庄内のモリ供養の習俗とは? わかりやすく解説

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庄内のモリ供養の習俗

名称: 庄内のモリ供養の習俗
ふりがな しょうないのもりくようのしゅうぞく
種別1: 風俗習慣
保護団体名: 山形県
選択年月日 2000.12.25(平成12.12.25)
都道府県(列記): 山形県
市区町村(列記):
代表都道府県 山形県
備考
解説文: 庄内地方は、山形県中央部流れ最上川下流広がる地域であり、良質庄内米の産地である庄内平野がその大部分占めている。北には鳥海山、東には出羽三山知られる月山湯殿山羽黒山などの秀峰がそびえ、平野部は西に展開して日本海面し直線状の砂丘となっている。
 庄内地方では、里近くにあり、それほど高くない山や樹木こんもり高く茂ったなどをモリあるいはモリノヤマと呼んでおり、死者の霊が一定の期間とどまるところと考えられている。モリ供養は、毎年旧盆あけの八月二十日ころからこうした山やなどに花や供物などを持って訪れ有縁・無縁死者の供養を行うものであり、モリ詣りとも呼ばれている。盆で送られた霊や未だ清まらない霊はモリ集まり、そこで供養され、やがては月山鳥海山などさらに高い山々に行き鎮まるといわれている。
 モリ供養の「モリ」とは、「森」や「亡利」あるいは「亡霊」などの諸説があり、地域によってその表記異なっている。庄内地方には、鶴岡市清水東田川郡立川たちかわ】町三ヶ沢、西田川郡温海【あつみ】町小岩川、また酒田市日吉町持地院や飽海【あくみ】郡八幡【やわた】町の観音寺などにモリ呼ばれる場所があり、この地方基本的な信仰圏しながらも、新潟県北部秋田県南部などから参詣者を集めているところもある。地域によっては、寺院地区内の地蔵堂などでもモリ供養が行われているが、鶴岡市清水立川町の三ヶ沢のなどは、モリ供養の古い形態伝えているとされ、前者西の森、それに対して後者東の森とも称されている。
 清水は、鶴岡市西南部に位置する丘陵で、三森山【みつもりやま】とも呼ばれている。清水モリ供養は、八月二十二日と二十三日両日山麓にある上清水中清水下清水の三地区中心となって行われる三森山の尾根上には、優婆【うば】堂、閻魔堂大日堂観音堂地蔵堂勢至堂阿弥陀堂諸堂墓【ふじばか】と呼ばれる石塔群などが点在し、優婆堂から閻魔堂までは地獄大日堂から阿弥陀堂までは極楽表しているとされる参詣者は早朝から花や米などを持参して山に登り思い思い諸堂や墓を巡拝する登山道では、無縁仏扮した、ヤッコ呼ばれる子どもたち待ち受けていて参詣者に小銭や米をねだる。このモリ供養の期間のみ、三地区にある曹洞宗善住寺、天翁寺、願院、浄土真宗隆安寺の四か寺の僧侶受け持ちの堂や墓に詰めており、参詣者は堂の受付にて五色梵天ぼんてん】や木羽仏【こつばほとけ】と呼ばれる小さな経木塔婆求め、また新仏歯骨納めるなどして僧侶死者供養依頼する参詣者は、堂前つくられ施餓鬼棚向かって座り堂内僧侶塔婆読み上げて供養を行う。墓は、不慮の死遂げた者の霊が集まるとされる場所で、ここにも僧侶詰めており、参詣者の依頼に応じて供養が行われている。一方立川町の三ヶ沢のは、曹洞宗光星の裏手にあり、八月二十一日から二十三日にかけてモリ供養が行われる。参詣者は、光星寺本堂の受付所で木羽仏や梵天求め山中ある光明堂まで登り、そこで僧侶死者の供養をしてもらう。新仏歯骨持って登る者も多く歯骨光明堂の背後設けられ納骨堂納められる。
 本件は、このような有縁・無縁死者供養する習俗であり、庄内地方色濃く分布しているものである死者の霊が集うとされる霊山各地にあるが、モリ供養は、里に近い山行われる死者供養習俗典型例一つ考えられわが国民間信仰人生儀礼理解する上で貴重である。また、本件については、信仰圏縮小寺院行事化の傾向などがみられ、変貌恐れの多いものでもある。



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