マイトリー・ウパニシャッド
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『マイトリー・ウパニシャッド』、または『マイトラーヤニーヤ・ウパニシャッド』とは、ウパニシャッドの1つ。黒ヤジュル・ヴェーダに付属し、古ウパニシャッドの中では、後期の「新散文ウパニシャッド」に分類される[1]。
- ^ 『原典訳ウパニシャッド』岩本裕 ちくま学芸文庫 p348
- 1 マイトリー・ウパニシャッドとは
- 2 マイトリー・ウパニシャッドの概要
マイトリー・ウパニシャッド
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「三神一体」の記事における「マイトリー・ウパニシャッド」の解説
マイトリー・ウパニシャッド(紀元前10世紀の後半)にはトリムールティの3神が1組として触れられており、トリムールティの起原としてしばしば言及される。例えば4章の5節では、何について瞑想するのが一番良いかという議論が展開される。瞑想する対象として上がるのが、アグニ(火)、ヴァーユ(大気)、アーディティヤ(日)、カーラ(時間)、プラーナ(呼吸、あるいは活力)、アンナ(食べ物)、そしてブラフマー、ヴィシュヌ、ルドラの9つである。ヤン・ホンダによれば、アグニ、ヴァーユ、アーディティヤはヴェーダ時代初期の主要な3柱であり、それぞれ地上、大気、天界を代表する。次の時間、活力、食べ物はブラフマンの、中でも早い段階の顕現ではないかという議論をウパニシャッド期の初期に見ることができる。この並びを考慮すると、マイトリー・ウパニシャッドの著者はブラフマー、ヴィシュヌ、ルドラ(すなわちシヴァ)に相互補完関係を見ていたようにも読み取れ、この視点はトリムールティ理論にも含まれている。 また、クツァーヤナ賛歌(Kutsayana)と呼ばれる5章1節でもこれら3神が触れられ、その後の5章2節で説明が展開されている。汎神論をテーマとするクツァーヤナ賛歌は人の魂をブラフマンであると主張し、その絶対的現実、普遍の神は生きとし生けるすべての存在の中に宿るとしている。アートマン(魂、我)はブラフマーをはじめとするブラフマンの様々な顕現であることと同等であると展開する。いわく、「汝はブラフマーである。汝はヴィシュヌである。汝はルドラ(シヴァ)である、汝はアグニ、ヴァルナ、ヴァーユ、インドラであり、汝は全てである」。 マイトリー・ウパニシャッドの5章2節ではブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァはそれぞれが3つのグナと関連づけられている。グナとはすべての生物に見いだすことのできる性質、精神、生来の傾向であるとされ、世界は翳質(タマス)から生じたと語られている。その後世界はそれ自体の作用により活動し激質(ラジャス)となり、そして精錬、純化され純質(サットヴァ)となった。これら3つのグナのうち、ブラフマーはラジャス(激質)、ヴィシュヌはサットヴァ(純質)、ルドラ(シヴァの前身)はタマス(翳質)をそれぞれ受け持っている。ただしマイトリー・ウパニシャッドは3柱をトリグナ理論のそれぞれの要素に当てはめてはいるものの、トリムールティの3柱が持つとされている3つの役割については言及していない。
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