マスツーリズムの弊害と批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/05 06:50 UTC 版)
「マスツーリズム」の記事における「マスツーリズムの弊害と批判」の解説
既に1970年代にはマスツーリズムの弊害が指摘され始めていた。それは一度に多量の観光客が押し寄せることによるさまざまな問題であった。これらは単に「量」や「時期」を調整すれば済むという問題ではなく、国際社会の文化や構造問題に根ざしているだけに複雑である。 自然環境の破壊 観光客による環境汚染、観光施設を作るための環境破壊などの自然環境に関する問題が指摘される。 文化の侵害 より多くの観光客(ゲスト)に受け入れられるための商品やショー・見世物を演出することによって起こるホスト側の文化変容が指摘される。見世物化である。 犯罪 ゲストの経済的豊かさを狙いとした窃盗・置き引き・詐欺などの経済犯罪も指摘される。さらに深刻なのは性犯罪である。歪んだ心理的優越感や解放感に起因する買春などの問題である。 利益の収奪 観光地への利益還元を疑問視されている。巨額の資本投下が当該観光地以外の多国籍企業群から拠出されていることから、観光による利益の多くがそうした企業に吸い上げられているのではないかとの指摘である。より厳しくは、形をかえた植民地主義や帝国主義ではないかとも指摘する向きもある。 一方、観光従事者の賃金水準そのものは高くないものの、チップなど表に出ない副次的収入も含めると十分な収入があり、個人レベルでは相応の利益還元がなされているのではないかとの指摘もある。 豊かな国と豊かでない国の二分法批判 貧しいホストと豊かなゲストという関係は、結局は経済的に二分する考えに基づいており、マスツーリズムはその構造を改善するものではなく、むしろ送客がシステム化されることにより、その役割を固定するものでしかないという批判がある。
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