保存活用計画について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/26 08:53 UTC 版)
「北大東島のリン鉱山」の記事における「保存活用計画について」の解説
北大東村ではリン鉱山の発展とともに形成され、現在まで残った鉱山由来の文化的景観を保存活用すべく基本方針を定めている。基本方針ではリン鉱山関連施設などの修復、維持につとめ、特に鉱山時代にドロマイトを用いて建てられ、現存している建物や石垣は基本的に移転、撤去を行わず、保存のために対策を講じるとした。また鉱山の発展とともに形成されてきた生活、生業、住民交流の場を維持し、鉱山由来の景観を生み出した地形の現状維持に努めるとした。そして鉱山特有の歴史、文化に関しての普及啓発を行い、リン鉱山関連施設などの観光開発や水産業等への利用等の整備活用を進め、今後作られる新たな観光施設や港湾施設等は、鉱山時代からの歴史、文化に重層的に重なるようなものとして、鉱山時代の遺産を生かし、発展させていく中で新たな生活、生業、交流の場を創造していくとしている。 具体的な動きとしては北大東村出張所をりんこう交流館としてリニューアルする事業を契機として、2014年度から島民を対象としたワークショップを開催し、2015年には沖縄県立博物館・美術館で「北大東の景観展」とシンポジウムを開催した。2016年からは島民を対象としたリン鉱山関連遺構を巡るりんこうウォークが開催され、また村の青年会を中心としてリン鉱石採掘場跡清掃活動が行われた。また新たな建造物にはリン鉱山時代に広く用いられていたドロマイトの使用が進められている。 そしてこれまで北大東村主導で行われてきた、りんこうウオークや清掃活動等のリン鉱山由来の歴史、文化の保存活用活動を、自治会、活動団体、事業者等で構成される「うふあがりじま景観協議会」が担い、村などと連携して北大東島の景観づくりやリン鉱山の文化的景観の保存活用体制を固めていくことになった。北大東村やうふあがりじま景観協議会が進めた「北大東島の燐鉱山由来の文化的景観地区」の整備活動は、令和2年度の都市計画大賞「都市空間部門」で優秀賞を獲得した。授賞理由としてはリン鉱山遺跡を巡るりんこうウオークや遺跡の清掃活動といったこれまでの保存活動に村民が自主的に参加する機運が高まっているとともに、新たに建設された漁港施設や定住促進住宅などにリン鉱山時代からの伝統を引き継ぐドロマイトを用いた建築が採用されるなど、リン鉱山の歴史的遺産を生かした効果的な地域づくりが進められ、村のアイデンティティの形成、定住促進、地域活性化に貢献していることが評価された。 今後の課題としては、地形や地質面についての調査研究を進める中で、将来的にはジオパークの認定を目指し、文化的側面とともに地形、地質面からの側面も加えた総合的な価値評価を深化していくとともに、開拓からの歴史を共有してきた南大東島、そして同じ北大東村に所属し、リン鉱山として発展したという共通の歴史を持つ沖大東島という、大東諸島の他の島々との比較対象、研究を進め、離島の開拓、開発史の流れの中で、歴史文化的側面からも北大東島のリン鉱山の位置付けをより総合的に捉えていくことが挙げられている。
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