殺しだった。さらに妙なことに、アスタが回ったどの町にも人間の姿はなかった。いぶかしむヴァミリオの元へ、ホンが駆け込んできて、魔王ウルムの城が落城したことを報告する。他にも人間の勇者がいたのかと危惧したヴァミリオだったが、ウルム城を攻め落としたのは勇者ではなく、翼を持った白い兵士、わずか300名の軍勢だった。 不穏な情勢の中、準決勝として乗馬レース対決が行われることになった。馬の良し悪しが勝敗を左右するこの試合で、ヘルクにあてがわれたのはヘルクの膝上くらいの背丈しかない小さな獣だった。大砲の音を合図にレースがスタートするも、ヘルクの馬はその音に驚いてしまっておろろーんと泣き始める。出遅れたヘルクだったが、馬を励まし元気付けて、レースを再開する。ヘルクは、馬に跨っていても地面に足が着くことを利用し、馬と一緒に走ることで、物凄い勢いで追い上げる。道中の障害物は避けずに破壊し、最終的には馬を脇に抱えて走り、そのままトップを追い抜いて見事一位でゴールした。これにより、決勝のメンバーは勇者ヘルク、神速のケンロス、不死身のヒュラ、鉄壁のドルーシの四名に決まった。 ヘルクと翼の兵士の件に頭を悩ませていたヴァミリオだったが、そこへ大会の元責任者である帝国四天王・青のアズドラが満身創痍で現れる。アズドラの提案により、決勝戦はウルム城の奪還に決定する。敵のリーダーを倒して城を奪還した者が新魔王となることになったが、選手の身を案じ、ヴァミリオが運営のアン(偽名)として、これに同行することになった。 ヘルク一行は、魔界の大地の毒が生み出しているという魔物や、それらの通常の魔物よりさらに凶悪な新世界生物と呼ばれる異形を倒しながら、ウルム城を目指す。ウルム城へ到着したヘルクたちは、翼の兵士との戦闘を始める。単身で先行して斬りかかるヒュラだったが、敵のリーダーに間合いを一瞬で詰められ、片腕を切り落とされてしまう。ヒュラに止めを刺そうと近づく敵のリーダーに対して、ヘルクは名を呼んで呼び止める。敵のリーダーはエディルという名のヘルクの知り合いだった。二人はお互いを懐かしむが、エディルの発言から、翼の兵士は人間たちが勇者として覚醒したものであり、覚醒率が高い兵士は自我を保ったままだと、アンたちは知る。勝ち誇るエディルだったが、背後からヒュラの不意打ちをくらい、追い詰められる。ヒュラが止めを刺そうとした瞬間、ヘルクが間に入ってそれを防ぐのだった。これを見たアンは、ヘルクはやはり敵だと認識する。そしてヘルクは翼の兵士を殺してはダメだと言う。その直後、エディルは仲間である翼の兵士によって致命傷を受ける。翼の兵士の行動を疑問に思うアンたちだったが、突如城の床が崩れ、空間移動術で作られたゲートが目の前に現れる。ゲートは暴走しており、周囲のものを無差別に吸い込む状態だった。アンはこれを止めるため、ゲートの原動力となっている結界石を破壊することに成功するが、ゲートからの脱出に失敗し、助けに入ったヘルクとともにゲートへ吸い込まれてしまうのだった。
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