『デューン砂の惑星』("Dune":1965年)
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「デューン (小説)」の記事における「『デューン砂の惑星』("Dune":1965年)」の解説
詳細は「デューン砂の惑星」を参照 遥か未来、思考機械の反乱を鎮圧して、中世風の特異な精神世界を作り上げた人間は宇宙帝国を築き世界を支配していたが、超能力をもつ女性種族ベネ・ゲセリットや、純粋数学とメランジの力で恒星間飛行能力を持ったスペースギルドなどの勢力が台頭し決して安泰ではなかった。しかも人間同士も権力争いを日々繰り広げており、危機感を抱いた「パディシャー」皇帝は、メランジの採掘権者ハルコネン家と宿敵アトレイデ家を宇宙で唯一メランジを産する砂漠の惑星アラキスで対峙させ、その争いに介入することでアラキスやメランジも含め世界を一気に掌握する陰謀を画策した。そしてアトレイデ家の当主レト公爵は殺されてアトレイデ家は四散、アラキスは帝国直轄領となり、すべて皇帝の思い通りになるかと思われた。が、公爵家の息子ポウルが砂漠に逃れて超能力と己の使命に目覚め、砂漠の民フレーメンの救世主となって、世界を根本から変革する戦いに立ち上がる。 砂漠の惑星アラキスに起こる革命の戦いや貴重な水を巡る話題、宗教的な精神世界観などからイスラム教やアラブ文化からのインスピレーションによって書かれた作品であることはほぼ定説となっている。ストーリーの流れ自体はエンターティメントの定番とも言える貴種流離譚であるが、登場人物や舞台となる世界の特徴が細かく描かれており、読む者の想像力を一気に掻き立てる展開となっている。主要な舞台であるアラキスでの設定はエコロジカルなニュアンスを醸し出しており、初版当初は新鮮だった。 特にシャイ・フルドと呼ばれ、生命の水やメランジを生成する全長数百メートルに上るミミズのような砂虫(サンドワーム)が、砂の中を突進してきて振動するもの全てを飲み込む描写は迫力に富み、その後の巨大怪物を描く際のイメージのひとつを創り上げた。楳図かずお『漂流教室』の未来怪物やアニメ『伝説巨神イデオン』のドウモウ、映画『トレマーズ』シリーズのグラボイズなどは形態、設定が酷似しているほか、スター・ウォーズのスペース・スラッグ、宮崎駿『風の谷のナウシカ』の王蟲(オーム)にも影響を与えたといわれている。 海外では本国アメリカを始め1巻本で出版されているが、日本の早川書房から矢野徹翻訳で出版されたものは4巻に分割された。初期の版では石ノ森章太郎が表紙や挿絵を担当している。表紙は映画版公開後は映画版のスチールとなり、のち、加藤直之が担当した。 2016年の酒井昭伸による新訳版は上中下の3巻本である。 ヒューゴー賞及びネビュラ賞受賞。星雲賞長編部門を受賞。
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