従属栄養か独立栄養か
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/08 02:43 UTC 版)
原始生命体は炭素源として何を利用していたのかということも争点になっている。この点は生命の起源の項でも指摘済みである(従属栄養および独立栄養の詳細については栄養的分類を参照)。簡単に書いておくと 従属栄養:炭素源を有機物に依存 独立栄養:炭素源に二酸化炭素を利用できる 生命の起源以前の化学進化によるとユーリー-ミラーの実験でも示されたように、高温および火花放電などのエネルギーを加えることによってアミノ酸など有機物が蓄積していくモデルはすでに成立している。また地球形成過程で降り注いだ隕石中には既にアミノ酸、糖などの生命を形作る有機物が見つかってきている。オパーリンは原始生命体は原始海洋中に既に存在していた有機物を代謝する従属栄養生物であったとしている。 一方、近年の説では原始生命体は独立栄養的であったする説が多く、これは主に1970年代に深海熱水孔で化学合成独立栄養細菌群に依存する(太陽エネルギーに依存しない)独自の生態系を発見したことによる。地球成立当初は太陽エネルギーに乏しく、海底の大半が熱水孔のような状況にあったと考えられている。ヴェヒターショイザーは原始生命体は独立栄養生物であり、糖新生系の逆反応がそのまま解糖系になり従属栄養生物に進化したと考えている。 原始地球のエネルギーの出所を考えると地球内部からの熱エネルギー、火花放電、ガスの放出などがあげられるが、この全てがこの論争のよりどころになっているためどちらが先に登場したかという点については意見が分かれるところである。一方、生物進化の観点から見ると系統樹上、根が深い生物群はそのほとんどが化学合成独立栄養的に生育し、好熱性を示すという結果が出ている。
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