中国国内のミャオ族
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/20 19:46 UTC 版)
中国国内での総人口は894万116人に達し、中国の少数民族としては、チワン族(約1,617万人)、満州族(1,068万人)、回族(981万人)に次ぎ四番目である。居住地域別人口は多い順番に並べると、貴州省(429万9,954人)、湖南省(192万1,495人)、雲南省(104万3,535人)、重慶市(50万2,421人)、広西チワン族自治区(46万2,956人)、湖北省(21万4,266人)、四川省(14万7,526人)、広東省(12万606人)、海南省(6万1,264人)、浙江省(5万3,418人)、江蘇省(2万2,246人)、福建省(2万2,065人)などである。山間盆地や斜面に集落を営む山地民である。焼畑を営んで陸稲や畑作物を作って移動を繰り返してきた人々と、棚田を巧妙に作って水稲稲作を行う定着した人々がいる。ただし、中国国内の「苗族」は、1949年の中華人民共和国の成立後に、民族識別調査を行った結果、政府から公認された「創られた民族」であり、政治的な統制と支配を行うための社会制度としての性格もある。 中国国内のミャオ族は漢・蔵(チベット)語族、苗・瑶(ヤオ)語派に属し、三つの方言集団に分かれ、各々の「自称」が異なる。湖南省西部のコーション (Qo xiong)、貴州省東南部のムー (Hmub)、貴州省西部と雲南省のモン (Hmong) である。従来は女性の服飾の色や文様に基づいて、黒苗・白苗・青苗・紅苗・花苗などと区別されることが多く、清代には『苗蛮図冊』などの図録が作成されて、当時の漢族の苗族観を知ることが出来る。地域で言えば、湖南西部(湘西)は紅苗、貴州東南部(黔東南)は黒苗、貴州西部(黔西)から雲南(文山、屏辺)では花苗・白苗・青苗などと呼ばれる。黒苗もスカートの長短から長裙苗と短裙苗に分かれる。後者の自称はガノォウ (Ghab nao) である。漢語表記の「苗族」は、各集団の自称に近い「総称」であり、民族識別によって多様な人々が「苗族」の名称でまとめられた。 民族識別は1953年に始まり、54年に38の少数民族を確定し、65年に15、1982年に2つの少数民族が加わり、現在の中国は55の少数民族と圧倒的多数の漢族という総計56の民族から構成される多民族国家とされている。民族識別は、スターリンが提唱した言語、地域、経済生活、文化に現われる心理素質の4つの共通性が基準とされたが、問題点も多い。中国における「民族」概念は政治性を帯びており「創られた民族」の性格が強い。中国国内のミャオ族について考える場合、中国の古代~近代の歴史文献上で「苗」と記述されている人々と、1949年中華人民共和国成立以降の民族識別で「苗族」と認定された人々とを区別して論じる必要がある。 現在のミャオ族は山地で常畑や焼畑を営む人々と、盆地や平野で水稲耕作を営む人々に分かれる。分布は広域にわたり、他民族と高度を住み分けたり、雑居する場合もある。焼畑を営む人々は移動がさかんで山伝いに移住した結果、現在のラオス、ベトナム、タイにも同系統の言語や類似する文化を持つ人々が生活することになった。 貴州省のミャオ族
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