代表的な囲碁棋士の棋風
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呉清源 実利派。積極的な打ちまわしと大局観、終盤の収束力に優れている。コウに強いとも言われた。木谷実とともに「新布石法」を発表するなど、序盤研究に余念がない。 坂田栄男 実利派。切れ味の鋭いシノギを特徴として「カミソリ坂田」の異名を持ち、数々の妙手、鬼手と呼ばれる手を残している。また、布石での三々を多用した。 藤沢秀行 模様派。中央重視の豪快かつ華麗な碁で、「厚みの働きを最もよく知る」と言われた。序盤から中盤にかけて圧倒的な構想力を見せるが、ポカで負けることも多々あった。 林海峰 実利派。若い頃には粘りのある棋風で「二枚腰」と呼ばれたが、壮年以後は戦闘的な棋風となった。 大竹英雄 模様派。石の形、筋にこだわった手厚い打ちまわしは「大竹美学」と呼ばれ、称えられることが多い。 石田芳夫 実利派。正確なヨセと目算能力から「コンピュータ」と呼ばれた。定石や布石の研究にも定評がある。目外しや三々を好んで用いることでも有名。 加藤正夫 力戦派。圧倒的な戦闘力、攻撃力や、死にそうにない大石をもぎ取ってしまうことから「殺し屋加藤」と恐れられた。一時はヨセの正確さから「ヨセの加藤」と謳われた時代もあった。序盤は厚みを重視することが多い。 武宮正樹 模様派。黒番では相手に実利を与えて中央に巨大な模様を張る、独特のスタイルで「宇宙流」と称された。白番では相手の打ち方によって動き方を決める、平明で流れるような碁から「自然流」と称された。アマチュアに人気がある他、世界の囲碁界に与えた影響も絶大である。 小林光一 実利派。部分の味や含みを残さず「決め打ち」をしてしまうことで有名。一度形勢有利になると相手に逆転を許さず勝ちきる力に定評があり、しばしば勝負に徹した打ち方と評される。 趙治勲 実利派。低く構えて地を先に稼ぎ、後から相手の模様に侵入して荒らすタイプ。ギリギリまで最善を求める、妥協のない打ち方をする。シノギに定評があり、普通は到底入れないと見られるような地模様に打ち込んで荒らしてしまうことが多い。 小林覚 模様派。筋を基調とする碁で、若いころは厚みを活かした追い込みに特徴があったが、徐々に地やスピードも重視する棋風に変わってきたと言われる。近年は序盤構想に新境地を見出すことも多い。 片岡聡 模様派。石田芳夫と対比して「新コンピュータ」と呼ばれるほど終盤の正確さが際立つ。筋のよい碁を打つことでも有名。 王立誠 実利派。スピードを重視した実戦的な棋風と評されることが多い。変幻自在な打ちまわしを見せ、中盤から終盤にかけての逆転力は「立誠マジック」とよばれる。 王銘琬 模様派。「ゾーンプレス」という独自の理論(正確にはサッカーの戦法からの流用)に基づき、「メイエンワールド」と呼ばれる実利よりも模様・位を重視する独特の碁を打つ。相手を翻弄する個性的な打ち方に定評がある一方、ポカが多いことでも有名。 依田紀基 模様派。スケールが大きく華麗な棋風。大胆なフリカワリや捨て石を見せることも多い。石の筋を重視し、筋についての考え「筋場理論」を提唱している。また時に白番天元・初手5の十・2手目7の十など非常に大胆な布石を見せることもあるが、総じて布石の上手さには定評がある。「勝ち碁を勝ちきるのが上手い」と評されるが、時に楽観から大逆転負けを喫することもある。 結城聡 力戦派。石の働きを追求する戦闘的な棋風で、上段の構えから力で圧倒する。乱戦を好み、「武闘派」と称される。 羽根直樹 実利派。低段時代は手厚い碁が多かったが、近年は石の形を重視し、地に辛い碁を打つことが多い。バランス型とされるが、時に深いヨミを発揮することもある。 高尾紳路 模様派。現代にあっては珍しく、厚みを重視する棋風。手厚い打ち方から繰り出される、重厚な攻めに定評がある。 山下敬吾 力戦派。位の高い碁を志向する。攻撃的で読みが鋭く、実戦的なスタイル。かつては五ノ五や初手天元など意表を突く布石を試みたが、近年はオーソドックスな布石を打つ。また地に辛くなりつつあるともいわれる。 張栩 実利派。部分の読みの速さ、正確さに支えられた戦闘力にも定評がある。早い時点から正確に形勢を見切る能力に長けているといわれる。ヨセの正確さ、コウが絡む駆け引きにおける打ち方の上手さでも有名。 河野臨 実利派。冷静な打ち方で、ヨセで勝負をつけることが多かったが、近年戦闘力を身につけて力強さを増したといわれる。また布石の研究にも熱心で、布石の打ち方に工夫が多い。 井山裕太 力戦派。地に辛い碁も厚い碁も柔軟に使い分ける。全局的な発想に長けており、定石研究も積極的に行っている。また、常に最強手を選び、妥協しないことでも有名である。 伊田篤史 模様派。序盤は厚く打ち、中盤にかけて相手を攻める棋風。また、目外し二連打や大高目打ちなど、奇抜な布石を敷くことも多い。 一力遼 力戦派。早見え早打ち。序盤から勝負を仕かけていく好戦的な棋風。 芝野虎丸 力戦派。AI研究に余念がなく、様々な着想を柔軟に使いこなす。また複雑な戦いにおいて、非常に正確な読みを発揮する。
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