実習実施者による問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 10:02 UTC 版)
「技能実習制度」の記事における「実習実施者による問題」の解説
近年では、研修生の急増に比例するように、人権蹂躙や事件が多発している。 典型的な事例は、パスポート取上げ、強制貯金、研修生の時間外労働、権利主張に対する強制帰国、非実務研修の未実施、保証金・違約金による身柄拘束、強制帰国を脅し文句に使って性行為を迫るような性暴力などで、2006年にはトヨタ自動車の下請け企業23社での最低賃金法違反、また岐阜県内の複数の縫製工場では時給300円で残業させていたことなどが報道された。ただし、来日前の契約では研修生本人たちが進んでこの金額での労働に同意していた事実も数多く存在する。 日立製作所とグループ会社10社の計11社12事業で技能実習適正化法違反があるとして外国人技能実習機構が改善勧告した。2018年4月 - 9月実地検査をしたところ実習生に必須業務と異なる作業をさせていたり、給与が最低賃金を下回っていた。 2022年には、岡山市内の建設会社で勤務していたベトナム人の技能実習生が、2年間にわたり職場で暴行を受けていたことが明らかになり、古川禎久法務大臣は外国人技能実習機構に、当該の建設会社や監理団体に対し改善を講じるよう勧告した。当該の建設会社は同年2月18日に出入国在留管理庁から、今後5年間の技能実習生の新規受け入れ停止の処分を受けた。 厚生労働省は、2019年度の監督指導を行った9,455事業所の内6,796事業所に労働基準関係法令違反を確認と発表、6年連続で過去最多を記録した。法定労働時間超過2,035事業所、労働安全衛生法違反1,977件、時間外労働の割増賃金不払い1,538事業所(以上複数法令違反事業所を含む)。法令違反悪質として労働基準監督署が送検したのは34件、法令違反として労基署に実習生が申告し是正を求められたケース107件。 法務省によると、2018年に「不正行為」を通知した機関は112機関で企業単独型による受け入れ1機関、団体監理型による受入れ111機関、不正行為の合計件数は171件。賃金の不払いが82件(48.0%)と最も多く、次いで,隠蔽する目的での偽変造文書等を行使又は提出が38件(22.2%)、保証金の徴収等16件(9.4%)であった。
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