ハル・ノートの内容
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 08:24 UTC 版)
冒頭に「厳秘 一時的且拘束力ナシ」 (Strictly Confidential, Tentative and Without Commitment)との記載がある。 第一項「政策に関する相互宣言案」にはハル四原則が書かれ、第二項には10項目から成る具体的措置が示されている。 ハル・ノート 第一項「政策に関する相互宣言案」 一切ノ国家ノ領土保全及主権ノ不可侵原則 他ノ諸国ノ国内問題ニ対スル不関与ノ原則 通商上ノ機会及待遇ノ平等ヲ含ム平等原則 紛争ノ防止及平和的解決並ニ平和的方法及手続ニ依ル国際情勢改善ノ為メ国際協力及国際調停尊據ノ原則 (略) 第二項「合衆国政府及日本国政府の採るべき措置」 イギリス・中国・日本・オランダ・ソ連・タイ・アメリカ間の多辺的不可侵条約の提案 仏印(フランス領インドシナ) の領土主権尊重、仏印との貿易及び通商における平等待遇の確保 日本の支那(中国)及び仏印からの全面撤兵 日米がアメリカの支援する蔣介石政権(中国国民党重慶政府)以外のいかなる政府も認めない(日本が支援していた汪兆銘政権の否認) 英国または諸国の中国大陸における海外租界と関連権益を含む1901年北京議定書に関する治外法権の放棄について諸国の合意を得るための両国の努力 最恵国待遇を基礎とする通商条約再締結のための交渉の開始 アメリカによる日本資産の凍結を解除、日本によるアメリカ資産の凍結を解除 円ドル為替レート安定に関する協定締結と通貨基金の設立 日米が第三国との間に締結した如何なる協定も、太平洋地域における平和維持に反するものと解釈しないことへの同意(三国同盟の事実上の空文化) 本協定内容の両国による推進 附属のオーラルステートメントでは、ハル・ノートは「太平洋全地域に亙る広汎乍ら簡単なる解決の一案」「六月二十一日附米国案と九月二十五日附日本案の懸隔を調整」と説明されているが、実際には日本側の要望はすべて無視したものであった。6月21日付米国案では、日中和平の条件として日本の立場に理解を示す文言(共産主義運動に対する防衛のための日本軍の中国駐兵を今後の検討対象とする、「満州国に関する友誼的交渉」といった項目)もあったが、ハル・ノートは条件をつり上げたことになる。
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