インチダウン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 01:57 UTC 版)
インチダウン (inch down) とは、インチアップとは逆に自動車に装着しているホイールのリム径をより小さなものに交換することである。タイヤの偏平率をより高めることで、路面追従性能及び乗り心地の改善、維持費の低減などを目的にこのような手法が用いられる。中古車として購入した車両に装備されている社外大径ホイールを純正ホイール若しくは純正相当サイズのホイールに戻すことが一般的に最も多い事例であるが、下記のようなさまざまな理由によってインチダウンが行われることもある。 その車種の下位グレードに設定されている小径ホイールにあえて交換してさらなる乗り心地改善を図る。特にショーファードリブンカーやハイヤー、リムジン、ブライダルカーなど、その車両に搭乗する顧客の快適性を極限まで追求する場合に行われる。 目的に応じたタイヤ・ホイールが現在のサイズでは確保できない場合や高額である場合。近年、新車時のメーカー純正サイズ自体、ユーザーの嗜好に追随する形で(本来なら車体に合っていない)オーバースペックなサイズ設定で販売されている車種(もしくはグレード)が増えている(コストとの兼ね合い等からブレーキサイズは小径のままの場合が大半を占める)。そのため、適切なサイズにインチダウンすることにより、居住性の向上だけに限らず、運動性能の改善、維持費の低減など、本来の性能を求めることが可能。 特に寒冷地ではスタッドレスタイヤにはきかえて使用することが常識的であるため、ノーマルタイヤとは別に1セットタイヤとホイールを購入するのが一般的である。その際に、特に上位グレード車種の場合、下位グレードのサイズのスタッドレスタイヤ、アルミホイールを購入し冬期の維持費を下げることが一般的に行われている。 オフロード車やラリーカーなどにおいて、現在所有するホイールサイズでは目的の用途に適したパターンのノビータイヤ、ラリータイヤが入手できない場合や、ビードロックなどの特別な機能性を有したホイールが現在装着している物よりも小さなサイズしか選択できない場合、やむを得ずホイールの小径化を選択する場合がある。 車高低下(ローダウン)を極限まで追及した結果、ホイールと共にタイヤも小径化する事例。アメリカ車のチューニング手法であるローライダーが代表例であるが、タイヤ自体の小径化と同様にスピードメーターの表示は実際の走行速度と大きく変化することになるため、日本の車検制度上はこの状態では車検不適合となる(メーター補正などを行えば別)。オートバイのサイドカーにおいても、車体の低重心化による走行性能の改善を図る目的で側車、単車(本車)双方の小径化が行われる事がある。 いずれの事例においても、インチダウンの場合にはタイヤ外径の選定のみならず、その車両に装備されているブレーキローターやブレーキキャリパーなどの外径によって最小ホイールサイズに大きな制約を受けることが、インチアップとの最大の相違点である。場合によってはブレーキローターやキャリパーを下位グレードの物と丸ごと交換してホイールとのクリアランスを確保することも行われる。
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