トスカーナ州のD.O.C.認定ワイン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/26 22:43 UTC 版)
「ヴィン・サント」の記事における「トスカーナ州のD.O.C.認定ワイン」の解説
以下に挙げるのは、ヴィン・サントタイプのワインの生産が認められているトスカーナ州内のD.O.C.認定地区 (の一部) である。 ビアンコ・デッレ・エンポレーゼ DOC (Bianco dell'Empolese DOC) - アルノ川流域、エンポリ市街の近辺に位置する。アルコール度数は11%以上、ブドウの比率はトレッビアーノ・トスカーノを60%以上にしなくてはならず、残りの最大40%分は地元産の白ブドウ品種 (ただしモスカート・ビアンコを除く) を使用する。このワインは、市場に出荷できるようになるまでに、3年以上熟成しなければならない。 サン・トルペ DOC (San Torpè DOC) - ピサ県の山あいの平地部に位置する。アルコール度数は16%以上、ブドウの比率はトレッビアーノ・トスカーノとマルヴァジーア・ビアンカ・ルンガを単体もしくは混醸で50%以上使用しなければならず、残りの最大50%分は地元産の白ブドウ品種を用いる。出荷できるようになるまでに、3年以上 (リゼルヴァの場合は4年以上) 木樽で熟成しなければならない。 ヴァルディニエヴォーレ DOC (Valdinievole DOC) - モンテカティーニ・テルメやペーシャといったコムーネの近辺に位置する。アルコール度数は17%以上、ブドウの比率はトレッビアーノ・トスカーノを70%以上にしなくてはならない。残りの最大30%分は地元産の白ブドウ品種を使用する。出荷できるようになるまでに、3年以上木樽で熟成しなければならない。 コルトーナ DOC (Cortona DOC) - ウンブリア州との州境地帯にあるコルトーナの街近辺に位置する。通常タイプのヴィン・サントとオッキオ・ディ・ペルニーチェタイプの両方が、このD.O.C.認定地区で認められている。通常タイプのヴィン・サントの場合、アルコール度数は11%以上、ブドウの比率はトレッビアーノ・トスカーノ、グレケット(英語版)、マルヴァジーア・ビアンカを単体もしくは混醸で70%以上使用しなくてはならない。また、残りの最大30%分は (赤ワインではなく) 白ワインにしたサンジョヴェーゼを使用する。出荷できるようになるまでに3年以上 (うち木樽で33か月以上、ボトルで3か月以上) 、リゼルヴァを名乗るためには5年以上 (うち木樽で4年半以上、ボトルで6か月以上) 熟成させなければならない。オッキオ・ディ・ペルニーチェの場合、ブドウの比率はサンジョヴェーゼ、マルヴァジーア・ネーラを単体もしくは混醸で100%使用しなければならない。コルトーナ DOCで作られるこのタイプのワインにかかる熟成期間は、あらゆるタイプのヴィン・サントのなかでも最長であり、出荷できるようになるまでに8年以上 (うち木樽で7年半以上、ボトルで6か月以上) を必要とする。 モンテレジョ・ディ・マッサ・マリッティマ DOC (Monteregio di Massa Marittima DOC) - トスカーナ州の最北西に位置するこの地域は、国際的にもっとも知名度の高いトスカーナのヴィン・サント生産地域のひとつである。数種類のヴィン・サントが認められており、オッキオ・ディ・ペルニーチェやアマービレ (Amabile) と呼ばれる中甘口タイプなどがある。通常およびアマービレタイプののヴィン・サントの場合、アルコール度数は12%以上、ブドウの比率はトレッビアーノ・トスカーノ、ヴェルメンティーノを単体もしくは混醸で50%以上使用しなければいけない。残りの最大50%分は、地元産の白ブドウ品種を使用する。出荷できるようになるまでに約2年以上、リゼルヴァの表記を許されるには3年半以上熟成させなくてはならない。オッキオ・ディ・ペルニーチェの場合、アルコール度数は14%以上、ブドウの比率はサンジョヴェーゼを50%以上使用しなければいけない。残りの最大50%分は、地元産の黒ブドウ品種を使用する。出荷できるようになるまでに、30か月以上木樽で熟成しなければならない。 モンテスクダイオ DOC (Montescudaio DOC) - ピサ県ヴォルテッラの市街周辺に位置する。アルコール度数は16%以上、ブドウの比率はトレッビアーノ・トスカーノを50%以上使用しなければいけない。残りの最大50%分は、地元産の白ブドウ品種を使用する。出荷できるようになるまでに、4年以上 (うちボトルで1年以上) 熟成しなければならない。 ポミーノ DOC (Pomino DOC) - フィレンツェ県のコムーネ、ルーフィナの一帯に位置する。赤白両タイプのヴィン・サントが生産されており、甘味度の種別もセッコ (辛口) からアマービレ (中甘口) 、ドルチェ (甘口) までさまざまである。いずれもアルコール度数は15.5%以上ある。白の場合、ピノ・ビアンコ、ピノ・グリージョ、シャルドネ、トレッビアーノのなかから単体もしくは混醸で70%以上使用しなくてはならない。残りの最大30%分は、地元産の白ブドウ品種を使用する。オッキオ・ディ・ペルニーチェの場合、サンジョヴェーゼを50%以上使用せねばならず、残りの最大50%分には、ピノ・ネロおよびメルロのなかから単体もしくは混醸で最大50%まで使用することが認められている。また、それ以外の地元産黒ブドウ品種も最大25%まで使用することができる。赤白いずれの場合も、出荷できるようになるまでに3年以上木樽で熟成しなければならない。 サン・ジミニャーノ DOC (San Gimignano DOC) - このD.O.C.の該当地域は、D.O.C.G.認定ワインのヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノのものと重複する。通常のヴィン・サントもオッキオ・ディ・ペルニーチェも、アルコール度数は14.5%以上なければならない。通常のヴィン・サントの場合、ブドウの比率はトレッビアーノ・トスカーノを30%以上使用しなければいけないほか、マルヴァジーア・デル・キアンティは最大50%まで、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノは最大20%まで使用することができる。地元産の白ブドウ品種は最大10%まで使用が認められている。オッキオ・ディ・ペルニーチェの場合、ブドウの比率はサンジョヴェーゼを50%以上使用しなければならず、残りの最大50%分には、それ以外の地元産の黒ブドウ品種を使用する。いずれのタイプのものも、出荷できるようになるまでに、木樽で3年以上熟成する必要がある。 サンタンティモ DOC (Sant'Ántimo DOC) - このD.O.C.の該当地域は、D.O.C.G.認定ワインのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(英語版)のものと重複する。通常タイプのヴィン・サント (リゼルヴァを含む) の場合、アルコール度数はセッコ (辛口) であれば14%以上、アマービレ (中甘口) であれば13%以上が必要である。ブドウの比率はトレッビアーノ・トスカーノとマルヴァジーア・ビアンカ・ルンガを単体もしくは混醸で70%以上使用しなければならず、残りの最大30%分には、それ以外の地元産のブドウ品種を使用する。オッキオ・ディ・ペルニーチェ (リゼルヴァを含む) の場合、アルコール度数は14%以上が必要である。ブドウの比率はサンジョヴェーゼを50-70%、マルヴァジーア・ネーラを30-50%使用しなければならず、それ以外の地元産の黒ブドウ品種は最大30%まで使用が認められている。通常とオッキオ・ディ・ペルニーチェ両タイプとも、出荷できるようになるまでに木樽で約3年以上熟成しなければならない。約4年以上の熟成期間を経たワインには、リゼルヴァの表記が認められる。 ヴァル・ダルビア DOC (Val d'Arbia DOC) - このD.O.C.の範囲はキャンティ地方の一部を含み、シエナ県にまで及ぶ。アルコール度数は12%以上、ブドウの比率はトレッビアーノ・トスカーノとマルヴァジーアを単体もしくは混醸で50%以上使用しなければならない。残りの最大50%分には、それ以外の地元産の白ブドウ品種を使用する。出荷できるようになるまでに、木樽で約3年以上、リゼルヴァの表記を得るためには約4年以上熟成しなければならない。 ヴィン・サント・ディ・カルミニャーノ DOC (Vin Santo di Carmignano DOC) - フィレンツェ市街の西に位置し、カルミニャーノ DOCGおよびバルコ・レアーレ・ディ・カルミニャーノ DOCと範囲が重複している。通常のヴィン・サントとオッキオ・ディ・ペルニーチェの2タイプが生産されており、どちらもアルコール度数は13%以上が必要である。通常タイプの場合、ブドウの比率はマルヴァジーア・ビアンカとトレッビアーノ・トスカーノを単体もしくは混醸で75%以上使用しなければならず、残りの最大25%分には、地元産の白ブドウ品種を用いる。オッキオ・ディ・ペルニーチェの場合、ブドウの比率はサンジョヴェーゼを50%以上使用せねばならず、残りの最大50%分には、地元産のブドウ品種を用いる。両タイプとも、出荷できるようになるまでに木樽で3年以上、リゼルヴァの表記を得るには木樽で4年以上熟成しなければならない。 ヴィン・サント・ディ・モンテプルチャーノ DOC (Vin Santo di Montepulciano DOC) - サンタンティモ DOCと似て、このD.O.C.の該当地域はヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ(英語版) DOCGのものと重複しているが、ワイン生産にかかわる規定はサンタンティモとは異なる。白のヴィン・サントのブドウの比率は、グレケット (現地名プルチンクーロ (Pulcinculo) ) 、トレッビアーノ・トスカーノ、マルヴァジーア・ビアンカのなかから単体もしくは混醸で70%以上使用しなくてはならず、残りの最大30%分には、それ以外の地元産の白ブドウ品種を使用する。出荷できるようになるまでに、木樽で3年以上熟成しなければならない。5年以上の熟成期間を経たワインには、リゼルヴァの表記が認められる。オッキオ・ディ・ペルニーチェの場合、ブドウの比率はサンジョヴェーゼ (現地名モンテプルチャーノ・プルニョーロ・ジェンティーレ (Montepulciano Prugnolo Gentile) ) を50%以上使用しなければならず、残りの最大50%分には、それ以外の地元産のブドウ品種を使用する。出荷できるようになるまでに、木樽で6年以上熟成しなければならない。
※この「トスカーナ州のD.O.C.認定ワイン」の解説は、「ヴィン・サント」の解説の一部です。
「トスカーナ州のD.O.C.認定ワイン」を含む「ヴィン・サント」の記事については、「ヴィン・サント」の概要を参照ください。
- トスカーナ州のD.O.C.認定ワインのページへのリンク