ビザンツ皇帝理念とは? わかりやすく解説

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ビザンツ皇帝理念

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 02:15 UTC 版)

東ローマ帝国」の記事における「ビザンツ皇帝理念」の解説

ビザンツ皇帝ローマ皇帝起源持ちつつもローマ皇帝とは異な存在専制君主)である。「すべての人間皇帝奴隷である」という言葉象徴されるように、ビザンツ皇帝絶対的な主権者だった。ビザンツ帝国では、市民国家奉仕するではなく皇帝奉仕するものとなった古代ローマでは市民の果たす役割財産応じた階級託されていた(エヴェルジェティスムや公職者就任財産制限)が、今や役割がそれを果たす人の階級決めることになった。それは古代ローマとは反対制度だった。 ビザンツ皇帝理念が形成されたのは主に5世紀半ばから7世紀初頭にかけてである。「「軍人皇帝時代」もちろん、330年コンスタンティノープル遷都以降も、皇帝歓呼中心軍隊で」「皇帝歓呼軍隊駐屯地行われること多くコンスタンティノープル西方のヘブドモン軍事基地などが、即位式主要な舞台であった」が、「五世紀後半になると、元老院民衆歓呼重要性増し即位式舞台コンスタンティノープル競馬場移った」。一方同じ5世紀半ばコンスタンティノープル総主教による戴冠儀式が行われるようになり、「徐々にローマ時代から伝わる戴冠方法を完全に押しのけ、中世では、これが最終的に戴冠式本質的部分となった」。就任に際してコンスタンティノープル総主教によって戴冠された最初皇帝5世紀レオ1世であると考えられている。そこにはローマから正当なローマ皇帝として承認されなかったレオ1世即位を神の意志による選択として正当化しようとする思惑があったと考えられるが、その結果として皇帝総主教によって正当化されるものとの認識生まれ総主教権威拡大政治介入という通弊を招くことになった7世紀になると皇帝歓呼の場所は競馬場から宮殿聖ソフィア教会へ移るが、並行して皇帝自らが後継者共同皇帝として戴冠するようになった6世紀ユスティニアヌス1世専制君主制へと大きな一歩踏み出したユスティニアヌス1世元老院ローマ市民から諸権限回収する勅令出し、「自らの地位諸法超越するものとし」、「その結果皇帝は、諸法超越しながらも、自発的に諸法に従うことになった」。。ユスティニアヌス1世は自らを「主人」と呼ばせ、元老院議員へも跪拝(プロスキュネーシス(英語版))を要求したかつては市民によって信任され公職者であった皇帝が3万人市民虐殺したニカの乱惨たらしい結末ユスティニアヌス1世という皇帝象徴している。ユスティニアヌス1世によって古代民主政治伝統最終的に否定されビザンティン専制国家への道が開かれた古代民主政治の中から産まれローマ皇帝権力は、その母斑をついに消し去ったのである血塗られた彼の帝衣は、まさに古代ローマ皇帝死装束であった7世紀には、もう一つ皇帝像の変化があった。「戦う皇帝」から「平和の皇帝」への転換である。古代ローマ中世西欧では、ローマ皇帝武装した軍人として描かれ軍司令官として性質強調された。一方東ローマ帝国では、7世紀皇帝ヘラクレイオス最後に古代ローマ式の征服称号用いられなくなったヘラクレイオス皇帝称号に「平和者」という語を含めたが、このキーワードが9世紀までにはビザンツ皇帝称号重要な部分となり、皇帝とは平和を好む敬虔な人物あるべきという考え定着することになる。

※この「ビザンツ皇帝理念」の解説は、「東ローマ帝国」の解説の一部です。
「ビザンツ皇帝理念」を含む「東ローマ帝国」の記事については、「東ローマ帝国」の概要を参照ください。

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