医薬品の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 01:09 UTC 版)
詳細は「医薬品開発」を参照 新薬の開発の場合、まずさまざまな素材から化合物を抽出または合成し、基礎研究を行った後、動物などによる非臨床試験をおこない、その後3段階に分けて臨床試験を行う。試験終了後に国による承認審査が行われ、承認されれば生産体制を整え、販売が始まる。この一連のプロセスには非常に長い時間が必要であり、最短でも10年近くの年月がかかる。この一連のプロセスは創薬と呼ばれる。 新たな医薬品(先発医薬品・新薬)を開発することにより一定の利益を上げられるほか、画期的なブロックバスターとなれば製薬会社に莫大な利益をもたらすため、会社間の開発競争が続いている。一方で開発には長い期間(十数年)と巨額の費用(数百億円)を必要とする。医薬品業界は研究開発費の占める割合が世界で最も高い業界であり、2006年度で売上の15.9%が研究開発費に充てられていた。日本でも同様の傾向を示しており、2014年度には売上の12.2%が研究開発費となっていた。製品化できないリスクも他の業界に比べて高い。1990年代後半以降、研究開発費は上昇を続ける一方、研究の成功率は減少している。 さらに厚生労働大臣の承認を得るというプロセスが必要となり、新薬の特許は申請後原則20年で切れる(特許庁に特許延長願いを出し認められれば、最大5年間の延長が特許法で認められている)。そのため上市した後の特許保護期間は、他の製品に比べ短くなることから、常に新たな医薬品の研究・開発が必要とされる。また新薬開発の標的となるタンパク質の枯渇により研究開発費は上昇を続けている。以上のことから、医薬品業界は世界的に再編が進み、世界的な超大手企業(多国籍企業)に集約されつつある。日本でも例外ではなく、医薬品メーカーの再編が急激に進んでいる。 期間の切れた特許で作られた医薬品は後発医薬品(ジェネリック医薬品)と呼ばれ、後発品専門の医薬品メーカーも存在する。既に先発メーカーで実績のある有効成分を用いる事から、開発期間も短く、新たな投資が少ないため、先発品よりも費用が安く、国の医療保険財政に貢献している。2007年度には日本の医薬品販売額の6.2%がジェネリック医薬品によって占められていた。
※この「医薬品の開発」の解説は、「医薬品」の解説の一部です。
「医薬品の開発」を含む「医薬品」の記事については、「医薬品」の概要を参照ください。
- 医薬品の開発のページへのリンク