五月
『アーサーの死』(マロリー)第1巻第27章 「アーサー王を亡ぼすのは5月1日生まれの者だ」、と魔法使いマーリンが予言する。アーサーは、貴婦人から生まれた5月1日誕生の子を召し寄せ、全員を船に乗せて海に流す。船は難破して子らは死ぬが、ただ1人モードレッドだけが、岸に打ち上げられ善人に拾われて成長する〔*後に、アーサー王はモードレッドと戦って致命傷を負う〕。
『今鏡』「序」 大宅世継の孫娘(あやめ)は、5月5日の午の時に、志賀へ向かう舟の中で生まれた。
『大鏡』「序」 夏山繁樹は、10人もいる兄弟たちの末に生まれた。父が40歳の時の子で、しかも5月生まれであったため、銭10貫で人に売られた。
『史記』「孟嘗君列伝」第15 孟嘗君は身分賎しい妾を母とし、5月5日に誕生した。父田嬰は、5月生まれの子は身長が戸の高さまで成長すると父母に害をおよぼすから、という理由で、養育せぬよう命じた。しかし、母はひそかにこれを育てた。
『新可笑記』(井原西鶴)巻1-4「生肝は妙薬のよし」 5月5日生まれの美女の生き肝は、難病の妙薬になる。某家の主君の病を治すため、家臣が諸国を尋ねて、5月5日生まれの娘を探し出す。1人の家来が僧形に扮してその娘の家に宿を請い、家族が油断している隙に娘を殺し、生き肝を取って去る。
★2.五月の節句。
『食わず女房』(昔話) 頭の上にも口がある鬼女房が蛇に変身して、夫を追う。夫が道端のお地蔵様の後に隠れると、蛇は夫を呑むことをあきらめて去る。お地蔵様は「あの魔物はまた来るから、家に入れぬように菖蒲と蓬を軒に刺しておけ」と夫に教える。以来、5月の節句には、菖蒲と蓬を刺すようになった(宮城県伊具郡丸森町大山)。
『太平広記』巻291所引『続斉諧記』 屈原は5月5日に汨羅(べきら)に入水した。楚人は毎年その日に竹筒に米を入れて水中に投じ、屈原を弔った。ある時、屈原の霊が現れて、「供え物がミズチに取られぬよう、ミズチの苦手な楝の葉で包み五色の糸で縛るように」と教えた。これが粽(ちまき)の起源である。
*5月5日の節句に薬草を採りに行く→〔異郷訪問〕2の『剪燈新話』巻2「天台訪隠録」。
*5月5日の節句に薄餅(すすきもち)を食べる起源→〔人肉食〕6bの『遠野物語拾遺』296。
★3.五月の禁忌。
『異苑』 5月5日に母親が蒲団を日にさらすと、3歳の娘がその蒲団の上に寝ているのが見えた。すぐに娘の姿は消え、本物の娘は別の寝台で異常なく寝ていた。しかし、それから10日を経ずして娘は死んだ。「5月には蒲団を動かすのを忌む」と世に言い伝えるが、これがその実証である。
*5月は屋根へ上がることを忌む→〔屋根〕6の『酉陽雑俎』巻11-423。
『五個の白い小石』(イギリスの昔話) 5月1日の午前1時に、ウーズ川に5個の白い小石を投げ込むと、過去・現在・未来のどんなことでも、見たいものが水面に現れてくる。騎士が、自分の恋人である娘を見たくなって、小石を投げ込む。すると娘の邸に、仮面をかぶった若者が見えるので、騎士は駆けつけて若者を殺す。ところがそれは、仮面舞踏会へ行くために男装した娘だった。
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