バルーン探査機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/09 09:08 UTC 版)
2機のバルーン探査機が金星の雲系の最も活発な層である54kmの高度に浮かぶように設計された。60時間の運用と気温、気圧、風速、密度の観測に十分なバッテリーが積まれた。ベガ1号とベガ2号のバルーンは46時間以上運用された。 バルーンは直径3.54mの球形で、ヘリウムが満たされた。重さ6.9kg、長さ1.3mのゴンドラが13mの綱でバルーンに吊されていた。全体の質量は21kgだった。 ゴンドラの上部には、高さ37cm、直径13cmの円錐アンテナが取り付けられた。アンテナの下には、無線送信機とシステム制御装置が積まれていた。ゴンドラの下部には、ペイロードとバッテリーが積まれた。 無線送信機は小型で電力も低く、2,048bpsでしかデータを転送できなかったため、送信側でデータの圧縮が行われた。それでもそれぞれの機器のデータ収集速度は75秒ごとに過ぎなかった。バルーンは、地球上の20の電波望遠鏡から構成される2つのネットワーク(ソ連科学アカデミーによるソビエトネットワークとフランス国立宇宙研究センターによる国際ネットワーク)によって追跡された。 バルーンは惑星の夜の地域で放出され、約50kmの高度に展開され、平衡高度よりも数km高い位置まで上昇していった。この高度では、気圧や気温は地球と似ていたが、風速はハリケーン並で、二酸化炭素でできた大気には硫酸や塩化水素、フッ化水素も混じっていた。 バルーンは、夜の地域から昼の地域へと高速で移動し、そこでバッテリーが尽きて通信が途絶した。追跡により、バルーンは垂直方向に予想外の動きをしており、垂直方向の大気質量に以前の観測では見られなかった特徴があることが示唆された。
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