JR貨物EH500形電気機関車 形態区分

JR貨物EH500形電気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/30 03:54 UTC 版)

形態区分

試作機(901号機)

EH500-901
(2015年11月22日 東北本線 岩沼駅 - 槻木駅

1997年東芝府中工場で落成、同社が国内向けに交直流電気機関車を大量(6両以上)生産するのは初めてだった。1998年3月JR貨物に車籍編入し長町機関区(廃止)に新製配置され、各種試験に供された。1999年8月、仙台総合鉄道部完成に伴い同所に転属した。

クリーム色の前面帯は正面窓直下、形式番号表示部にあり、幅は量産車に比べ細い。前照灯は正面下部に設置され、正面窓の傾斜角も量産車とは異なる。車体側面のルーバーは量産車に比べ小型で、採光窓は片側5組(×2車体)と量産車に比べ多い。また、車体横の製造メーカーの銘板はEH500-901号機のみローマ字表記の「TOSHIBA」となっており、銘板の取り付け位置も量産車と異なる。量産車は漢字で「東芝」と表記されている。

搭載機器についても量産車と差異があり、主変圧器は容量5,141kVAのものを1基、補助電源装置は140kVAのものを2基搭載する。台車は基本的に量産車と同等であるが、形式は1エンド側からFD7A、FD7B、FD7C、FD7Dとなっている。「ECO-POWER 金太郎」のロゴマークは量産車と異なり、片方のJRFロゴの横につけられている。なお、落成時にこのマークはつけられていなかった。

1次形(1, 2号機)

EH500-2
2011年8月8日 東北本線 郡山駅

2000年3月に製造された。901号機の試験成績を踏まえて製造された量産先行機である。

試作機では1基のみ搭載の主変圧器を各車体に1基、計2基搭載するなど内部機器配置の変更がなされた。車体側面のルーバーは天地寸法が拡大され、採光窓は片側2組(×2車体)となった。外部塗色は赤紫寄りに変更、前面帯は形式番号直下に移され、若干太くなった。901号機と同様に、落成時には「ECO-POWER 金太郎」のマークはつけられていなかった。

2次形(3 - 9号機)

EH500-4
2012年4月29日
京浜東北線 東十条駅付近

2000年3月 - 2001年1月に製造された。

前照灯への着雪による照度低下の対策として、これを上方(前面帯部)に移設した。製造途中に愛称・ロゴマークが一般公募により決定され、以降の新製機は「ECO-POWER 金太郎」のロゴマークを車体側面に表示して出場した(既存機にも順次施工した)。

3次形(10号機 - )

EH500-43
東北本線 館腰駅

2001年8月より2013年まで製造された。

車体塗色を明るめの赤に変更、運転台周りの黒色塗装は窓枠部のみに縮小、前面帯は側面に回りこまず、前照灯外縁で切れる。

15号機から前照灯のカバーの形状が変わり白線がわずかながら細くなった。更に73号機から後尾灯が電球式からLED式に変更された。これは後尾灯の色で判別できる。また製造途中からGPS アンテナ(列車位置検知装置)が追加装備された。GPSは既存機にも順次装備された。一部の車両 (45 - 50、67 - 72) は関門トンネル用としてJR貨物門司機関区に配置し、ATC-LATS-PF は装備しない。


注釈

  1. ^ 鉄道趣味誌では、2車体H型機とした理由に第二種鉄道事業者として線路保有会社に支払う線路使用料を軽減するため、という説を挙げている[4]設計当時のスキームでは線路使用料は機関車の台数分支払うことになっていた[要出典]ため、D形機による重連運用の場合は2両分支払うところをH形機とすれば支払いは1両分で済むことになる。しかし、当事者から契約書、規定等の公開はなされていないため、本当にH形機関車1両がD形機関車2両よりも線路使用料を安く済ませられるかは不明である。なお、先述の「鉄道ジャーナル」2018年10月号によると、JR北海道・JR東日本・JR西日本・JR九州はH形機を1両の機関車として扱っているとされている。

出典

  1. ^ 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2000年6月号「2000年春の新型車両ECO-POWER金太郎EH500形量産車が登場」pp.86 - 87。
  2. ^ a b c d e f g h 『鉄道ファン』2000年7月号、交友社、2000年、p.116
  3. ^ 『鉄道ファン』1998年6月号、交友社、1998年、p.73
  4. ^ 「鉄道ジャーナル」 2018年10月号(No.624) p.61
  5. ^ a b c 山本城二、櫻井公男、長瀬光範「近代的な物流を支える機関車及び貨物電車システム」 (PDF) 東芝レビューVOL.61(2006-09)
  6. ^ JR貨物時刻表 p.259,p.262
  7. ^ JR貨物Webサイト ニュースリリース「平成19年度の車両等の設備投資について」 (PDF)
  8. ^ JR貨物Webサイト ニュースリリース「平成20年度の車両等の設備投資について」 (PDF)
  9. ^ JR貨物Webサイト ニュースリリース「平成21年度の車両等の設備投資について」 (PDF)
  10. ^ JR貨物Webサイト ニュースリリース「平成22年度の機関車の新製について」 (PDF)
  11. ^ JR発足30周年記念「JR7社共同企画 スペシャルツアー」の発売についてJR貨物プレスリリース(2017年10月17日)
  12. ^ EH500-30がE26系をけん引して営業運転 - 鉄道ファン「鉄道ニュース」2017年12月5日、2017年12月23日閲覧
  13. ^ 編集部「NEWS PACK 2011年4月」『Rail Magazine』第28巻第9号 (No.334)、2011年7月、pp.150 - 151。 
  14. ^ JR貨物Webサイト ニュースリリース「ラッピング機関車の運行を開始」 (PDF)
  15. ^ EH500-65が九州へ鉄道ファンrailf.jp(2019年4月9日掲載)


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