キタシロサイについて
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/29 14:44 UTC 版)
「スーダン (サイ)」の記事における「キタシロサイについて」の解説
シロサイは陸上に生息する動物のうち最大のものの1つとされ、オスの体長は370-400センチメートル、体重は2,300キログラム、メスは体長が340-365センチメートル、体重は1,700キログラムに及ぶ。この種はCeratotherium simum simum(ミナミシロサイ (en) )とCeratotherium simum cottoni(キタシロサイ)という2亜種に分かれている。ミナミシロサイは南アフリカに分布し、キタシロサイは中央アフリカ共和国、コンゴ、南スーダン、ウガンダなどに分布していた。このうち亜種C. s. cottoniを独立種とみなす学説も存在する。寿命は45年-50年程度とされる。 シロサイはクロサイよりもおとなしい性質であり、容易に近づくことが可能である。その巨大な体躯のために外敵を恐れる必要は少ないものの、性質のおとなしさから人間からの攻撃には無力である。 シロサイはかつて現在のサハラ砂漠を含めたアフリカのほとんどの地域に広く生息していたことが、化石や骨、古代の壁画などから判明している。WWFによれば、1960年の時点でアフリカで生息するキタシロサイの個体数は2,000頭以上を数えていた。しかし、人口の増加による生息地の開発や角を目的とする密猟の横行によって個体数が急激に減少した。キタシロサイと近縁のミナミシロサイは繁殖や個体の移住活動などの保護政策や管理下における一定数のスポーツ・ハンティングの容認などが功を奏して、個体数は約2万頭にまで回復していた。 サイ類の角は人間の爪と同じくケラチンでできていて、古代から中国では漢方薬として使われていた。ブラックマーケットにおける取引ではサイの角が金よりも高い価格で取引されるため、アフリカ南部では組織犯罪による密猟の激増が指摘された。加えて生息地での内戦が勃発したことによって保護活動が中断したため、キタシロサイの減少に歯止めをかけることはできなかった。 コンゴ民主共和国(旧ザイール)では1960年に1200頭いたキタシロサイが1984年の時点では15頭にまで減少し、ウガンダやスーダンでも戦争の影響で生息数が激減した。1987年の時点でウガンダ、スーダン、中央アフリカでは生息が確認されず、コンゴ民主共和国では22頭のみの生息が確認されていた。野生のキタシロサイは、2008年までに絶滅したと推定されている。
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