マスツーリズムの功利
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/05 06:50 UTC 版)
「マスツーリズム」の記事における「マスツーリズムの功利」の解説
旅行の低価格化 旅行の低価格化が実現したのは、まぎれもなくマスツーリズムの最大の功績といえる。 経済的繁栄 天然資源の産出など特に目立った産業のない国々において、マスツーリストの受入れは外貨獲得産業として有力な存在となった。その成功は南国の島々で顕著に見られ、ハワイとバリはその顕著な成功例といえるだろう。特に、ハワイにおいては、開発当時の米国人がポリネシアをイメージするよう、つくられたことはよく知られている。そして、外国資本によるリゾートホテルや観光施設の立ち並ぶ現在では、米国人のみならず多くの観光客が押し寄せるまさに観光立国となっている。 国際マスツーリズムの高まりをテコに、観光開発による「南」の経済発展を目指そうとする動きが顕著になり、1960年代後半になると国際観光は「見えざる輸出」と見なされ、観光開発が外貨獲得と経済発展の有望な手段として注目された。 国際機関においても、1960年代後半から国際観光の意義を認識し、その促進をめざした。例えば、国連は1967年を「国際観光年」と定めて「観光は平和へのパスポート」の標語を掲げ、国際観光の普及と観光事業の振興を図っている。 観光芸術の出現、伝統の創造 マスツーリズムは観光地固有の芸術を基礎に、観光客向けの土産物として新たな芸術や工芸品が開発される動機となる。例えば、インドネシアでは観光客向けに再設計されたバロン・ダンスが演じられている。また、ニューギニアでは大きすぎる実物の仮面をミニチュア化し、土産物として販売している。こうした芸術を指して「観光芸術」と呼ぶが、本物の芸術とは非なる偽の芸術であり、文化の商品化と見なされてきた。しかし、イスラエルの社会学者エリック・コーエンは観光客を5つの類型に分類したが、マスツーリストは本物性に対するこだわりは弱いと分析している。 観光芸術はエスニック・アイデンティティを表現する有効な手段となっており、外部との交流によって生じる新しい伝統の創造として前向きに評価する意見もある。 文化の平準化 未開地に観光客を受け入れるためにインフラを整備したり、観光業に携わる人々に対して学習や訓練が行うことなどは、他国の文化を享受する機会となる。
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