国や政治における対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 22:51 UTC 版)
2021年3月4日の参議院予算委員会にて、公明党の佐々木さやかが「生理の貧困問題」について質問したところ、女性活躍大臣丸川珠代が「対応を検討する」と回答した。3月19日の参議院予算委員会でも、立憲民主党の蓮舫が「生理の貧困」を取り上げ、経済的な理由で生理用品の購入が難しかった学生が2割にあたるとする民間調査の結果を示した。そのことから、本件は自己責任と呼べるものではないと言及した。3月23日、一億総活躍担当大臣坂本哲志は、孤独・孤立対策に取り組むNPOなどへの財政支援に関し、「生理用品の無料配布を補助対象として認める」ことを発表した。一方でfumumu編集部の五代桜子は2021年3月24日の記事にて、賛同や追加の提案以外にも課題そのものの根本解決になっていないことや、生理用品と肌の相性からくる課題の提示、実施に関する説明を求む声があったことに触れている。 各地で生理用品の配布が始まったことについて、助産師の大貫詩織は、「今回配布されている生理用品は、あくまで『備蓄品の放出』を活用したものが多く、1回配ってそれで終了で良いものか?」「「生理の貧困」の根本の問題は、「生理にはどんなケアやコストが必要か?」などの、性教育の欠如による知識不足がある。この言葉が多様な議論につながってほしいが、まずは「性のタブー」をなくす最初の一歩として、身近な人と日常の会話で「性の話」を出してみてはどうか」と述べている。また産婦人科医の宋美玄は、公共施設での生理用品配布に対して、インターネット上で賛否両論があるとして、その中の反対意見は悪用を心配するものが主だとした。 2021年4月3日の『日本経済新聞』では、コロナ禍による経済的困窮から、自治体や学校で生理用品の無償配布が広がっていることが報じられている。東京都では2021年3月15日から、豊島区が防災用に備蓄していた生理用品を女性向けに窓口で配布を始め、3月19日の終了までに計416袋を配布した。きっかけは、区の若い女性への支援策プロジェクトで、プロジェクトに参加している支援団体から「生理用品を渡すことがある」という声があったことで、備蓄用の生理用品を入れ換え時期が来たことに合わせての活用となった。豊島区をはじめとして、東京都の他の自治体でも、コロナ禍で困窮する女性へ生理用品を配布する支援が進められた。 2021年5月28日、男女共同参画大臣・丸川珠代は、定例記者会見で、内閣府が5月19日時点で各都道府県に調査したところ、「生理の貧困」への支援策をしている自治体が、全国で少なくとも255団体あることを発表した。最多は埼玉県内の31自治体で、東京都内の25自治体、愛知県内の23自治体と続く。主な取り組みは生理用ナプキンの無償配布である。 2021年6月16日、内閣府は「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」を決定した。その中で、内閣府と文部科学省と厚生労働省が、地方教協団体に対して「地域女性活躍推進交付金」を使って、生理用品の提供を支援するだけではなく、それをきっかけに女性の背景や事情に向き合うこと、「地域子供の未来応援交付金」による、子どもたちへに必要な支援、学校での養護教諭・スクールソーシャルワーカーによる生活支援への連携などが盛り込まれた。さらに、2021年度から、「生理の貧困」がもたらす健康への影響の調査と、「生理の貧困」に対する支援の「横のつながり」の情報提供を始める。 この発表に対して、日本労働組合総連合会事務局長の相原康伸は、発表された対策に加えて、「教育現場等で、生理の知識や理解を広げることも重要」だとのコメントを出した。 一方で必要とするはずの人間が想定した人数を下回っていることが『信濃毎日新聞』にて指摘されており、心理的なハードルや配布場所まで向かう手間が原因として記事では考えられている。他にも在庫処分として配布分がなくなり次第終了する団体や、継続した支援が続くか疑問視する声が『京都新聞』では触れられている。 2021年10月31日の衆議院議員選挙に向けて、日本共産党、社会民主党、公明党、れいわ新選組、立憲民主党、自由民主党、日本維新の会の各政党が、選挙公約で「生理の貧困」対策を掲げた。「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実は、自分たちの行動が政治を動かしている実感がある半面、生理が女性特有の問題と言う認識がまだ強く、「生理をめぐる問題が『女性の貧困問題』に矮小化されてしまわないか」という不安があり、谷口は「生理の問題を通じて、ジェンダーや男女の格差問題を解決する糸口にしたい」と言っている。
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