Windows Phone
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/02 16:13 UTC 版)
特徴
ユーザーインターフェイス
Windows Phoneでは、Zune等で使用されたModern UIが採用された。Modern UIは文字を基調とした単色のデザインで、当時の様々なUIとは見た目や操作性も大きく異なっており、Windows Mobile以前の製品や、iPhone、Android等よりも一目で多くの情報が手に入れられるのが特徴。それぞれのHub(後述)では、上部にタイトル文字、項目と続いている。他の多くのOSとは異なり、別の項目へ移動する場合は横スクロールを行うのが特徴。背景色は一部を除いて主に黒と白の2色で、テーマカラーが文字やタイルなどのアクセント色となる。また、これらの背景色やテーマカラーは設定により変更できる。のちにiOSやAndroidでもフラットなデザインが順次適用されたことから、時代を先取りしたともいえる。
ホーム画面(通称:スタート画面)では、タイルを自由に配置させることができ、様々なアプリへのショートカットアイコンとしても機能しつつ、ライブタイルとして、電子メールの未読や不在着信数、さらに、写真のスライドショーや未読メールの内容、予定の確認などがスタート画面で可能になっている。タイルの列は4列または6列より選択できる。マルチタスクに対応しており、戻るボタンの長押しによりタスクスイッチャーが呼び出される。
通知は、画面上部にテーマカラーのバナーが表示される。このほかに、画面上部から下にスワイプすることにより「アクションセンター(通知センター)」が表示される。ここでは、通知一覧のほか、クイックアクションと呼ばれる任意の設定のボタンを表示できる。
文字入力
スマートフォン向けの組み込みOSとしては世界で初めてフリック入力に対応した。また、IS12Tでは世界初のカーブフリック入力対応日本語入力システムを搭載した。フリック入力で入力できるものに加え、濁点・半濁点・拗音・促音なども一度に簡単に入力できる。顔文字や絵文字専用のボタンが備わっている。設定により、他言語のキーボードを表示させることも可能。単語の入力ミスに対する候補をオフラインで表示できる。また、日本語非対応だが、新しいキーボードとして「Word Flow Keyboard」と呼ばれる、キーボードをタッチしたままスライドすることにより単語が入力できるキーボードが備わっている。
ウェブ ブラウザ
それぞれのバージョンに専用のInternet Explorer Mobileが採用されている。最新バージョンは11。デスクトップ版とモバイル版とページ表示を切り替える設定が可能である。マルチタッチやスムーズなページ拡大・縮小をサポートし、ページ内検索機能、ページ共有機能お気に入り機能などが含まれている。お気に入りのページは、スタート画面にピン止めできる。お気に入り、履歴、保存したパスワード、開かれているタブなどをWindows PCと共有することも可能。Windows Mobile時代と比べると操作性や速さ、レイアウトの正確さが格段に上がっている。そのため以前はOpera Browserを一緒に搭載する端末がほとんどだったが、現在ではInternet Explorer Mobileのみで十分使用できる。
Windows版のIEと共通のレンダリングエンジンを使用することにより、JavaScriptのパフォーマンスアップとHTML5の完全サポートが行われている。
検索
検索ボタンを押すとどの画面でも専用のBing検索が起動する。PC版のBing検索の背景と同じく毎日違う画像が表示されるようになっている。ウェブ検索と画像検索ではウェブブラウザーは起動せずアプリで検索でき、リンクをタップすることで自動起動する仕組みとなっている。テキスト入力に加えて音声による検索が可能である(日本は未対応)。音声入力はマイクロソフトのTellMeが使用される。QRコードリーダーやバーコードリーダー、テキストリーダー機能もこの検索画面に備え付けられている。また、位置情報を入手して周辺の店舗を簡単に探すこともできる。
なお、Cortana(後述)をオンにしている場合は、検索ボタンを押しても起動せずCortanaが起動する。
電子メール
Microsoft Outlook、Windows Live Hotmail、Yahoo!メール、Gmail、iCloud、Exchangeなどに標準対応している。設定をすることでPOPおよびIMAPプロトコルのほぼすべてのメールサービスを利用することができる。また、これらの複数のメールサービスの受信トレイを、選択して結合し、一度に閲覧することも可能。
Hub
それぞれの目的そのものに Hub と呼ばれるグループで分けられ、従来のスタート画面から目的をするためのアプリを選んで目的をするという動作ではなく、目的そのものからアプリを選択するような操作となる。Windows Phoneではスタート画面に単色で塗りつぶされたライブタイルも新たに導入。アプリケーションやインターネットのページをピン止めすることも可能。その他、電話の着信数や電子メール受信数などの数の情報や、プロファイル、People Hubなどのサムネイル写真をスタート画面に表示させることができる。近年Windows Phone 8.1世代になってから、従来OSの機能として提供されていた各種Hub機能が、アプリケーション化された。これはOSのライフサイクルよりも短い周期で新機能アップデートを行うためである。
People Hub
People Hubはアドレス帳の事であるが、SNSのFriend Listのような機能を持ち合わせる。標準で、FacebookやWindows Live、Gmail、Yahoo!メール、Twitter、LinkedInなどをWindows Phoneと結合できる。重複する連絡先の結合や、人物から目的を達成させる操作も可能。Me Hubからはまとめて閲覧したり、複数のソーシャルサービスへ同時投稿なども可能に。
Xbox Music と Xbox Video
同社の携帯音楽プレーヤー Zune HD に相当する機能が統合されている。音楽・動画・ポッドキャストを扱い、アーティストの情報や写真を表示することも可能である。PC側のZune Softwareで、コンテンツを端末に同期して利用する。Microsoft OneDriveから直接ストリーミング再生できる。また、アーティスト情報から、所有していないアルバムの閲覧、試聴、購買ができる。iTunesのGeniusのような類似楽曲推薦機能(ジュークボックス)に、Windows PCとWindows Phoneの双方で対応している。
Pictures Hub
端末カメラで撮った写真やWindows PCと同期した写真、OneDrive、Facebookのアルバムの写真などを統合して管理できる。また、共有をタップすることにより、ソーシャルネットワーク上に直接投稿することも可能である。ライブタイルにはランダムで画像が切り替わっていく。ライブタイルに表示される画像は選択することもできる。
Office Hub
Windows PhoneはMicrosoft Officeを統合しており、Office Hubでは Word、Excel、PowerPoint、OneNote、SharePoint Workspaceの編集と表示を行うことができる。同社の製品なだけあって、完成度が高く、他のスマートフォンと比較しても最も再現率が高い。メールによる転送、SharePointサーバー、Office 365、OneDrive経由でアクセス可能。
Store Hub
ここに、すべてのアプリ・ゲーム・音楽の購入やダウンロードなどが統合されている。Windows Phoneでは、悪意のあるアプリケーションのダウンロードを防ぐため、アプリケーションの配布・導入が法人機を除きWindows Phoneストア経由のみに制限されており、それ以外の場所からアプリケーションは導入することができない[29]。また、Xbox Liveのゲームをここからダウンロードができ、アバター、フレンドリスト、対戦などの Xbox Live のコミュニティー機能も利用できる。音楽の購入は音楽配信サイトサービスであるXbox Musicから行う。ポッドキャストにも対応する。2014年7月の時点でアプリの数が27万本を越している。このペースはAndroidのアプリをダウンロードするGoogleのGoogle Playよりも早い[30]。
Cortana
秘書機能アプリケーションソフトウェア。自然言語処理を用いて、質問に答える、推薦、Webサービスの利用などを行う。Google NowとSiriの機能を足したようなアプリケーションで、現在はほとんどの国で使用可能である。
- ^ グッドデザインファインダー「2011年度 グッドデザイン賞 受賞」
- ^ “Microsoft making Windows free on devices with screens under 9 inches”
- ^ “「Windows Phone」のシェア、欧州で過去最高の9.2%に、2013年6~8月期”. ITPro. (2013年10月1日) 2013年10月1日閲覧。
- ^ “Android and iOS Combine for 92.3% of All Smartphone Operating System Shipments in the First Quarter While Windows Phone Leapfrogs BlackBerry, According to IDC”
- ^ “As Windows Phone market share hits 39% in Finland Miradore brings its free Mobile Device Management solution to Windows Phone”
- ^ “Microsoft claims Windows Phone dominance over iPhone in 24 countries”
- ^ “Microsoft、Windows Phone 7.5/8をさらに死へと追い込む”. ギズモード・ジャパン. (2018年2月20日)
- ^ “ビル・ゲイツ、Androidスマホを手にする。iPhoneは依然使わず”. ギズモード・ジャパン. (2017年9月28日)
- ^ “「Windows 10 Mobile」12月10日にサポート終了「AndroidまたはiOSへの移行をお勧め」とMicrosoft”. ITmedia NEWS. (2019年1月20日)
- ^ “KDDIがウィンドウズフォン7搭載機種 日本初登場 富士通東芝モバイル製”. 日本経済新聞 (2011年7月16日). 2011年7月16日閲覧。
- ^ “秋葉原と有楽町で発売記念セレモニー:Windows Phone IS12T発売、「全力で巻き返しを図りたい」――MS樋口氏”. ITmedia +Dモバイル (2011年8月25日). 2011年8月25日閲覧。
- ^ “Windows Phone 8.1搭載「MADOSMA Q501」、6月18日発売”. ケータイWatch. 株式会社インプレス (2015年6月2日). 2015年6月2日閲覧。
- ^ Herrman, John (2010年2月25日). “What Windows Phone 7 Could Have Been”. Gizmodo. Gawker Media. 2010年6月5日閲覧。
- ^ Miniman, Brandon (2010年2月17日). “Thoughts on Windows Phone 7 Series (BTW: Photon is Dead)”. Pocketnow. 2010年6月5日閲覧。
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- ^ Paul Thurrott (2011年1月4日). “What’s happening with Windows Phone updates in 2011” (英語). Windows Phone Secrets. 2013年6月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年4月2日閲覧。
- ^ Eric Hautala (2011年5月3日). “Latest update news” (英語). Windows Phone Blog. 2012年7月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年5月15日閲覧。
- ^ FishIE Tank
- ^ MIX11 Day 2 Keynotes (英語)
- ^ HTML5 Speed Reading
- ^ Eric Hautala (2011年11月17日). “Updates: Now delivering to Samsung Focus 1.4” (英語). Windows Phone Blog. 2012年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月18日閲覧。
- ^ “Windows Phone 7.8 werden weitere Updates folgen – Das Windows Phone Magazin”. WParea.de (2012年11月17日). 2013年1月21日閲覧。
- ^ a b マイクロソフト プロダクト サポート ライフサイクル Windows Phone
- ^ “Microsoft to end Windows Phone 7.8 and 8 support in 2014” (英語) (2013年3月18日). 2013年5月9日閲覧。
- ^ a b 端末および販売キャリアによって異なる。
- ^ Windows Phoneシリーズ、アプリ入手はマーケットプレースのみ
- ^ “Microsoft : Now 270,000 apps in the Windows Phone Store”. WMPoweruser (2014年7月14日). 2014年7月31日閲覧。
- ^ ““Windows Phone”の無償開発環境「Windows Phone Developer Tools」が正式公開”. 窓の杜. (2010年9月17日)
- ^ Windows Phone OS can't run native code
- ^ Dev Center ベネフィット|MSDN
- ^ Display | Windows Phone Hardware Development
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